死後説明一年後までと、怒ると恐い女神様
久しぶりに投稿
やっと続きが書けた。
この話では何柱かの神様が出てきますが、名前や力の由来等は『古事記』や『日本書紀』の物を基準に書いているつもりですが、名前そのものや漢字、読み方が複数ある場合は作者個人の主観で勝手に選んでいます。
なお、性格や話し方は作者のその場のノリで適当に書いているので何かを参考にしたとかモデルとなったものとかはありません。
作者は『古事記』等はほとんど読んだことがないため、おかしな部分などがあるかもしれませんがご容赦ください。
もしいろいろご指摘いただければ、随時修正していくつもりです。
《ピピピピピピ〜!!ピピピピピピ〜!!》
《ピ〜、ピ、ピピ!!》
……はぁ、おはようございます。どうやら朝になったようです多分ですが。この部屋に窓とかはありませんから外の様子はで確認は出来ていません。…いえ訂正します、窓はありますが、カーテンで閉め切ってあるのでわかりません。その窓から外の景色を確認したいとは思えません。見えるのは断崖絶壁の上にあるらしいこの部屋を支える鉄骨の骨組みと、断崖下のとてもおどろおどろしい景色でしたからね。具体的には針山とか灼熱の大釜らしい物とか、まさにこれぞ地獄って感じの光景です。あの光景を知ったらカーテンを開けたいとは思えません。
ただ、部屋にあった時計が7時をさしており、いつも設定してあるスマホのアラームが鳴ったので、朝なのでしょう。
で、とりあえず現状を確認しようと思います。まず現在の居場所は昨日案内された仮眠室。服装はお風呂に入った後に着替えた浴衣。そうこの仮眠室には、お風呂が設置され浴衣まで置いてあったんです。この部屋へ案内された時、私は思わず「ここは何処の旅館ですか?」と言いたくなりました。それくらいこの部屋は仮眠室っぽく無く趣があるのです。他に仮眠室には、洗濯機が設置されていたので、昨日の内に洗濯しておいた下着等に着替え、浴衣からとりあえず制服に着替えました。
さて、なんと言うか正直全然死んだ事に実感がわきませんが、昨日の状況等から判断すると、きっと私から動かないと事態は好転しませんよね。はぁ( -。-) =3
先ずは、昨日天照大御神からいただいたカードキーの効果を確かめてみますか。
はい結論から言うと、カードキーは凄かったですよ。まず隣の部屋にいた案内役になった方に突き付けたところ、次の瞬間表情が一変して頭をさげられました。その後も、カードキーを見せると皆が態度を一変させて対応してくれました。でまぁとりあえず朝ごはんを食べると、修理の現状を確認しに昨日の部屋へと向かっていました。
「ッツ!!!!」
なにこれ!?誰かが私?いや違う私の物?にぶつかった?
「っん!!」
今度は誰かが触ってる、でなんか観察されてる気がする。
「?? どうかされましたか?」
おっといけない、急に止まってしまって案内役の人を心配させてしまったようです。
「いえ、なんでもありません。たぶん気のせいでしょう。そんなことより『審判の間』へ行きましょう。」
そう言って歩き出しましたがこれで誤魔化せましたかね?まぁともかくも平静を装いましたが、今も変な違和感はあります。ただ嫌な感じは無くなったので考えるのは後にして部屋へ入って行きました。
《ガチャ》「おはようございまーす。」
「え、あはい、おはようございます。」
あら?あいさつしながら入ったものの、スキルの特性からまさか返事がかえってくるとは思っていなかったので驚きました。どうして挨拶が返ってきたのかとそちらを向くと、そこには桜の樹に手で触れている方が二人いました。ただ二人共私の事を思い出したわけでは無いようで、「誰あれ?」みたいな顔をしています。二人が挨拶したことと案内役の方が入ってきたことで室内の全員がこちらを向いたのですかさずカードキーを掲げました。これでようやく全員が私の事を思い出したようで、挨拶と謝罪をしてきました。
正直なところ謝罪はいらないのですが、言っても恐縮されるだけで誰も納得してくれませんでしたので素直に受け入れておくことにしました。
場が落ち着いた所で今日の修理の状況等を聞きましたが、あいにく今日はほとんど作業が進まず手伝うような仕事は無いようです。そこで、先ほど桜の樹に触れていた二人から桜に気がついた経緯等の話を聞く事にしました。
話によると、どうやらつい先ほど一人が偶然に桜の樹の根に引っ掛かりこけた事で桜の樹に気がつき、調べようと二人でさわり始めた時に私が部屋へ入ってきたらしいです。その樹の根に引っ掛かった時というのが、私が廊下で感じたぶつかられたような感覚がした時であり、その後の嫌悪感と違和感が、調べようとした行動によるものである事が分かりました。これによりどうやら私と桜の樹は一部感覚の共有の様なことが起きているらしい事が発覚し、これを機会にもう少し詳しく調べる事にしました。
調査してみた結果の一つとして、私の事を認識していない方は桜の樹や祠を含む私の私物全般は見えず、触れてもまったく意識していない場合は気が付きにくい事。その存在を気が付けば他の物や私自身も見えるが記憶等が戻るわけでは無いようで、意識が外れるとすぐに忘却し、またすぐに見えなくなる事もあるらしい。逆に記憶がはっきりある状態でも、意識していなければ桜や祠は見えても私の事は見えない等の症状もあった。がこれらの症状は個人差が大きいようだった。おそらくは私との親密さ等が関係してスキルのかかり具合に差が出ている様ではあるがそれについてはこれ以上は検証出来そうになかった。
そんなこんなでいくつか検証している時、奇妙な気配を感じた私は大王の執務机の奥にある扉の方へ振り向きました。
「!?なにこの気配。なんか懐かしいようなでも絶対に今まで会ったことは無いとわかる気配。それに焼きつくすような炎と静める水の気配。」
「なんですかそれ?」
「なんかよくわからないですけどそう感じる気配を持った方があの扉の奥の通路から近づいて来てます。それ以外にも何人か親しみや暖かさ等を感じる気配を持った方々が近づいて来ているのを感じます。」
「あの扉を普段使われるのは基本的には神様かその補佐官の方だけですね。他の者は別の関係者通路を利用しますから。」
そんな事を話しているうちに、その奇妙な気配を持った方々が話をしながら扉から入って来ました。
「う〜ん。なんか昨日の夕方くらいからずっと気になる気配がそこの部屋からするんだよね〜。」
「ずっとですか?てことはやっはり私達が感じている気配と咲耶姫様のおっしゃる気配とは別の物を指しているようですね。」
「屋都ちゃん、私の事は咲耶でいいよ〜。」
「いえそう言うわけにも、それよりも屋津ちゃんは止めてください。」
「え〜、じゃ屋都比ちゃん。まぁ私が感じてるのは、普通じゃ無いおかしな桜の樹の気配だしね〜。‥あ、あの樹だね。で皆が気になってるのは自分達の分霊体の気配があることだよね。じゃ、あの祠だね。」
「え!?あ、あれですか。よく直ぐ気が付きますね、あんなに気配がうすいものに。」
「気配がどうとかじゃなくて認識阻害スキルが発動してるだけでしょ。まぁともかく私はあの桜の樹の様子を見るから皆は祠の方だね。無茶しちゃ駄目だよー。」
なにやら話ながら全部で10人程の方が部屋へ入ってこられたと思ったらどうやら桜の樹と祠が目的だったらしい。最初に部屋へ入ってきたのは呼ばれていた名とその容姿から、おそらく木花咲耶姫様でしょうね。正に名前の由来そのままって感じの容姿ですね。
あの方だけは入ってすぐに桜の樹と祠に気がつかれました。というか完全に桜の樹が目当てでこれたようですね。他の方は咲耶姫様に教えられて初めて桜や祠に気がついたようです。どうやら祠の中身が関係するのでしょうか。相談しながら祠の周りに集まり調べ始めました。ただ、どう見てもみんな私に気がついた様子がないのですが、祠がいじくり回されて壊されたりしないか心配ですね。一応案内役の方に確認しましょうか。
「あの、あの方達って全員神様ですよね。明らかに私に気付いて無いようですが、祠壊されたりしないですよね?なんかめっちゃ心配なんですけど。」
「流石に壊されるような事は無いかと。」
「ですけど、もし私の遺骨とか祠の中から取り出されるとまずいですよね。もしそういった事が起きそうになったら皆さんで全力で止めてもらえますか。木花咲耶姫様が手招きして呼んでいるようですから私はあちらへ行きますので。」
「わかりました。」
しかし木花咲耶姫様は私に気が付いていたのですね。今まで会った方は誰も自分で気がついた方はいなかったので以外でした。
「私の事をお呼びでしょうか神阿多都比売様?」
「うん呼んだ。でもその前にわざわざ本名で呼ばなくていいよ〜。私の事は咲耶って呼んでね♪。で、あなたが影無透理ちゃんで合ってるよね。」
「はい。」
「まず本題の前に前提となることを話すね。
私の名前を知ってるから解ってるとは思うけど、私の別名の『木花』は桜の花を意味してるの。だから全ての桜は私と繋がりがあるのよ、もちろんこの樹もね。だから私は、桜のある場所はいつでも桜を通して見聞きし、知る事ができ、行き来もできるの。そして桜に触れれば、その桜の知る情報を得る事ができるのよ。ここまではいい?」
「はい。」
「じゃあ本題に入るね。
今回この子(樹)に触れて知ったのは、透理ちゃんが爆発事故で亡くなった後の話。といっても爆発現場の復興が始まってからの話だから今はまだ未来の話。透理ちゃんの遺体がどうなるかと、どうしてこの子(樹)が透理ちゃんに寄生したのか、そこまでして付いてきてでもあなたを護ろうとするのかの話ね。
まず事故が起きた時、透理ちゃんの近くの場所に桜の樹があったでしょ。だからあなたが亡くなった瞬間も見る事ができた。その樹も爆発に巻き込まれて焼け落ち死滅したんだけど、残骸はあなたの遺体と共に運ばれて、一時廃棄処分品置き場になった場所で芽を出したばかりのこの子の周囲に棄てられたの。あぁ、一時廃棄処分品置き場がそのままになるんだけどその理由は透理ちゃんのスキルが遺体から周囲にまで影響を及ぼしたからだよ。でもこれは誰にもどうしようもないし結果が大きく変わった訳でもないから気にしなくていいよ〜。
でまぁこの子は本来、瓦礫に埋め潰されて枯れて死んじゃうはずだったんだけどもね。そうはならなくなったの。それは透理ちゃんに対する私達神々の対応が悪かったりで、結局そのまま打ち捨てられた状態になってたあなたの遺体が、偶々この子の上にかぶさるように放棄されたからなのよ。結果的にそれがこの子を救い、やがて大樹へと成長させる事になったの。つまりこの子にとってはあなたは命の恩人で、自分が生き延びるためにあなたの遺体に寄生するような形で遺体を包み込むようにして成長したの。」
そこまで話すと咲耶様は一息入れ、私が話についてこれているか確認して、また続きを話してくれた。
「なんでそうなったかと言えば、実は透理ちゃんは、今もまだ供養もされずなんの対応もされないままの元の身体と魂との接続がされたままなの。死んじゃった後も閻魔くんにいきなり呼び寄せられてるから死んじゃった実感も何も無いでしょう。
本来なら閻魔くんの所に行くまでに少しずつ実感して魂と身体の繋がりが弱くなっていく、同時に身体のほうを供養するの。そうして繋がりが切れた所で、魂を禊・浄化・昇華させるの。
つまり今の透理ちゃんはこちらの都合と透理ちゃん自身のスキルの影響で身体と魂の接続が切れないの。そしてそのまま別の身体を得て別の世界で生き始めるの。その為、透理ちゃんが新しい身体で得た物は魂を通して元の身体にも影響を及ぼすの。逆はたぶんほとんど無いと思うけどね、ずっと土の中だし桜の樹に護られた状態になるから。まぁつまり、透理ちゃんが新しい身体で魔力の影響を受け入れると、地球の遺体にも魔力が流れて行ったの。でも今の地球には必要としなかったから魔力は無いでしょう、だから少しの量の魔力でもそれなりの影響があるの。だからあなたの遺体の下にいたこの子は一番にその影響を受けて生き延びた。そうして魔力によって成長しながら、その発生源たる透理ちゃんの遺体を守るようにして地上に顔を出したの。ところが地上に出ちゃった事で、魔力が一気に周囲に拡散しちゃって周り中に多大な影響が出て生態系とかまで変わっちゃうの。それで騒ぎになってあなたの遺体が発見されるの。それが今からだいたい一年後ね。ここまでで何か質問ある?」
「いえ今のところは、ただ少し整理が追いつかなくなってきたので、考える時間がほしいところですね。時間があけばまたその時あらためて質問したい事ができるかもしれませんが。それに先ほど実はから祠の方が心配なので。」
「うんそうだよね〜。いいよ〜、透理ちゃんの処遇をどうするか決めるまではまだ数日かかるだろうからその間にまたあらためて話すね〜。」
「はい、よろしくお願いします。」
そう言ってお辞儀をした時でした。
《ゾクッ!!》「ッ!!」
「透理ちゃん!?どうしたの!?」
《ゾクゾクッ!!》
「祠……私の骨…さわられた!!」
「な!!」
《ガバッ!!》
「コラー!!」《ダダダダダダ!!》
「何やってんだテメーらは!!今すぐ祠の中の物を元の位置に戻して土下座しろー!!!!」
私の言葉を聞いた途端、咲耶様は祠の方にいる物達を睨み付け、ものすごい怒りの形相で、祠に触れている者に向かって叫びながら飛びかかっていかれました。
《トガッ!!バキッ!!》
そしてそのまま相手を殴り飛ばして祠から引き離し、魔法まで使ってぼこぼこにしつつ、土下座の体勢に縛りあげました。正直見ていてもどうやったのかとか分かりませんでしたが、これだけは言えます。
その様子はすごくカッコ良かった!!是非御姉様と呼ばせてください!!
「さて、テメェ等!!自分が何やったか解ってるか!?あぁ!?」
《恐!!((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル》
「お前らが今触ってた祠は誰の物だ!?誰かの許可を得て触ってたか!?どうなんだ!?答えてみろ!!」
「だ、誰の物って言われても…。」
「言われてもなんだ?そもそもここは何処のどんな世界でこの部屋は何のための部屋だ!?こんなとこに何もなく祠だけがあるはずがあるか?あぁ!?どう思う?」
「…祠だけが、ここに出てくる事は…ありません…。」
「ならこの祠は、何故ここに現れた?持ち主がここにいたからだろうが!!」
「ですが!我々がここに来たときは作業員以外は誰も…。」
《ドゴッ!!》
「オイ!!ホントにそうか?お前らは先にこの部屋にいた誰かにその事を確認取ったか?とっていないよな!!」
そう言ったあとこちらを向いて私へこ声をかけられました。
「透理ちゃん♪天照大御神からもらったバッチとカードキーを頭上に掲げて貰える?」
なんかめっちゃ態度が変わってませんか!?まぁともかく言われた私は指示に従いました。
《スッ!!》
「これで良いですか?」
「「「「「「「なッ!!」」」」」」
どうやら掲げた瞬間に部屋にいる全員に私が見えたらしく、私の事に気が付いていなかった神々が驚き慌てだしました。
「ありがとー透理ちゃん♪……さて、彼女は、昨日の爆発事故の被害者で閻魔大王にこの部屋へ召還された内の一人でそこの桜の樹と祠の持ち主だ。わかったら勝手に祠に触ったテメェ等全員土下座するか、私が管理する火山の噴火口の中に100年ほど詰め物として封穴されるか選べ!!」
《《《《《《ズザッ!!》》》》》》
「「「「「「まことに申し訳ありませんでした。」」」」」」
「まぁ、謝った所で私は許さんが。特に!祠の中にある彼女の遺骨に触ってた不届き者は絶対にな!」
「は!?遺骨!?」
「何を不思議そうにしている。当たり前のことであろうが。祠とは中に納めた物を慰霊しておくためのものであろう。ならば持ち主が人間である以上そこに納まっているのは当然そうなるわ。だいたい、もし本人がいなかったとしてもテメェ等の行いは墓荒らしの盗掘だろうが。」
「「「「「ううッ!!」」」」
「もうわかったかもしれんが、この祠に奉られる予定の分霊体は、今からだいたい6年後に建てられる神社に彼女と共に奉られる事になり、彼女に認めて貰えた者の分霊体だ。それは全て彼女がこれから送るだろう新たな世界での生活によって変わる。彼女の遺骨から流れ出る魔力・神力・霊力等によって、山の生態系が変化するのだから。最もそれも全て私に認めて貰えた神様限定ですわ。彼女の遺骨に触れた、貴様には今後20年ほど活火山の噴火抑制のため加工内部マグマ溜まりのすぐ上で死ぬ気で封穴してもらいますから。警護班、こいつを地獄の獄舎へ連れていきなさい。後で火山に持っていきますのでそのつもりで。」
「「「「ハッ!」」」」
「他の方もご注意を、今彼女の好感度が一番高いのは私のようですから、私が認めないと彼女のそばに分霊体を置くことは出来ませんからね。まぁ私は権能が違うので彼女に眷属になって貰うとかは出来ないので残念ですが。」
遺骨に触った神らしき方が連行されていくと、ようやく咲耶姫御姉様の雰囲気から恐い感じがなくなり部屋が落ち着きを取り戻しました。心なしか部屋の温度まで変化したようにも感じましたが。
「さて、透理ちゃん♪変なのもいなくなったから今度は一緒に祠を観察・調査しよっか。」
「はい♪咲耶姫御姉様♪」
次の更新は、筆が載って話が書けた時ってことで。