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異世界転移したんけどほぼ普通の人間なので毎日がサバイバルです  作者: おるる
第1章 オルーツアを生活の拠点としよう
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10 クエストを受けてみた

キノの新たな1日のはじまりです。



ようやく活動(仕事)します。

 朝だ。とうとうこの日が来た。チートじゃない俺がこの世界で冒険者として働く初日だ!

 ベッドから飛び起きエルシュさんのもとに行く。ニーチェも起きていてパンをかじっている。

「エルシュさんおはようございます!」


「おお、おはよう! 朝から元気がいいな。」


「はい! 今日から冒険者の一人として頑張りますから気持ちだけは誰にも負けないように!」


「うむうむ。あまり無理せずにな。朝食は食べていくか?」


「はい。じゃありがたくいただきます!」


 ガツガツとオルに負けない食いっぷりで朝飯を胃袋に流し込む。オルも俺の足元でパンと昨日買った干物にかぶりついている。


「おはよーキノ。」「おぅ! おはようニーチェ!」


 俺より先に食卓についていたニーチェははむはむとパンをかじっている。飯を食ってるときだけはほんとにおとなしいな。ウサギやハムスターみたいに口元しか動いていない。

 ニーチェの相手はほとんどしないであっという間に食べ終わり、出掛ける準備を整えてエルシュさんに一言だけ残す。


「それじゃ行ってきます!」


 そしてそのまま扉を勢いよく開けギルドに向かって走り出した。




「いらっしゃいませ~! あっようこそキノさん! クエストを受けに来たのですか?」


 昨日と同じ笑顔でレイカさんが出迎えてくれる。


「ですです! 俺でもできそうなクエストってありますかね?初心者だから簡単なのがありがたいのですが…」


 不安げに掲示板を見上げていると、いつのまにかレイカさんが横にきている。


「ふふっ。キノさんなら良くも悪くもクエストは選び放題だと思いますよ! 昨日の出来事は町で噂になってますしね!」


おおぅ。そんなに近いとあなたのいい香りが……「いて~っ!」


「ちょっとなに朝から鼻の下のばしてんのよ。」


 ウジ虫を見るかのように俺を見るニーチェが反対側にいる。そして俺の頬をつねってるじゃないか。


「うおっ! いつの間に来てたんだ? 全然気づかなかったぞ。」


「そりゃ私のスキルだとあなたには気づかれないわよ。オルちゃんは家を出た時からちゃんと気づいてたもんね~!」


「にゃあ~!」


ニーチェの問いかけに嬉しそうに応えるオル。


 おいおい。どういうことだ? こいつは忍者の末裔か?


「ま、私のスキルに関しては追々話すとして、とりあえずクエスト受けよっか?」


 鼻歌混じりに掲示板に覗きこむニーチェだがどこか楽しそうだ。って彼女も冒険者ギルドに登録してるのか?


「あ、ああ! そうだな。ところでレイカさん。昨日の出来事ってザネックスさんの馬の件ですか?」


「そうですよ! まさかザネックスさんのあの馬を一瞬で手なずける人が現れるなんて思ってもいませんでしたからね! 朝からギルドにくる方々もどんな猛者か会ってみたいと口々に言ってましたしたよ!」


 えっ……何それ……どうして俺が猛者なんだ? 間違えてもそんな勘違いされてる方に拉致されて、危険極まりないクエストに連行されるのだけは勘弁してほしい。

 できたら迷子犬の捜索とか、セレブのお使いみたいなクエストがあればいいのだがな…


「キノ! これにしようよ!」


 ニーチェが掲示板から1枚の依頼書を取り上げた。依頼書の内容は


求む『サガラ川産の砕竜石300キロの採取』


報酬『金貨10枚』


 金貨10枚っていうと10万か! 300キロの持ち運びが大変なんだろうな。しか~し! 俺にはこのカバンがある! 余裕じゃないか! ただの石拾いでニーチェと山分けしても五万なら十分な報酬だな。ぐへへ。こんな調子ならあっという間に家が建てられるかもしれんぞ!


「よしニーチェ! それいっとこう! まずはそれで準備運動だ!」


「うわ~! キノって見かけによらず頼もしいのね! 私、絶対拒否するって思ったんだけど。」


 依頼書を受付嬢に渡しながら以外に俺を誉める。


「キノさんすごいです! まさか初めてのクエストに砕竜石の採取を選ぶなんて! しかもこれを準備運動替わりだなんて!」


 二人とも目を輝かせている。(ニーチェはしたり顔だが)


「えっ? えっ? どゆこと?」


 レイカさんの横にいたもう一人の受付嬢がニヤニヤしながら教えてくれた。


「ほら、クエスト登録するからギルド証貸してね。このクエストの砕竜石ってね、川辺に住んでるタートルドラゴンの甲羅に付着している結晶石なんだよ。頑張って採取してきなよ。ちなみに口から水刃を飛ばしてくるから気を付けてね~♪」


 慣れた手つきでギルド証を扱いひょいと俺に投げ返す。


「おっと! 挨拶が遅れちゃったわね。私はアヤメ。ここのクエスト管理長よ。」


 アヤメさんですな。はい! しっかりと名前は覚えましたって……嫌だああああ~! 水刃って何なのさ! 刃って切れるやつだよね? あかんよ! あかんすぎるが! クエスト初依頼でいきなり死亡確定じゃね~かよ! これはクエストを変更せねば!


「いや! やっぱり準備運動は町中でやってみるのがいいんじゃないかな。ほら! あの鍛冶屋の炉掃除なんていいと思うぞ?俺、掃除むっちゃ得意なんだ! たぶん全国でもベスト30に入るくらいだぜ! だからぁぁぁ!」


「キノさんのギルド証に依頼書の内容を読み取らせましたから、この依頼が成功するかもしくはキノさんが……かどちらかじゃないと次の依頼は受けれませんよ。まぁ、……だら次のクエストなんて受けれませんしね! そしてこちらはキャンセルはできないクエストですので頑張るしかありませんよ!」


 今ちらっと聞こえたんだけど、俺がどうなったら次のクエストが受けられると言った? 成功したらまでは聞こえたが、その次の……がよく聞こえなかったんだが? ……のとこに死とか入らないよね?


「嫌だぁ! い-や-だぁ-!」


「はいはい。日帰りなんて無理なんだから、準備してさっさと行くよ!」


 首根っこをニーチェにつかまれ引きずられながら俺はギルドから姿を消した。




~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・




キノが去った後のギルド内



「彼ってなかなかおもしろそうな子じゃない?」


「そうでしょ? 今はあんなだけど連れている魔獣、いいえ魔獣とは言いがたいあの存在と、ザネックス様が白金貨を500枚積まれても手放さなかった《主を求めし剣》を手にしたテイマーなんて……」


「もしも彼が落ちぶれることなく順調に成長していったら……」





「決まりね。」





「「絶対に大事に育てましょう!」」
















ようやくクエストを受けました。




そしてキノが手にしている短剣はなかなかの品のようです。


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