第一話 予算編成バレー部編
短いエピソードを毎回更新する形になります。
表紙追加しました。(´◉◞౪◟◉)
ドンッ!
「キャッ!?」
「む、すまなかった」
この物語の主人公、生徒会長の小鳥遊小鳥が、
1Fの女子トイレ(といっても教員含め女子しか居ないのだが)
から出てきた女子とぶつかった。
それが地味でメガネっ子でショートボブの生徒会副会長、
立花愛莉との出会いだった。
話はまだ私が、生徒会長ではなかった頃に遡る。
「ん? これは?」
ぶつかった傍にかわいらしいクマの描かれたハンカチが落ちていた。
そのハンカチには彼女の名がひらがなでたちばなあいりと書かれていた。
彼女の物か、しかしえらく可愛らしい……そう、園児みたいなハンカチだ。
彼女……愛莉は生真面目で優しい性格の持ち主で、初めて会ったときから
副会長はこの子にしようと決めていた。
別段容姿端麗でもなくスポーツも出来ない地味目な子なのだが、
傍にいると自然体でいられる数少ない女子だったからだ。
当時の私は今ほど有能視されておらず、友人もまだ居なかった。
私、小鳥遊は文武両道、濡れ烏の黒髪ロングが素晴らしく
髪留めの猫がキュートな1年生だ。
そして事の始まりはこうだ。
その日はそう、春を迎え卒業する3年生を送る会での出来事だ。
前生徒会長が面白い事を言い始めた。
「次の生徒会を執行したい人間は今すぐ挙手すれば会長にしてやる」
そう言い放ったのだ。
先代の会長は破天荒で竹を割った様な性格かつ、成績優秀で生徒間でかなりの人気を誇っていた。
私は面倒なので生徒会なぞ入る気は毛頭なかったのだが、退屈な会話に嫌気がさし
半分寝ていた。いや完全に寝ていた。
その時魔が差したのか、後の別段仲の良い訳でもないクラスメイトが声色を使って
「小鳥遊君? 寝ているのですか!寝てないなら手をあげなさい!」
と、宣ったからもう大変。
「ふ、ふぁい!」
寝ぼけて演説の絶妙のタイミングで挙手してしまった!
その後はよく覚えてないが、拒否してもすでに遅く前生徒会長に引きずられる様に
生徒会長に連行され、教壇で教団染みた説法を説いたあとに釈放された。
が、何がどう間違ったのか生徒会長に任命されてしまったのだ。
今思えば完全に失敗だった。というか後ろに居た佐々木お前だお前。
お前のせいだ、クソが。
「えー、私こと小鳥遊は生徒会を率先して導き(みちび)、より良い生徒との
関係及び環境の育成を願い叶えて行こうと思っています」
とかなんとか言わされた感満載の適当な演説をしておいたが、前生徒会長の
カリスマのあるお言葉と、素早い決断力? から任命するに至ったそうだ。
そんな事より演説で爆乳童顔だった2組の大崎リカさんのおっぱいが揉みたい。
巨乳は肩がこるらしいから乳房を揉みほぐし30分してあげたい。
ついでに乳首も舌でチュッチュチャップンみたいにレロレロ転がしたいなぁ。
……きっと美味しいだろうなぁ……はぁ。
おっと話が明後日の方向に逸れたゾ。
その後、副会長も決めなければって話が出た時に、地味でいかにもがな
図書館が似合いそうな立花が立候補したんだよ。
あれには心底びっくりしたね。震える声で
「わ、私じゃ駄目ですか?」
って小動物みたいな感じで訴えかけてきたもんだからつい、
キュンとなって即決してしまったよ。
好みではないけど成績はかなり優秀だし、運動音痴だが博識で頼りがいはある。
こう私がダラダラしていられるのも、立花が全部仕切って運営してくれて
いるからなんだよな。
まぁそういう訳で立花には頭が上がらないってのが本音。
さて私の昔話はこれ位にして現在に戻ろうか。
キーンコーンチーンコーン
今日もクソ退屈な授業が終わって、生徒会室で執行な訳なんだけど
今は春の予算会計とやらで大忙し。
立花は黙々と帳簿つけてるが私は特にヤル事がない。
……まぁヤル事はヤリたいけどな。
今日はバレー部の部室のロッカーが錆びてひどい事になってると聞いて、
予算配分の視察にやってきた。もう既に部活は始まってるみたいで、
部室に案内されて好きに見てくれって感じで顔パスで部室に入った訳だけど、
確かに酷いね一部穴あいてるし。
「ん? このロッカーの苗字は……確か」
そのロッカーは錆びて少し穴が開いていて、1年生が半強制的に
使わされている様だった。
ただ施錠はしっかりしていてとても物色出来るような雰囲気ではなかった。
が、少し手が入る位ひどい穴のロッカーのネームタグには1組の斎藤、
これは斎藤美恵ちゃんのだと思われた。
「こ、これはあの容姿端麗でちっちゃくて可愛くて、それでいて
引き締まった肉体が素敵で、それでいてブルマが似合うあの斎藤ちゃんのでは」
「……ゴクリ」
私はもう我慢できなかった。
あの美恵ちゃんの衣服ならしゃぶしゃぶで食べたい位だ。
抱き枕カバーに被せたって良いぞ!
そのロッカーに開いた穴からはぎりぎり手が入りそうだった。
私は部室の内鍵を閉めたのち、美恵ちゃんくじに挑戦した。
ゴソゴソガサガサゴソゴソガサガサ
「……」
「お、これっぽい」
なんとかして服っぽいものが掴めたので引っこ抜いてみた。
な、なななななななんと、1等のスカートキタコレ!
ほのかに香る石鹸の匂いが性欲を掻き立てるこの一品。
早速匂いを……
ゴソッ
「!?」
ゴソッガサッゴソソソ
「!?!?」
何やら外から怪しげな音が聞こえる。
ガラッ
突如として施錠されていなかった窓が開いた。
どう見ても若い男性、のぞきか制服泥か!?
やばいと思ったのでそそくさとロッカーの陰にスカートを被って隠れる私。
ゴソゴソゴソゴソ
案の定、不審者は何やら家探しを始めた。
「ここが東城女学院の部室かぁ、あーいい匂いだ」
「お、このロッカー手が入りそうじゃね?」
ガサガサガサ……
「こ、これはスポーツブラ!?」
おい、待てお前私の宝物の入ったロッカーを漁るな。
しかも私のスカートよりレアリティ高いじゃない、頃がすぞ。
不審者がブラを凝視している間に、私は気取られぬ様に横に立掛けられていた
バレーのネットを手に持った。
「おりゃああああああーー!」
バサッ!
「うわぁぁぁ、なんだ!?」
「人か? 人がいたのか、やめてくれ僕ちんは偶然迷い込んだ子羊なんだよぉ!」
などと訳の分からない供述をしており、スポブラを汚いおっさんに握られた
悔しさから足でポコパンしていた。クソクソクソ。
ゲシッゲシッ
「痛い痛い、やめてやめて」
「誰がやめるかこの変態め!」
ゴスッゴスッ
「す″い″ま″せ″ん″で″し″た″、最初からこれが目的でした」
「許 さ な い、私の美恵ちゃんを穢しやがって!」
なお、この騒動は窓が開いており鍵をかけていた外にも丸聞こえだった。
ポコパンして変質者が大人しくなった頃合いで部室の施錠を解いたのだが、
一部の叫びや怒号は聞こえていたらしく、その後バレー部全員から
拍手されてしまった。
どさくさに紛れてスカートも犯人が盗った事にしておいた。
そして犯人は無事、警察に御用となったのだ。
結論として偶然通りかかった私が、偶然居合わせた制服泥を危険を顧みず
施錠した上で大捕り物を敢行したと言う事に落ち着いた。
スポプラは残念だったが、美恵ちゃんのスカートの香りは
まだ脳内再生出来るレベルだ。
気分の良い私は美恵ちゃんのスカートの香りとトレードで新品のロッカーを
注文しておいた。後輩に使わせる様に指導しておいたので
今後は美恵ちゃんのスカートを被る事は出来ないだろうが仕方ないだろう。
なお、この件で副会長を泣かせてしまったのは少し心が傷んだよ。
やはりいくら腕っぷしが強くても男性とバトルするのは控えようと思う。
ま、今回は不可抗力なので今後は気を付けるとしよう。
「……美恵ちゃんのスポブラ舐めたかったなぁ」
翌日そんな呟きをしつつ、気怠い授業は過ぎて行くのだった。
暇な時に続編をぽちぽちアップしていく予定です。