第十三話 夏と西瓜と強化合宿!
気づいたら一週間経っていた。何を言っているかわからな(ry
今回は浜辺によくある珍事をネタにしてます。
一週間更新間に合った。(ぎりぎりかよ)
……暑い。
咽る様な湿気と生臭い海の風、そして群がるフナムシ。
ダイオウグソクムシは海の底に居るらしく居なかった。
ああ、虫は全く大丈夫なのだが、フナムシの動きを見ていると
既視感を感じる。そうGっぽいのだ。
そういう理由で防波堤で蠢くフナムシはあまり好きではない。
そして私は今、海の家に居る。
まぁ、所割生徒会の親睦会も兼ねた
強化合宿と言う奴だ。
世間では快晴、海日和だとか言って囃し立てるが、
暑い、眩しい、生臭いの三重苦だ。
どこかのおっさんのようだが、別に蔑視してる訳じゃないぞ?
私は胸が無いからビキニとかは相当似合わないので
ワンピタイプの水着なのだが、水に入らないとお腹周りが無性に熱い。
かといってべたべたする昆布の出し汁入り海水に漬かるのも癪だ。
そういえば、海には魚が住んでいるがシーフード味には成らないのには
何か秘密があるのだろうか。
ただ生臭くてべとべとするので火を通せばシーフード味になるのかと
子供時代は思っていた。
実際は煮込んでも不純物だらけの濃い食塩水になるだけでちっとも面白くなかった。
実際の所そんな事はどうでもよく、生徒会4人の旅行でどう考えても
フラグの立っている速水サンとか色々危機感があるままこの日を迎えた訳だ。
泳ぐのも好きではないので只管にビーチパラソルの下で
海の家のブルーハワイソーダを嗜んでる次第である。
で、他の3人はと言うと速水は性格通りというか、青ビキニで均整のとれた
プロポーションを武器に浜辺で桐生院さんと遊んでいる。
桐生院さんは不二子ちゃんバばりのナイスボディなのだが、少し控えめに
パレオ付き白水着ではあったが野獣の眼光を豊かにさせるには十分であった。
で、立花は思ったよりぽちゃぽちゃしてる印象があったが線は細いが
綺麗なボディラインに透き通るような白い肌で凄く綺麗だった。
ただ一つ、なんで合宿だからってスク水やねん。バカンス(言っちゃった)に
来てスク水って色気もドメスティックバイオレンスも無いじゃないか。
あれ?ドラマティックサイレンスか?……良く解らなくなってきたゾ。
まぁ、それで文系の彼女は私の横でちんまり体育座りで座って
小説を読んでいた。
私もブルーハワイソーダを飲みながらリア充カップルのイチャイチャやら
ファミリーの微笑ましい遊戯等を見ているのに限界を迎えていた。
魔法よさらば!って小説で魔法の悲惨さとか無力さを綴った
名作らしいが、私には柄ではないので丁寧に読むのを断った。
まぁ、他にもライトのびるず?とか言うコミック様相の軽い
読み物も持ってきていたのでそれを借りて読むことにした。
ああ、ロメオよどうしてあなたはポンコツなの?
それはあなたが年代物のアルファロメオだからよ!
……なんだこれ、違うのにしよう。お、これエロそう。
おかえり、今日は何? 何が獲れたの? イサキだよ!
イサキ!? 大量!? 大量だった!?
うわぁ、なんだかすごい事になっちゃってるぞ。
どういうチョイスでこの本を持ってきたのか、立花の将来が本気心配に
なってきた頃、遊んでいた二人が帰ってきた。
あー、桐生院さん走ると胸が、胸が零れそう……イイっすよ、零して!
全部受け止めてあげますよ!
「あの、もしよかったら砂に埋まらないっスか?」
「二人で遊ぶのも良いんですけど、やはり親睦会も兼ねているので
お二人が居ないとダメかなーと思ったのですけど」
「そういえば全くと言って良い程朝から会話もしていないな」
「はい、それでお二人も一緒に砂で遊びませんか?」
「会長には特別に埋まる権利をあげるっス!」
「あ、でも私暑いの苦手ですし」
「大丈夫、私の持ってるこのサンオイルのUVカット率は99%以上っス」
「……あ、日焼けしないのでしたら少しだけ」
「会長!」(3人同時に)
「あ~分かった分かった。ちょうど飲み物も切れたし付き合うよ」
「サンオイル貸してくれ」
「それだったら、是非塗りますよ、グヘヘヘヘ」
「それは遠慮する、桐生院さん背中お願いします」
しょんぼりする速水を横目に背中にオイルを塗って貰う。
「立花さんは私が塗ろう!」
「えええええ!?」
「ダメか?」
「い、いえいえいえいえ、是非、是非っお願いします!」
凄く嫌がってるようなお願いされているようなどちらか分からないが
まぁ、塗るとしよう。
立花の肌は純白とも粉雪とも思わせる白で透き通っており
まるで人種すら違うかのような白さだった。
そして手を触れるとすべすべできめ細かく、日々手入れしているのが
手に取るほど分かるにシルクのような肌ざわりだ。
柄にもなく、オイルを塗る手に集中してしまった。
「あの……まだでしょうか?」
「まだまだ、もう少し塗り込まないと日焼けしちゃうよ?」
「は、はい」
「あの…ま」
「まだまだまだ」
「あ」
「ドナドナドナドナ~♪」
「え?」
「よし、塗り終わり」
立花の吸い込まれそうな肌をずっと触っていたかったがこれ以上
伸ばすと怪しまれる。
「あ、有難う御座います」
「今日はこれ位にしといてやる!」
「…あの、暑さで変になってないっスか?」
「大丈夫!」
「それならいいっス」
サンオイルをぬりたくって波打ち際に集まる一同。
「えーと、ナニするんだっけ?」
「会長を埋めるッス」
「まだ死んでないぞ?」
「いや、ただ埋まるだけの簡単な仕事っス」
「タンポポを乗せるより簡単と申すか?」
「寝てるだけっス」
「なら寝てるから後は任せた」
「了解っス」
「さーみんな、どでかいキャッスルでも作るっスよー!」
「おー!」(3人)
「まずは穴を掘るっス」
物凄い勢いで掘り進む速水。前々から思ったが、速水は犬っぽい
掘り方するんだな。
みるみるうちに大きな穴がぽっかり開いていた。
他の二人は砂を払う係に徹していた。
「会長、ここに入るっス」
「お、おう」
小鳥遊が穴にすっぽりと収まると同時に払っていた土を
物凄い勢いで乗せられていく。
うごごごご、思ったより重いぞ。
暫くして結構な重さになった頃、漸く砂を乗せるのを
辞めたと思ったら今度は造形に入っていた。
適度に水分を含んだ土が理想だそうだが、ぶっちゃけ
何を作っているのか私からはさっぱり見えない。
「もう少しですから、動かないでほしいっス」
「動くなもなにも動けないけどな?」
「あはは、それもそうっスね」
「あの……もう少し待ってくださいね?」
「思ったより楽しいですね」
ぶっちゃけて言いっすか。重い。さっきので終わりかと思ったら
更に土と水ぶっかけてるし、寝てるだけじゃないじゃないか!
これは宛ら、海の神ネプチューンに捧げられる
人身御供であるかのような状態である。
海の神よ、我慢するからシーフード●ードルを奢ってくれ。
あ、間違ってもプードルじゃないぞ。食えない。
「あのさ、重いんだけど?」
「土盛りまくってるっスからね」
「す、すみませんもう少しですから」
「ごめんね、もう少しみたいだから」
「うい、了解」
で、完成した頃には夕方になってた訳だが。
結局重すぎて寝られないし、砂がじめじめして
気持ち悪いしで散々だった。
完成前には見学する人が多数集まり、完成の声と共に
選手には絶え間ない拍手が送られた。
って、おい、見えないぞ。一体何が完成したんだ!?
埋められた頭上には大きな石垣のようなものが見えるが
全貌は全く持って謎というか、重い重すぎる。
ワーワーパチパチパチ
歓声が響く中、完全にアウェイ状態の小鳥遊は叫んだ。
「おい、こら、いい加減出せ!」
しかしギャラリーの歓声に搔き消される。
「いやー作った作った犬山城」
城か! 城なのかこれ!?
「お腹空きましたね、そろそろ日も暮れてきましたし戻りますか?」
「そうっスね、戻りますか」
「は、はい、では戻りましょう」
~Fin~
……。
……。
……フィンじゃねーよ、ここ! ここ埋まってるからね!?
そして皆は民宿へと戻って行ったのだった。
え?あの、ここ満潮になると沈みますよね?
いや、普通に死ぬからね?まって!みんな待って!
「なーんちゃって、冗談っスよ」
「びっくりしました?」
「す、すいません皆に言われて」
「びっくりじゃねーよ、頃す気かよ! コロ助だよ!」
「これはまた奇妙奇天烈ですな」
「上手い事いってんじゃないよ! マジで帰るかと思ったわ!」
「あはは、だって途中から寝てたっスもん」
「ご、ごめんなさい」
「ごめんなさいね、速水ちゃんがどうしてもって言うから」
桐生院さんまでセットで不埒な悪行に手を出すとは。
まぁ、速水とも立花とも今まで以上に打ち解けたようで幸いだ。
「じゃあ、掘り出すんで暫く待ってて下さいっス」
ガサガサガサガ
砂の城を壊し始める一同、そのうち次第に波打ち際が迫って来る。
「あの、波目の前まで来てるんですけどー!?」
「ちょっと気合いれて盛りすぎたっす、もうちょいッス」
冗談じゃない、溺れる! どうせ溺れるなら桐生院の乳に溺れたいわ。
ちがう、死ぬから、ちょっと待って波来てる来てる。
「あ、これヤバいっスね」
「早く出た方が良いですよ!」
「あわわ、会長どうしましょう」
砂が……重いんじゃ。
とか言ってる場合じゃない、重い?愛より重いもんなんてないんじゃ!
これは逃げないと死にかねないやつですね?
小鳥遊小鳥一世一代のフルパワーだ!
「お前ら後でお尻ぺんぺんだからな!」
「ふんぐおおぉぉぉぉおおお、ファイトー!」
「三パーツ」
「プラモか!」
それは東城女学院に入って初めて出す本気だった。気がする。
ただの女性だったらこのまま溺れ死んでいただろう。
だがこの小鳥遊その程度で死ぬ器量ではないのだ!
ビシビシビシ、バコン!
多量に水を含んだ犬山城は落城し、中から桃太郎ならぬ
小鳥遊さんが爆誕である。
あっけに取られ微動だに出来ない3人を他所に
コロンビアのポーズを決める小鳥遊さん。
ワーワー パチパチパチ
3人の絶え間ない拍手が、ってこいつらが埋めた犯人じゃねーか!
「お前ら、後でお尻ぺんぺんな?」
「ご褒美ですか!?」
「ご、ごめんなさい!」
「ごめんなさい、やりすぎちゃったね」
「桐生院さんは許す」
「だが、速水と立花!」
「ひゃい!」
「ふぁい!」
「不埒な悪行三昧、お天道様が許してもこの桃太郎は許さない
絶対にだ!」
「あとでお尻ぺんぺんな?」
桐生院さんと立花さんは少ししょんぼりしていたが、何故か
喜々とした速水が少し怖かった。
満潮寸での所で無事犬山キャッスルから爆誕した小鳥遊さん。
時間は既に夜になりかけていたのでそのまま旅館に帰ることに。
「ふぃー、今日は酷い目にあった」
「ごめんなさい」
立花はだんだん事の深刻さに涙目になっていた。
速水はまるでお尻ぺんぺんを全裸待機してるかのように
そわそわルンルンしている。変態かこいつは。
「ごめんなさいね、あの、わたしもぺんぺんに付き合います」
「え?桐生院さんは唆されただけでは?」
「犬山キャッスルを考えたのは私なの、だから」
「そ、そうだったんですかそれじゃ仕方ないですね」
「じゃあ、あとで一緒にお仕置きされて下さい」
「……はい」
桐生院さんの爆尻おしりスパンキングプレイ券ゲットだぜ!
それにしてもワンピの水着の中に砂がじょりじょりで
とても気持ちが悪い。
折角なのでこのままこの宿自慢の温泉に行くとしよう。
いかがでしたか、次回は温泉回、そして2日目の合宿がはじまります。
水を吸った砂は想像以上に重く、固まった時の強度は凄まじいです。
小鳥遊さんは、頭こそ悪いですが、体力は人並み外れている為
キャッスルを破壊する事が出来ましたが良い子は真似しないでね!