第十二話 夏休み前のすっぽんドリンク
少し遅くなってしまい申し訳ないっす。今回は図書館でのお約束な話がメインです。
夏休みに入る前に一話入れたかったので描きました。
相変わらず酷い小鳥遊さんなのですが、生徒からの評価は上々のようです。
服に飛び散ると洗っても落ちない麵液……じゃない
梅雨が終わっていよいよ夏に差し掛かり始めた頃。
茹だる様な暑さとべとべとした湿気た感覚。
日本の夏、き●たまの夏がやってきた。
正式には金●なんだが、一文字隠すとこの通りである。
等とアホな妄想をしつつエアコンのない生徒会室で
瀕死になっている小鳥遊さん。
「あづい……しぬ…る」
「本当、暑いですねー」
ゆでだこの様に真っ赤になってバテている小鳥遊と裏腹に
物ともせず公務に励む立花。東城の立花は化け物か!
「ねね、ここクーラーも無くて死にそうなんだけど、生徒会費で
クーラーとか付けれないかな?」
「そんな高額な物買えませんよ」
「夏涼しくて冬暖かい、それでこそ生徒会が執行出来るという
物ではないのだろうか?」
「熱弁しても会費足りませんからね?」
「まぁ、そりゃあそうか。この部屋にエアコンなんてつけたら
他の部室からも非難浴びそうだし」
「あ、そうだ会長もこれ後頭部の首筋とかに張ると涼しいですよ?」
そう言って熱ザマすシートを取り出した。
ああ、それってそういう使い方も出来るのね。
「ああ、じゃあ1枚貰うね、ありがとう」
「いえ、気にしないで下さい」
そういってちょっと俯いて手をぶんぶんさせて
照れて見せた。
お、可愛いじゃん立花。
ぺたっ。
後ろのうなじの辺りに熱ザマすシートを張り付ける。
「おお、これはすず…すず…すずスィー!」
大げさに喜んで見せたら立花が凄い笑顔で喜んでくれた。
そういえば普段は全くもって大人しい立花だが、
生徒会室にいる時はからからと笑うし、発言もしっかりしてる。
そんなに生徒会が気に入ってるのだろうか?
熱ザマすシートのおかげで少しは涼しくなった気はするのだが
相変わらず暑い。暑すぎる。
いまここに夏がいたらフルポコパンしている位はムカツク。
煩いセミのフルコーラスも加わって色々限界が
近づいていた。
茹だってだれ切っている自分を他所にいそいそと
公務に励む立花。今日は休日前で作業が終わった
速水と桐生院さんは先に帰っていた。
暫く時間がたった後、立花が唐突に声をかけてくる。
「あ、そうだそんなに暑いんでしたら図書委員会の視察とか
どうでしょうか?」
「え?図書室って事?」
「はい、あそこなら冷房は効いてますしまだ開いてる筈です」
「あ、そうか、避難すればいいのか!」
「タチバナ、サン、ナイスデース」
「くすっ、では行ってきていいですよ」
「サー、イエス、サー」
扇風機もない灼熱地獄の生徒会室を後にし、いざ図書室!
図書室は3階の一番奥、3年の先輩達の教室がある階だ。
汗だくになりながら階段を上る。
運動不足が祟り3階に上るだけで息は上がり
汗だくつゆだくである。…一応だが牛丼ではない。
牛丼屋で特盛汗だくを注文すると、中年のマッチョの
おっさんがタンクトップで筋トレしながら持ってきて
くれそうだが、この蒸し暑い時にそんな事を考えていたら
余計熱くなってきた。
あと少し、あと少しで冷風の吹く里、エアコンの効いた
図書室だ。ゼーゼー。
いよいよ図書室に到着しスライド式のドアを開ける。
ガラッ。
むわ~~~~~~ん。
え?ちょ!?ナンデェ?
楽園を思い描きドアを開くとそこは熱帯雨林だった。
「し、しぬ」
ドアを開けた所でへたりこんでいると、図書委員らしい生徒が
声をかけてきた。
「あ、あの会長の小鳥遊さんですよね?」
「え?あ、そうだけど何?」
「こんなトコに座り込んでどうしたんですか?」
「冷風が……風が読めない」
諸葛亮かよ!
「風?……あ~クーラーですか?いまちょっと故障してて暑い
ですよねすみません。」
「こ、故障だって!?」
更に力が抜け、顔が湿って力の出ないジャムパンマンみたいに
なってきた。
「あの……すいません近日中には治るとは思うんですが」
「ああ、いや君は悪くない、悪いのは故障したクーラーだ」
「はぁ」
「やつが故障したせいで私は……私は……希望を失った」
ここで漸く視線を上げて先輩らしい図書委員を
見上げる。
流石に暑いのか少し汗ばんだブラが透けて見えた。
白か白なのか、流石図書委員清潔感が溢れている。
ヤバい感動してきた、メガネでおさげで白下着とか
テンプレ図書委員の鏡ではないか。
……あ、ちょっと回復してきた。
「あの、大丈夫……ですか?」
「はい、もう大丈夫です、大切な物を貰ったから」
「大切な物?」
「笑顔です」
「え?私笑いましたっけ?」
「いえ、私が微笑っただけです」
「……はぁ」
なんだか状況が呑み込めない感じで首を傾げる図書委員さん。
ここで漸く胸から名札へと視線を滑らせる。
「柊さん……か」
「あ、呼びました?」
「いえ、今日も暑いですね」
「あ、はい、そうですね」
ここで柊さんは思い出したかのように手をパチンと打つ。
「あの、実は上の方の本を整理したいんですけど、脚立が
古くて揺れるので押さえてて欲しいんです」
「む、本の整理ですか?良いですよ手伝います」
特に何の下心もなく、与えられた仕事をこなしていく会長の私
カッコイイー!
等とは微塵も思ってませんよ。
貸出カウンターの奥にある脚立をいそいそと持ち出す柊さん。
「うわぁ、これはまた結構な年代物ですね」
「そうなんです、だから乗るとガタガタしてて
誰かに抑えてて貰わないと怖くって」
「良いですよ、押さえてますんでそちらのお仕事をやって下さい」
「有難う、じゃあ押さえてて下さいね」
柊さんが脚立に上り私が支えるという形で作業が始まる。
……。
……。
…しかし押さえてるだけだと暇だな。
ふと何気なく上を見上げると!?
ぱぱぱぱ、パンツ見えそうなんですけどー!?
これは役得かもしれない。
地味目な子なのでスカートは寸分違わず規定サイズのせいで
スカートの奥はよく見えない。
というかもっと顔を突っ込まないと楽園へは
辿り着けないだろう。
ガタガタッ
スカートの奥を覗こうとした拍子に脚立が揺れる。
「きゃっ」
「あ、すいません」
ふぅ、危うく脚立を倒す所だった。
これ以上顔を突っ込もうとすると危険だな。
流石にパンツ見たさに柊さんを危険に晒す訳にはいかない。
ここは我慢、我慢だ小鳥遊。
……。
……。
あーもう、ぎりぎり見えない絶対領域がクソックソッ。
暫くこんな格闘マッチを繰り広げそろそろ終わるかと
思った矢先、柊さんが上段の本を引っ張った拍子に
本が一段丸ごと落ちてきた。
「きゃっ!?」
「うおー雪崩がー」
大辞林レベルの本が一斉に落ちてきて死を覚悟したのだが、
それより早く滑落してきた柊さんを受け止める形で尻餅をついた。
直後、大量の本が雪崩になってくる。
ドサドサドサッ。
「いってー」
「いたた、大丈夫ですか?」
何冊か直撃を食らったらしく、頭がズキズキする。
が、それ以上に受け止める形で柊さんのクッションになったのだが、
スカートが綺麗にめくれて純白のパンツが丸出しになっていた。
ウヒョー、もう痛みなんてどうでもいい今はこれをガン見出来れば
それで全ていいのだ。
「何発か貰っちまった、イテテ」
「本当にすみません、医務室へ行きますか?」
そんな事よりパンツだ。
「私の事はいい、柊さんは大丈夫ですか?」
「はい、幸い本にも当たらず小鳥遊さんが受け止めてくれたおかげで
怪我も無いみたいです」
「それは何よりです」
「あの、頭から……血出てますけど本当に大丈夫ですか?」
少し震えた声で申し訳なさそうにしている柊さん。
そんな事よりパンツだ。
「これ位かすり傷です、そんな事よりパンツだ」
ヤバババ、つい口に出してしまった。
「え?キャッすみません、はしたないですね」
「いえ大丈夫です」
色々大丈夫じゃないです。色々、色々ね!
「付き添いますので保健室へ行きましょう」
「まぁ、一人でも行けますけどどうしてもって言うなら」
この後、彼女に肩を貸してもらい、散々匂いを堪能し
胸に手を押し付けそこそこある彼女の胸を堪能させて貰った。
頭が少しズキズキするが、そんな事より大切なものが
そこにはあったのだ。
……そう……楽園は君の中に。
医務室で彼女と別れ、女医の先生に頭に消毒と血止めを
塗って貰った。
「小鳥遊、最近お前凄く評判良いぞ?」
「まじすか、それは光栄ですね」
「今日の怪我だって、彼女を庇ったんだろ?」
「ああ、あれは反射的にやっただけでたまたまです」
「玉でもタマタマでもなかなかやれる事じゃない」
「あ、先生それダジャレですか?」
「あはは、すまんすまん、まぁ兎にも角にも
誰かの為だとしても怪我には気を付けてな」
「はい、肝に銘じます」
そう言われて、背中をバンバン叩かれた、痛いって。
…柊さんか、今日は脳裏に焼き付けた彼女の
ブラとパンツでシコって寝よう。
あ、立花忘れてきたような……ま、怪我してるし
今日はこのまま帰るとしよう。
そして立花を残したまま帰路につくのだった。
さて、そんな感じで立花さんを残したまま帰ってしまうのですが怖いなー。
次の話は生徒会合宿みたいな感じになると思います。では。