第十六話 二泊三日のバカンス 2日目
今回は合宿二日目、海では恒例の西瓜割りの話です。
BGMにビードロ模様とかかけると捗りますねぇ!
昨晩のバ●ルドーム!!じゃない枕合戦では結局全員疲れ果てて
沈む様に眠ってしまった。朝起きたら浴衣の乱れまくった各々が
死屍累々(ししるいるい)となっていて起こさない様にきっちり
視姦させてもらった。黙っていればかわいい速水は性格も幸い
しているのか寝相が悪く色々丸見えであったが、性格が性格なので
あまいデリシャスとは言い難かった。
立花は死んだように寝返りもうたず大人しめな恰好で寝ていたが
元々肌が透き通るように綺麗な白の為非常に綺麗だった。
そしてメインディッシュの桐生院さんだが、太ももだ。
枕合戦のおかげでラフに着崩した感じで太ももだ。
いやぁ、マジマジと覗いたらショーツが丸見えなんじゃないかって
思う位浴衣が捲れ上がりいいオカズを頂戴致しました。南無南無。
仏じゃ、これは仏に違いない。ショーツまで覗こうとすると
かなり危険なのでリスクは踏まなかったが、十分堪能出来たので
良しとしよう。デュフフ。
……と、桐生院さんの太ももをガン見していると速水が唐突に
むくりと起き上がる。
「私は見てくれないんスね」
うわぁぁぁぁこいつ起きてやがった、狸寝入りしてやがりましたよ!
「オハヨウゴザイマス」
「なんか片言になってるっスよ?」
「ワタシハナニモミテマセニョーリタ」
「見てない?今桐生院さんの足ガン見してたっスよね?」
「ホワーイ?ワタシワカリマセーン」
「あー、認めないなら後でちくるっスよ?」
「ああもう、分かったよ見てたよ悪いかよ?」
「いや、そんなに会長が見たかったら私なら……見せてあげるっスよ?」
「いや、いい」
「即答っスか!」
こんな問答をしているうちに桐生院さんと立花も目覚めてしまった。
ああ、私の桃源郷が終わってしまった。
「あ、起きたんですねおはようございます」
「むにゃ、おはようございます」
「あらあら、朝から喧嘩ですか?おはようございますです」
しかし、いいものを見た当面はオカズには困らないだろう。
さて、朝食を食べてまた海に繰り出そうか。
昨日出来なかった西瓜割りもしたいからな。
「ご飯食べたらまた水着で海に集合な?」
「あ、西瓜割りっスか?了解っス」
「わかりましたー」
「はい」
各々に快諾してもらい、海の家らしい朝食を食べる。
アジのひらきに、目玉焼き、海藻サラダ、味噌汁といった具合だ。
別段普通の旅館を予約したのだが、思ったよりも格段に料理がおいしい。
温泉も絶景かついい具合だったし今回の合宿は当たりかもしれない。
「おいしいですね」
「ういムッシュ」
「そうっスね!」
「おいしいですねー!」
桐生院さんがやたら喜んでいるのだが、普段こういうものは
食べていないのだろうか?
まぁ、今は突っ込むのはやめておこう。
それにしても、魚はともかくこの濃厚な目玉焼きはなんだろう?
「おばちゃん、この卵って何か特別なもの使ってる?」
「ああ、それはうちの庭で飼ってる烏骨鶏のものだよ」
「うお、道理で美味しいはずだ」
「美味しいって言ってくれてありがとうね」
「いえいえ」
おいおい、最高級鶏卵じゃないか。それはサプライズだな。
物凄い勢いでご飯をかき込むと水着をもって海へと向かう。
「さて、海の家についた訳だが今日もピーカン照りだな」
「日焼けクリーム塗らないと焼きイカみたいになりそうっスね」
「立花、今日もクリーム塗り頼むよ?」
「あっ、はい分かりました!」
凄く嬉しそうに快諾する立花。
「うぇぇ、会長私に塗らせて下さいよー」
「お前が塗ると何かが減るんだよ」
「減りませんて!」
「まぁ、そういう訳だから!」
強引に話を終了させる。
よし、速水の毒牙にみすみすかかってたまるかってんだ。
少し遊んでる感じがする速水も内面は奥手でカワイイ感じ
なのだろうが何がどうして表面の性格はこうも難があるのか。
さて今日もやってきましたサンオイルタイム。
真っ白で絹肌の立花の肌にそっとサンオイルを塗っていく。
手が触れるたびにぴくぴくと反応する様子が可愛らしい。
しかしなんだろう、ずっと触れていたくなるような肌だな。
「よし、塗れたぞー交代な」
「は、はい宜しくお願いします」
「宜しくってこっちのセリフだぞ?」
「ああ、すみません」
そんな感じでサンオイルを塗ってもらったのだが、終始
手が少し震えてた気がするが気のせいだろう。
そんなこんなで速水チームも無事塗り終わったみたいだ。
さて、ここにレジャーシートを引いてっと。
真ん中に西瓜を置いて転ばないように固定してっと。
「こんな感じでいいかね?」
「おお、完璧ですね!」
「……さて、誰から行く?」
「会長どうぞっス!」
「そうですね、それが良いかと」
「まず会長からが適任だと思います」
「満場一致で私からか」
「あ、じゃあ目隠しつけるっス」
「ああ、頼むよ」
うお、マジで真っ暗じゃないか。
まずいな目隠しプレイはこんなにゾクゾクするのか。
あ、マジでゾクゾクが止まらないってオイ。
「おいこら、目隠しした傍から耳に息吹きかけるんじゃない!」
「あ、バレました?さーせんっス」
「反省してないだろ」
さてと、確か、西瓜はこっちの方向だったよな?
「あ、ローカルルールに乗っ取って10回回って貰うっス」
「え?ちょま!」
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるめベジタリアン!
ぐぁぁぁ、目が回る気持ち悪い。
いかん完全に世界が回ってる。地球は回ってるが世界も回っている。
今きっと私は地球の自転に逆らっているに違いない!
「はい、10回もう行って良いっスよ?」
「おぇぇ、完全に方向感覚が」
とりあえずひのきのぼうで地面をぶん殴ってばいつか当たるかな?
ブォン
「ぬわっ、ちょ私を狙わないで下さいよ!」
「え?そこにいたの?」
ブォォォン
「やめるっス、私は西瓜じゃないっス」
「積年の恨み、晴らさずべきか」
「トリャー」
「西瓜はあっちですからー!」
「何争ってるんですか?西瓜と逆方向ですよー」
「私はこのエクスカリバーで世界を両断するのだ!」
「意味が分からないっス、西瓜割してほしいっス」
仕方ない、これ以上遊んでる場合ではないな。
ここで私がカッコよく西瓜を一刀両断すれば桐生院さんへの
株が急上昇間違いない!
「あーごめんごめん、つい聖剣が暴走してしまった」
「それひのきのぼうですよね?」
ブォン
「うお、だからやめてほしいっス」
まぁ、いいさて西瓜はどっちだ?
「もっと右です右です」
「もう少し前に進んで下さい」
あ、やばい、方向感覚がおかしくなってる。
「あ、今度は左です左です」
ここはあれだ、見えないからダメなんじゃない。
心の目で見るのだ、さすれば虚空に濯ぐ
西瓜は目の前に現れん。
「もう少し前ですー」
前か、前だな。
ススス、すり足で距離を測る小鳥遊会長。
「あ、少し右です、そうですその辺です」
「射程距離入ったっス」
ほうこの前方に西瓜があるとな?
拙者、エクスカリバー次元流免許皆伝ニキ。
不浄なる丸き悪鬼に正義の鉄槌を下さん!
「あ、そこっス今っス」
「いっちゃってくださいー」
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
バシッ
ズベチャビシビシビシパーン
「成敗!」
西瓜の中心にクリーンヒットしたゲイボルグを受けて
粉砕する悪鬼の魂。
いや、そもそもエクスカリバーではなかったのか?
細けぇ事は良いんだよ!
「凄いっス、一発で仕留めたっスね!」
「か、会長流石です」
「会長凄いですねー」
三者三様の賛美を浴びせてくる状況は満更でもない。
カ●ジばりの鼻になった所でみんなで実食タイムとなった。
全く手加減せずにぶん殴ったせいで見事に砕け散っている。
ま、食べやすいから良いか。
「西瓜美味しいですね?」
「そうだね、西瓜ってコレ1個しかない?」
[重かったので1個しか持ってきてないっスよ?]
「はい、それ1個だけですね」
むう、そうか。自分が一発成功させてしまった上に
砕け散って後続が出来なかったのは残念だ。
しかし、夏の海、セミの声が響き潮風が気持ちの良い快晴の中
西瓜を食べるのはまさに至高と言っていいだろう。
「この後、まだ時間あるけどどうします?」
「またキャッスル作りますか?」
「また埋められるのごめんだぞ?」
「あの時はすみません」
あ、スパンキングしてた桐生院さんの尻の感触が蘇るわ。
柔らかくて張りがあって、それでいてムチムチだったなぁぐへへ。
またもや立花が冷たい視線を送っている事に気づく。
「またえっちな事考えてません?」
「オウフ、そ、そんな事はないよ?」
突き刺さる視線が痛い。
「そうだあっちに浅瀬がありますから散策に行きませんか?」
「お、いいね行こう行こう」
海水浴場から少し外れた浅瀬につく。岩がごつごつしている所に
カニやらヒトデナシやら未確認生命体がうぞうぞしている。
勿論嫌いなフナムシも居るぞ!
「うわぁ凄い所に来ちゃったぞ」
「うおー、みんなウミウシがいますよウミウシ!」
「うわ、なんですかそれナメクジみたい!?」
「あらあら、みんな元気ですねー」
三者三様まさにカオスである。
関係ないが、モン●ターはカオス派である。
50%果汁時代は美味しかったのにどうしてこうなった!
否、今はそんな話はどうでもいい。
おぃぃぃぃ、ウミウシを掴むんじゃない!
「あはは、なんだかこれナマコみたいっス」
「ナマコじゃねぇよキモイから海に返せ!」
「ちぇー返しますよーだ」
ぼちゃん
母なる海へと帰っていくウミウシを見送る小鳥遊隊員。
イイハナシダー。
願わくば十代の女の子ばっかりの竜宮城に連れて行ってほしいゾ。
まぁ、ウミガメならともかくウミウシじゃ無理だろうな。字は似てるが。
「あ、ヒトデさんがいますよ!」
「こっちはヤドカリさん!」
立花がやたらハイテンションなんだが、こんな風に無邪気にはしゃぐ子
だったかな?
あ、ウニが居た。
……食えるのかな?
反対にしてみるとグロテスクな口が見える。
……やっぱやめとこグロイわ。
ぼちゃん
「いだだだだだ!」
「なんでこんな所にウニが居るっすか!」
投げ捨てたウニを1分後に速水が踏む所まで綺麗なテンプレだった。
私は断じて悪くないぞ?
「ちくしょうめー!」
20mくらい飛んで行って海に着水するうにさん。
ちょっと可哀そうである。
そんなこんな昼になっていたので一先ず、ウニの家じゃない
海の家に戻る事にした。
「ふー、結構汗かいちゃいましたね?」
「あっついっス」
「そうですね、ムシムシします」
「まぁ、なんだ楽しかったね」
「そうですねー久々にはしゃいじゃいました」
「ウニが足に刺さる所以外はたのしかったっス」
「ウミウシがなめくじみたいで面白かったです」
「あ、ナメクジっぽいけど塩でも溶けないのは凄いですね」
やはり桐生院さんだけ何かがおかしい。
む、速水が水着のブラを浮かせてタオルで拭いている。
そこそこ胸あるんだよな~この子。共学なら相当モテる
タイプなんじゃないかとは思う。
あ、目が合った。
「あれあれ~?私の胸が気になるッすか?」
「いや、素材は良いのに、なぜ性格まで手が回らなかったのか」
「会長が見たいなら幾らでも見せるっスよ?ぬふふ」
褒めたとたんこれだ。さっきのウニは天罰だな。
「へいらっしゃい、何にしますか?」
ガタイのいいマッチョの店員が注文を聞きにやってくる。
「自分カレ-ライスお願いするッス」
「わ、私はイカ焼きを」
「私はそうね、焼きそばを戴きます」
「なんだこれ 根性焼きカレーとかいうのがある」
「あ、それは素人さんにはつらいかと」
「そっか、じゃあ私もカレーで」
「へい、了解しました」
奥に置かれた鉄板に向かい焼きそばを焼きはじめるチャラ男
風の店員。腹筋が割れてて結構イケメンだが、私は女子がいい。
ぷにふわムチムチの女子がいいのだ。
そういえば、桐生院さんは確か腐ってた筈だが、嫌な予感がする。
恐る恐る桐生院さんをチラ見すると、嫌な予感が
的中した。イケメンの接客係さんとチャラ男をガン見して
ニヤけている。
これは脳内妄想バリバリの危険な状態ですね。
「ふへへ、どっちが受けでどっちが攻めなのかしら」
確実に独り言だと思うがさっきから色々怖い。
「やっぱりマッチョ受けかしら?」
ここは一応立場上けん制しておくべきか。
「あの、桐生院さん、声漏れてますよ?」
「ひゃっ、すみませんついつい妄想が」
その後出てきた料理に舌鼓をうつみんなと
ひとりマッチョとチャラ男をガン見し続けるという
惨状が食後まで続いていた。
「さて、お昼過ぎましたけど、お腹も一杯だし
早めにもどろうか?」
「あ、賛成です、ちょっと疲れちゃいました」
「むー、みんながそういうなら仕方ないっスね」
「了解です、しかしあの腹筋を舐めるチャラ男とかムフフ」
ダメだ、完全にスイッチ入ってるわ。
海の家の更衣室を借りてラフな普段着に戻ると旅館へと
帰るのだった。
「あ、この旅館の先に灯台あるらしいんですけど肝試しでもしません?」
「ほほう、それは面白そうだ、暗くなったら行こうか」
「2人一組でチームはくじ引きにするっス」
「あ、こわいの苦手ですけどみんなやるなら参加します」
「よし決まり、それまで自由時間な!」
さてと、一人で海風にあたりに防波堤でも見に行くかな
解散!
予想以上のボリュームになってしまっている合宿ですが、次の話で最後になります。
ああ、物語はまだ続くんですけどね。
夏の定番を全部回収していくスタイルなので、肝試しと花火の回になります。それでは!