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死因と現状説明1

 初めは何が起きたのか判らなかった。


 高校からの帰り道、いつもと同じ道を同じ様に歩いていたはずで、なのに気付けば見知らぬ場所にいたのだから。


 そして周囲には、同じ様に何が起きたのか判らず混乱している様子の人達が数人と、何だか見覚えのある作業服を着た慌てた様子で消火器等を手にしているの人達が大勢。

 正面奥の一段高い場所にある執務机と、その向こう側にいる偉そうな態度でふんぞり返って椅子に座る髭もじゃの大男が一人と、その横に立ち金棒らしきものを持ったイケメンがいた。


 場所はどうやら、何処かのかなり大きいお屋敷か何かの一室へ連れてこられたらしい。

 部屋は和風建築で、大きさはおおよそ20メートル四方程度、高さが3メートル程、部屋の中7~8メートル四方の位置に円形の柱が4本立っている。

 扉は、見える位置にあるのは5枚で、正面奥の壁の左右角ぎりぎりの位置に1枚ずつ、側面左右の壁中央にそれぞれ1枚、そして背後の壁の半分ほどを締めるかなり豪華な装飾が施された独特な雰囲気のある扉。

 それと見えているわけではないが恐らく正面奥の壁中央部分、大男の座る椅子の後ろの位置に1つ扉があると思われる。


「ゴホン!!」


 うん、どうやら正面で偉そうにしている大男が事情を説明してくれそうですからここは静聴しておきましょう。

 補佐官らしき男が咳払いをした事で、周りの人達もようやく正面の大男達に気が付いたらしい。ようやく大男が話を始めた。


「あ~、突然の事で驚くのは判るが、とりあえずこの場に危険等は無いので落ち着いて静かにせよ!」


 それまでがよほど緊迫した状況にあったのか、作業服姿の人達の混乱はかなり酷かったのですが、そう言われてようやく、冷静に周囲を確認出来る程度に落ち着いたらしく、しばらくしてから静かに大男の方を向いて話を聞く体制が整いました。


「さて、まずは自己紹介と行きましょう。このお方はあなた方が言うところの神と呼ばれる存在であり、日本人からは、閻魔大王と呼ばれたりもしています。そして私は、その補佐官をしている月鬼と申します。」


 で、大男が話すのかと思いきや補佐官が自己紹介を始めました。


「「ええっ!!!?」」


 何人かが思わず声を出して驚きましたが、閻魔大王って。そして話すのお前かよと。

 思わず声を出した者は補佐官に睨まれました。

 皆が静かになってようやく大男、いえ閻魔大王でしたかが話始めました。


「さてここにいる皆が今、ここが何処で、どうして自分達がここにいるのか、どうやって連れてこられたのか疑問に思っていよう。

 順番に説明すると、まずここはいわゆる死後の世界でありこの部屋は、我等神やそれに仕える者達から、『狭間の世界 審判の間』と呼ばれておる。」


「「何!?」」

「どういう事!?」

「死後の世界…? 私、死んだ…?」


 皆が動揺して騒ぎ始めた。勿論私も同じ気持ちだ。いきなり死んだって言われても納得出来るはずもない。

 だけど、作業服姿の人達の内の何人かが、何か考え込んでいる様子であるのが目に入り、何故か私はそれがやけに気になった。


「ゴホン!! 静粛に!! 話の途中です!!」


 補佐官らしき男の人の怖い声での警告に皆が黙った。


「続けるぞ。ここは死後の世界である。つまり今ここにいるお主達39名は、現世(人間界)で死んだ事になる。」


 うん?39名?今ここにいるのは、私含め40名では?


「死因は、☆□県☆□市の住宅地の一画にある、□△精機(株)の工場で起きた火災事故で粉塵爆発が起こり工場の敷地周囲半径5メートル程度までが吹き飛んだ事だ。

 もうわかったであろうが、ここにいるのは、その爆発範囲内におり即死した者達だ。大半がその工場の人間であり、その者等は何故爆発が起きたかも想像は出来るだろう。」


 そう言われて作業服姿の人達は愕然としていましたが、その中で先程から考え込んでいた様子の人達が周りを促し、皆さんが一斉に他の人達に向けて頭を下げて謝罪しました。


「皆様、この度は私共の不始末で事故に巻き込んでしまい誠に申し訳ありませんでした!!」

「「「「「申し訳ありませんでした!!」」」」」


 謝罪した後直ぐに、工場の社長さんらしき人が質問した。


「大王様、でよろしいでしょうか。質問が有ります。」


「何だ。言ってみよ。」


「この爆発事故の被害は全部でどのくらいですか?

 そしてここにいる者達の家族と連絡をとる事はできませんか?」


「前半はともかく、後半は何故か?」


「遺族の方にはできるのなら謝罪を、そして家族には、生きているなら今後の対策を話したいと思います。」


「なるほど、初めの質問へはこれから説明しよう。何せそれこそがお主等を、わざわざここへ召還した理由でもあるしの。

 後の質問については、個人それぞれが自分の家族へは、夢を通して一度だけならば可能だ。但し、その内容を何処まで覚えていられるか、何処までの内容を伝えられるかは、受け手である者の素質と、出し手である者の生前の行い次第である。

 だがお主は、直近の家族は全員そこに居るから伝えられる者がおらんがな。

 納得したなら、話を続けて良いな。」


「……はい。」


 そして閻魔大王から、爆発事故のによる被害状況と私達の現状等の説明が始まりました。

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