表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したんけどほぼ普通の人間なので毎日がサバイバルです  作者: おるる
第1章 オルーツアを生活の拠点としよう
16/130

8 ザネックスさんのお店

ザネックスさんの謝礼は一体いくらなのでしょうか?

気になります。


 扉をくぐり店内に入る。ちなみにオルは入りたがらないので店の外で待つ。店内にあるのはアンティーク調の棚やケースに並べられた数々の芸術品とも言えそうな品々。まばゆい光を放ちとても安価な品でないことが理解できる。


「すごいな。まるで高級ブランドのテナントだ。」


 まさにそれである。セレブご用達の雰囲気しかない。ザネックスさんにこれらは何なのか聞いてみる。


 彼の店は魔導刃という刃物を扱っているという。通常の武器は魔物を殺すためのものなのだが、魔導刃は魔物を解体して素材を取り出す際に血が飛び散ったり素材を無駄に傷つけずに取り分けるためのものらしい。スプラッター的なのが苦手な方には必須だろう。

 俺は釣りが好きなので魚をさばくのはお手のものだが、さすがに血がしたたるような生き物はさばいたことはない。今後のためにもこれはよい買い物ができそうだ。(できれば解体なんぞしたくはないが)


「ザネックスさん。頂いたお金だとどのくらいのレベルの魔導刃が買えますか? ちなみに、魔導刃なんてもの使ったことないから初心者でも扱えるのがいいのですが…」


 どの魔導刃も値札がついていないから値段の見当がつかない。そしてもらったお金で買えるかどうかすらわからない。ここはザネックスさんに聞いたほうが早い。


「そうですね……こちらの棚にあるものでしたら十分購入できますよ。質としては中の上といったところでしょうか。」


 そう言って彼が指し示した魔導刃に目を見張る。


「うぉ……これは……」


 思わず声がでてしまった。


 棚に並べられているのは某ゲームのキャラクターが背中に背負っているような大剣や片手で扱えそうな斧、エルシュさんが持っていたような鎌など、どれも芸術品のようなものばかりだ。これらが中の上だとすると最上のものはどこまですごいのか気になって仕方ない。

 ザネックスさんにお勧められて手にとってみるがどれも軽い。さすがに大剣は両手で持ったが振ってみると以外と振れるもんだ。


「どれがいいかなっと……おっ!」


 目移りしながら選んでいると一振りの短剣に目が止まった。短剣というのか小型の流線型の剣というべきなのか。

 刃渡りおよそ50センチくらいだろうか。柄の部分にはブレスレットと同じ唐草模様が彫り込まれていて、シンプルながらも惹きつけてやまないオーラがある。てか、刃が鈍い青色を放っていて気を抜くとその刃に吸い込まれそうだ。。

 うむ! これに決めた! しかしこの短剣だが、ザネックスさんが示した棚ではなく、部屋の壁隅に鞘と一緒に掛けられているものだ。はたして譲ってもらえるのか?


「ザネックスさん! この短剣が欲しいです!」


 にっこりと笑顔を見せたザネックスさんは短剣と鞘を取り外し、俺の目の前に差し出した。


「キノさんはよい目利きをしていますね。まさかこの短剣が人の手に渡るとは思いませんでしたよ。」


 なんだと……まさかいわく付きの呪われた装備品とか……。そんな心配はよそにザネックスさんは話を続ける。


「キノさんがなぜこちらを選んだのか深くは問いません。ですが、縁あってあなたと私は出会い、縁あってあなたとこの短剣は出会ったのです。どうぞ末長く用いてください。決してキノさんの期待を裏切るなまくらものではありませんから。」


 どうやらそんな心配は皆無のようだ。早速手にしてみるとやはり青色に鈍く輝いている。間違いなくいい買い物だ。ザネックスさん曰く、解体作業だけにとらわれず魔物と対峙したときに武器として用いることができるそうだ。


「ザネックスさんありがとうございます! ちなみにお金は足りますか? 俺、ザネックスさんから頂いたお金以外持ってないのですが…」


「大丈夫ですよ。先ほどのお礼から少しばかりお釣りを渡せるくらいの値段ですからね。はいお釣りですよ。あと、こちらはサービスですから使ってください。」


 そう言ってお釣りの入った布袋を渡し、鞘を吊るす革のベルトを俺にまいてくれた。短剣と鞘を腰に備え、いっぱしの冒険者に見える。


「ありがとうございます! 大事に使わせてもらいますね!」


 感謝を伝え店を後にする。とんだハプニングに遭遇したが結果的にはいいもの手に入れたな。


 店を出るとオルがちょこんと座って待っていた。


―ようやく出てきたか―


―おぉ待たせたな。たぶん役に立つと思えるものを買ってきたぞ。これで俺もちょっとは強く見えるだろ?―


 腰に装備している短剣をオルに見せる。


―…決してその刃をワシに向けるなよ―


 えっ…そんなにこの魔導刃すごいの?


―もう一度だけ言っておくぞ。絶対に! ワシにその刃を向けるでないぞ!!―


 オルがここまで念を押すとは。どんな切れ味なのか非常に気になる。


―大丈夫大丈夫! 嫌だということはしないぞ。それより、お釣りあるから何か買おう。オルのおかげで短剣が手に入ったし、このお釣りで何か食い物でも買うか?―


―おおお! それはよい考えだ! ワシは肉を所望するぞ! 肉を食わせろ!―


 よし! そうと決まれば市場に繰り出してみるか!











キノはよい買い物をしたみたいですね。



次回は閑話を挟みますので物語は一休みです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ