現状説明2と大王に切れる
称号名を一部変更
神々に → 神様に
2017/04/27
そして始まった閻魔大王の説明によると、爆発の原因となった火事は、防ぐ事ができるものではなかったのですが、
・その後発見が遅れた事
・その後の初期消火の対応が悪かった事
・その他に幾つかの不幸な偶然が重なった事
これらの結果として、粉塵爆発が起こり、その日風が強かった事で被害が広範囲へ拡大してしまっているようです。
神様としては、直接介入はしてはならないが、 放置するには被害が大きく、このままでは大幅に仕事が増える為に、自分達の領分内でいろいろと早期解決の為に行動しているらしい。
そして閻魔大王の仕事は、各星々における魂を総合的全体管理であり、通常ならば多少の総量の変動は問題ないが、現世地球の一人一人の魂の質が低下ぎみの状態であり、日本では大震災等が頻発した影響が回復しきっていない現状で、これほど多量の消失は一時的であれ大変に問題があります。
そのため今現在この『狭間の世界』に来ている死者の内、
・現世での行いが良く魂に汚れが無い者
・現世での行いが良いとは言えないが情状酌量の余地が有る者
これらの者を早急に、魂の浄化を行い現世へ新たな生命体として転生させる事にし、現世での行いや魂の状態を調べるために私達はここへ召還されたらしい。
しかし先程からどう考えても閻魔大王が私を無視しています。もしかして私は、神様にすら認識されていないのでしょうか?
補佐官は先程から何度かこちらを視ており、気が付いている素振りが伺えるのですが大王へ指摘するつもりは無いようです。
最もその補佐官も直接的に私に気付いた訳ではなく、先程から私の後ろに見え始めた、半透明で向こうが透けて見える状態の桜の樹に気が付いたらしく、注視した結果として私に気付いた様子でした。
それと今私の足下には、何かの祠らしきものが半透明で見え始めていました。この祠と桜の樹は、今は半透明で見えていますが元々はここには何もなかった事から考えて、いずれ実体化しそうな気がします。
そもそもこれ等が見え始めたのは、恐らく私が自分の現状に気が付いた時だと思われます。
それは閻魔大王の説明で、皆が手に持ったり着ている服は死んだ時の物である事、足元や周囲にあるものは、棺の中に一緒に入れられる物か、死んだ事が確認された後もずっとその人の物であり続けた物である事を知った時、皆の周りにはいろいろな物がありますが、私の周りには何もなかったので否応なしに理解してしまいました。
あぁやっぱり私が死んだ事は誰も気が付かなかったんだなと。
そう理解した時に、ふと何かの気配を感じ辺りを見回すと、うっすらと桜の樹が背後に祠が足元に見え始めました。
その後大王が、皆に質問が無いか聞いたので私も手を挙げましたが、やはり私には気が付かなかったのを見て、どうやら神様にも私の力は通用するらしい事を確認しました。
またこれ等の物も見えていない様子でしたので、これが私に関連性がある物である事から、私の遺体はどうやら発見されないまま、瓦礫等と共に破棄され、この桜の樹の下で栄養源にされたであろうこと。その後恐らく白骨化している身元不明で発見されこの祠に納められるのであろうことをなんとなく理解してしまい、思わず涙が溢れてしまいました。そうした時、桜の樹が揺れて花弁が少し舞い散りました。
この時に、補佐官が私に初めて気が付いたらしい様子でしたが何もせず放置去れました。
どうやら、大王の質問時間が終わったようです。これから今後の説明が始まります。
「質問は終わりじゃな。次は、今後のための説明じゃ。
本来ならば死んだ後は、現世で言われている様な花が咲き誇る庭園の様な場所に飛ばされる。そこから三途の川を渡り、鳥居が建ち並ぶ山門道を通り抜け、そこにある大扉の前まで自力でくる。扉をくぐった後は儂に、審判を下され今後の行き先が決まるわけじゃ。
山門道のイメージとしては、伏見稲荷大社の千本鳥居の山門道が近いかの。あれをもっと厳かにして鳥居の大きさや、鳥居同士の間隔を均一に感じじゃ。
そこを通る際には、現世での自らの行いやその結果などを振り返りかえりみる事になるように仕掛けてある。
この部屋のそこの大扉は、中へ入って来る者の生前の行いによる罪や功績等と、それらによって変化した魂の形や総量、いわゆる魂のカルマと呼ばれたりもしておるが、これ等を計りこの机の端末とそこの真実の鏡に結果を伝達するようになっておる。
なのじゃが、今回お主等は直接この部屋へ召還した故、それらを未だ行っておらぬ。
そこで、現世での功罪や魂のカルマを測るためにあるものを使う。それがこれじゃ。」
《ポチ! 》《 ガコン!! ガガガガガガキン!!ガゴガゴガガン!? ブーー!!ブブーーー!!》
「???あれ???」「ンン( -_・)?」
「月鬼くん。どうなってんの?出て来ないんだけど。これ変な音してるけど大丈夫?」
「大丈夫じゃないですね。直ぐに整備士の技術者を呼びます。」
大王が机のボタンの一つを押すと、部屋の中央前方、大王と私達との中間の床が開きました。そこから機械の稼働音が聞こえていますが、明らかに音がおかしくそこから何かが出てくる様子もありません。どうやら壊れているらしく、補佐官が技術者を呼んで直させています。
・
・
・
しばらくして、修理が終わったらしく、床下から様々な機械らしき物が取り付けられた金属製の鳥居が出現しました。
技術者さんは、「応急修理は終わりました。また後で本格的な修理の必要がありますが今はこのまま使って下さい。」と言って立ち去りました。
それと入れ替わる様に、何体かの鬼と、天使らしき人?が正面奥の左右の扉から出て来てそれぞれ鳥居周辺と左右の扉の前で並びました。
「ゴホン!! さて、気を取り直して話を戻すぞ。
この鳥居は、そこの大扉と同じ機能を持っている。それ故今からお主等には、一人づつこの鳥居をくぐって貰う。本来はこの場で全て告げて沙汰を下すが、今回は人が多いうえに最近はプライバシーがどうこうと煩いのもおる。天界行きか地獄界行きかだけを告げる。告げられたものは月鬼くんから己の行いの詳細が書かれたコピーのプリントを受け取って、この部屋の左右の扉のどちらか指示された方の前で待て。扉の先の部屋で、詳しい説明など個人ごとの対応を行う。説明は以上だ呼ばれた者から鳥居をくぐれ。」
説明が終わると直ぐに名前を呼ばれた人から鳥居をくぐって、機械から出てきたプリントを補佐官から受け取りそれを見ながら左右の扉前で並ばされて行きます。
途中何人かが自分の行いの結果の判定に納得出来ないらしく、暴れたり指示された扉ではない方へ行こうとしていましたが、鬼と天使に抑えられ正しい方の扉の向こうへ連行されて行きました。中には家族が地獄界行きになり、自分から地獄界へ行こうとする人もいましたが、その人へは補佐官が何か話をすると納得したらしく大人しく天界行きの扉の前で並んでいました。
そして私以外の39名は、全員左右それぞれの扉前で並ぶか扉の向こうへ連れていかれました。
次はいよいよ私かなと思いましたが、やはり閻魔大王は私に気付いていない様で、
「これで全員が並んだな。」とか言って次の説明を始めました。
このままだと私はここに放置されるのでしょうね。別に現世に未練も大して無いですしそれでも構わないのだけれども。この『狭間の世界』でしたか?には興味ありますし。神様すら気が付かないなら勝手にいろいろ歩き回ってたり調べて回っても現世同様に気が付かれないでしょうが、危険なめにあっても誰も助けてはくれませんね。
ただ、そんなことをしてここの世界で働いている方々に必要の無い迷惑を懸けるのは避けたいですしね。まぁあの大王と補佐官はどうでもいいですが。
どうしましょうか?
とりあえず一度全員に気付いてもらってその反応と様子を伺い、その後結果としてまた忘れ去られる事にしましょうか。最初から認識されないままだと私により多く責任がありますが、一度全員に気付いて貰えば以後は、忘れて放置した大王とその他へ責任が行くでしょう。
そうと決まれば次はどうやって全員に気付かせるかが問題ですね。何かいいものは無いでしょうか?
あ!
あの鳥居に付いている機械がUSB接続です。それに気が付いた私は、いつも学校へ持って行っている鞄からノートパソコンを取りだして鳥居の元へ行くと、鳥居のポートへノートパソコンをUSB接続し、鳥居の全機能の内ロック制限されていない物で危険の無いと思われる物を全てONにしました。警告音が鳴るかと思ったのですが何もありませんでした。
なぜ鞄にノートパソコンが入っていたのかは、私が学校で何をしていても気付かれませんからとしか言えません。他に何が入っているのかは想像に任せますが、不埒な物はありませんよ。
そうこうしている間に、他の死者の皆が扉の向こうへ行き始めたので、慌ててしまい私は鳥居の下へ立ちました。その瞬間!!
《ビーーーーーーーーーー!!!!!?》《ブブーーー!!!!》《ピリリリリ!!!!》《ピーー!!エラー!!エラー!!》
「「きゃあ!!」」 「「うわ!!」」 「「ひっ!!」」 「「きゃー!!」」「何だ!?」
部屋中に反響する大音量で鳥居から音が鳴り出し、私は耳を塞いで、同じく《エラー!!》と鳴らしているノートパソコンから急いで鳥居の接続を外しました。
調子が悪かったらしい鳥居に対して無理やり全てを動かしたので見事に故障したらしく周辺機器までまとめて煙を吹き出してしまっています。即座に外したノートパソコンは何とか無事でした。
さすがにこれはやり過ぎたかなとは思いますが、このくらいしなければ気付かれなかったと思う事にします。そう流石にここまですれば、誰もが私に気が付きました。
「えっ!?鳥居の下に誰かいる!?」「鳥居から煙が。壊れた?」「誰あれ?あんな人さっきまでいた?」「なんじゃ!!何が起こった!?鳥居か!?」
いえ訂正ですね。一部の方は鳥居が勝手に壊れたと思っている様です。私はまだ鳥居の下で立っているのですが( ´△`)
その筆頭が閻魔大王なのは流石に呆れましたし、殺意を抱きました。
だからこれは仕方ないですよね(*`Д´)ノ!!!
「いつまで寝惚けてやがる!!いい加減私に気づけや!!閻魔大王とか言う痛い名前のク○野郎!!」
思わず怒鳴ってしまいましたが、それで少しすっきりして冷静に戻れましたし、全員に気付かせることもできましたからよしとします。大王とやらを貶した気がしますがさすがにもうアレを敬う事など出来ませんし良いですよね私は怒っているんですから((( ̄へ ̄井)
「なんじゃお主は!!いつから誰の許可でこの部屋におる!!その発言は聞き捨てならんぞ!!」
「そこの連中と一緒にお前が召還した癖にいつから等とふざけた事ぬかすな!!疑うなら今すぐその端末で自分で調べてからにしろ無能野郎!!
後そこの補佐官、あなたは説明途中で私に気付いてた癖に無視し、私が行動開始しても止めなかったのに、今度はそ知らぬ顔で私の拘束を命令ですか?その後は自分に都合が良いように上の神々に事実の偏向報告を行うつもりですか?」
「なっ!?何を言っているのですか。そんな事はしません。精々後で大王をからかうネタにするだけです。」
「あっそ。で?確認出来ましたかク○大王。」
「ぬぅ。さっきから汚い言葉で罵りおって。今確認しておるわい。」
「何だまだですか早くして下さい無能大王。」
「貴女は少し落ち着いて黙って下さい。流石に先程からの態度は不敬に過ぎます。
後、そちらはいつまでそこにいるのです。今は忙しくてとてもサボっている余裕は無い筈ですが!?それとももっと仕事が欲しいのですか?欲しいなら言ってくだされば幾らでも増やしてあげますが。」
流石に騒ぎになりかけましたが、とりあえず死者の皆さんはそのまま扉の向こうのそれぞれの世界へ送られる事になり、補佐官が技術者達を呼んで、周囲にいた鬼や天使の半数ほどが技術者達を手伝い鳥居の修理を始めました。残りの半数と補佐官が私を取り囲んでいます。大王は不機嫌でしたが自分で端末のデータを確認して何か知りませんが少し驚愕しています。
「不敬と言われても、ここへ召還されてから私はあなた方から敬うに足る態度も行動もとられていないので敬う理由が有りません。神様だという証拠も見せてもらっていませんし、あなた方からそれほど神聖な感じも見受けられません。特にアレからは。」
そう言って大王を指差しました。
この言葉と行動は周囲の者達を絶句させるものだった様です。
「それより今は忙しいのでしょう?さっさと話を進めて下さい。」
そこでやっと大王が話始めました。
「確認した。お主の名は、影無透理(15)だな?」
「はい。」
「確かにお主は爆発事故で亡くなり、儂がこの部屋へ召還している。その際気が付かす放置した事は謝罪しよう。悪かった。
話を進めるぞ、その後の行動は目に余るものだが、気が付かぬ我等が悪い故不問にする。
先程鳥居の下へ立った事で、一応は功罪の審査とカルマの測定はされた。但し、その瞬間鳥居が故障したため測定が不完全で現状では詳しく解らず判断出来ん。だが先程の大音量のブザー音の中には、通常地球上の人間が早々得ることの無い称号を、お主が会得しておったために鳴った音もあったようじゃな。
ともかく、測定が不完全であるためもう一度測定したいが、機械が故障中なのでお主にはここで暫く待機していて貰いたい。
何か用がある時はそこで機械を修理している者に伝えてくれ。どんな事でも大抵の事はそのもの等が対応してくれるじゃろう。
儂等は、まだ事故のための対応があるため席を外す。修理が終わり、儂等の仕事が落ち着いたらこの部屋へ戻って来るつもりじゃ。
この部屋の周辺は誰かに案内として随伴して貰えば許可する。」
そう言って大王と補佐官達は機械修理の者以外は皆出て行ってしまいました。
結果は上々と言えるでしょう。神様を名乗る者から滞在と周辺への出入りの許可まで得られました。しかし先程少し気になる事も言われましたね。まぁ後でいいです。先ずはノートパソコンの状態と自分の持ち物の確認、それから鳥居の修理を見学させて貰いましょう。
・
・
・
・
二時間後
《ポーン》
『『新たな称号を得ました』』
称号 【神様に忘却されしもの】
称号 【限定特化型神越者】
《ポーン》
『神越者の称号により全てのスキルランクが上昇します』
『『『『スキル 【#¢£%#】のランクが上昇しました』』』』
《ポーン》
『スキルランクが上限に達しているためスキルが進化します』
『スキル 【気配認識EX】が スキル 【存在認識Ⅰ】へ進化しました』
突然、頭の中に音が流れ、メッセージが表示されました。
よくわかりませんが、神様が私を忘却したらしいので私は好きにさせて貰います。