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遺言  作者: 椎名 千尋
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第二十一章

 呆気なく手続きは終わりマンションに帰っていた。出されたコーヒーと豆乳を飲んでいると由香里は書類をいくつか持って来た。

「今から私の名義変更をするわ、嬉しいけど大変ね」


「電話連絡入れるだけだろ? 静かにしておくよ。


 冷蔵庫からチョコを取り出し食べながら雑誌を読んでいた。


 由香里は、一軒ずつ電話をしている。一時間ほどで終わったようだ。


「仕事より楽だったわ」


 玄関先で物音がしている、静かに様子を見に行き覗き穴から外を見る、管理人が何かしているがすぐに立ち去った。玄関を開け確認すると部屋のネームプレートが姫野から荒木に変わっていただけだった。


 リビングに戻ると由香里は何か考え込んでいる。


「どうした? 終わったんじゃないのか?」

「ええ、終わったわ。銀行のお金をあなたのところへ移すか迷ってるの」

「別々でもいいんじゃないか? 俺はどっちでも構わんよ」

「わかったわ、ゆっくり考えてみるわ。お昼過ぎちゃったけど何か作るわ」


 書類をしまいキッチンに入っていった。

 テーブルに付くといつものスタミナ丼だった。


「私が疲れたから今日もスタミナ丼よ、よかったかしら?」

「ああ、最近一日一回は食べないと落ち着かないからな」

「よかったわ私もなの、いただきましょ」

「このスタミナ丼を世間の疲れたサラリーマンに教えてやりたい、みんな元気になるぞ」

「今度ネットの料理サイトに投稿してみようかしら?」

「いいんじゃないか?」

「さっきの件だけど、やっぱり銀行のお金をあなたのところへ移動させるわ」

「好きにすればいい」

「車の名義変更もするから食べたら連れて行って」

「車は車検の時に切り替えればいい」

「そうなの? すぐに手続きしなくてもいいのね?」

「ああ、構わない。元整備士の俺に任せろ」

「わかったわ、銀行の方だけ何とかするわ」


 由香里は通帳を出してきて電話を始めた。


 何やら話し込んでいたがすぐに終わった様だ。


「あなた、銀行に直接行かないといけないらしいわ。

「やっぱりな、今から行くか?」

「もう銀行が閉まるわ、今度にするわ。あなたの通帳を借りてもいいかしら」

「いいぞ」


 何も聞かず渡してやった。


 俺はリビングに移りくつろぎ始めた。由香里が飲み物を用意して持って来て。ノートパソコンで何かし始めた。俺もチョコを食べながらノートパソコンを開く。


 近辺のレストランを探したが、あまりいいとこはなさそうだ、高級レストランは多いがやはりハニーズが俺には行きやすい。


 暫くすると由香里の用事は終わったみたいだ。通帳を返してきた。


「銀行口座を移動する手続きをしたわ」

「そうか、俺は構わんよ。俺は近所のレストランを探したがハニーズ程のところは見つからなかった」

「この辺りであそこ以上にいい店はないわ、私のお気に入りのレストランよ」

「それならいいが、一応今日は籍を入れた記念日だ。レストランで食事をしよう」

「そう言うと思ったわ、だから今日は何も用意してないわ」

「ちょっと出掛けるが、一緒に行くか?」

「ええ、行きましょ」


 俺は山中と江口の携帯を持って出掛けた。港に着くと二つ共海に捨てた。


「俺の用事は終わったよ、どこか寄って帰るか」

「スーパーに寄って頂戴、スタミナ丼の材料が切れそうなの」


 スーパーに寄ると由香里は買い物かごにいろいろ入れだしす、俺は黙って後ろを付いて行った。


「スタミナ丼の材料の他にも結構買ったな」

「二人分ですもの」

 車に積み込みマンションに帰った。

 由香里が冷蔵庫に食材を入れるのを見ていた。大きな冷蔵庫だがすぐに満杯になった。


「そろそろ散髪に行きたい、この前切ったのにもうボサボサで気になる」

「予約を取るわ」


 由香里が電話をする。


「カットだけなら今でもいいそうよ」

「だったらすぐに行こう」


 由香里はすぐ行きますと電話でいい通話を終えた。


 すぐに出掛ける徒歩で五分程度だ。由香里もついてくる。


 店に着くとすぐに呼ばれた。この前のスタッフだった。


「前回と同じにしてくれ」

「わかりました」

「前に来た時もだがこの時間帯は空いてるのか?」

「そうですね、朝から夕方近くまでは結構込みますがそれ以降なら割と空いています」

「だったら今度からもそうするよ」

「ありがとうございます」


 鏡越しに由香里を見たが、スタッフと話をしている声が聞える。


「今日あの人と入籍したの、今度から姫野ではなく荒木で予約するわ。

「わかりました、おめでとうございます」


 カットが終わり髪も洗ってもらった。


「何かつけますか?」

「いや、このままで構わない、ところであんたがこれからも俺の担当なのかい?」

「そうです、よろしくお願いします」

「こちらこそ、これからも頼むよ」


 会計を済ましマンションに一旦帰る。自分でワックスを付けセットする。


「レストランに行こうか?」

「そうね、お腹も空いてきたわ」

「この前みたいな豪華なチキンのセットはよそう」

「私もそう言おうと思ってたところよ」


 レストランに着くと、ウェイターが来る。

「今日は結婚記念日だ、チキンのセットじゃなく極上ステーキで頼むよ」


「かしこまりました、他にご注文は?」

「ガーリックライスとグラタンを頼む」


 席に案内された。


「明日はまたショッピングモールへ行くぞ」

「先に銀行に寄ってもらってもいいかしら」

「ああ、時間は十分にある」


 料理が運ばれて来る、特製ダレも付いてくる。


「食べながら話そうじゃないか」

「いいわよ」


 ステーキから手を付ける。何度食べても美味い肉だ。


「こんな肉はスーパーじゃ手に入らないな」

「近所のお肉屋さんになら置いてあるかもしれないけど、こんなに分厚いのは置いてあるかしら?」

「今度見にいこう、家でも食べたい」

「ガーリックライスとグラタンは簡単よ」

「いいな、再現してみてくれ」


 食べ終わると、散歩がてらにコンビに寄ってATMで現金をおろし、アイスをいくつか買って帰った。


 二人でアイスを食べながら明日の予定を再確認した。


「午前中に銀行で、午後から買い物で決まりだな、それでいいか?」

「ええ、いいわ。何を買いに行くの?」

「まだはっきり決まっていない」

「まあいいわ、見て歩くだけでも楽しいし」

「じゃあ、さっさと風呂に入って早めに寝よう」

「もう沸いてるわ」


 いつもの様に二人で入り、体の流し合いをした。風呂から上がるとまたアイスを取り出し食べる。


「あなた、そんなに食べるとお腹壊すわよ」

「この程度なら問題ない、駄目なのは牛乳だけだ」


 食べ終え、残った豆乳を飲み干し寝る準備をし、ベッドに入る。

 久しぶりに由香里を抱いた。

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