プロローグ
序文
この物語は、普通の転生物ではありません!
死後、転生するまでの過程を面白おかしく書いてみたかっただけの試し書きの作品です。
全体像も、話の長さも、何もかもが未定です。読みづらいかもしれませんが御容赦下さい。
私の名前は、影無透理(15才)高校一年生だ。
私はとても影が薄くほとんど存在感が無い。最もそれは名字からも想像できるように、家族や親戚等の一族老等ほぼ総ての人間がそうなのだが。その中でも私はその傾向が極めて強い。
それがどのくらいかと言われれば、
『学校では、教卓の前の席で授業中に居眠りしようと、スマホを触ろうと、早弁しようとも全く気が付かれる事はない。自分から話し掛けたりしなければまず誰も気が付かない。』
これが父親と姉弟、他の親戚筋を含む一族の特徴だ。
そして母親と妹はまた少し違って、
『誰とどんな会話を交わしたかと言った印象が相手に残らない』
と言う特徴を持っている。
これらの特徴を持つ両親からその総てを引き継いでしまった私は、
『誰からも簡単には気付かれず、話し掛けてもその印象が後で残らず忘れ去られる』
と言う特徴を持つ事になった。
産まれたときからこんな特徴を持つ状態で、よく今まで生きてこられたなと思う。そこは家族皆のおかげと感謝している。最も幼少時は今よりも大分影響力も弱かったのでそれもあるとは思うけれども。
この力が今ほど強く成ったのは、体の成長と共に能力が成長したのもあるとは思うが、それ以上に私の行動による結果が大きく影響している。
こんな能力を持っていると当然、小学校で簡単に友達が出来るはずがない。認識されにくく、忘れられやすいのだから。それこそ、相手の目の前で歌って踊ったりでもしなければ、気が付かず印象にも残らなかった。
そんな状態でも全く友達がいなかったわけではないし、存在感が薄いとは言ってもそこに実体は在るため、本人が書いた文字や絵等はしっかりと残るので、それを使って意志疎通は図れた。そして勿論カメラ等の機械を通すと普通に写る。
(まあその結果として、私が写る写真が心霊写真扱いされる事があるがそれはまた別の話として今は置いておく。)
ともかくそんな感じて過ごしている内に、少しずつ話し掛けられる回数がへり、話をしても相手の記憶に残り難くなっていった。
普通多くの人は、自分以外の誰かとコミュニケーションをするため、情報を集めたり、いろいろと行動して時間やお金を消費する事がある。その面倒さと、コミュニケーションで得られる物とを秤にかけて切り捨てたりもする。
それが私の場合は、一族特有のこの能力の為に、他の人より多くの労力を消費する事になるが、得られる結果は少なくなる。典型的なハイリスクローリターンとなり、気が付けば完全にコミュニケーションを放棄していた。それ故にどんどんと存在感のなさに拍車がかかっていたのだ。
中学校を卒業する頃には、その存在感のなさは自分自身だけでなく、自分の所有物や一部の制作物等にも影響を及ぼす程になっていた。
家族皆の影が薄いと、お互いにコミュニケーションを取るのにも苦労する事があるためか、影無家の人間は自然と周囲の気配や相手の感情等を読む力が強くなっている。
今の私は、そんな家族の皆でも、隣で何かしていても全く気付く事が出来無いほどに存在感が無い。
だから私が、学校からの帰宅途中で爆発事故に巻き込まれ死亡しても、当然誰も気が付かなかった。
長期間、私が家に帰って来ない状態に、家族が気が付くのは実に半年以上経過してからだったらしく、捜索願いが出されたのは、私が事故死してから実に1年以上たっていた為に、遺体が発見される事もなかった。
事故現場の瓦礫撤去作業の際も、そこに私の遺体がある事に気が付かれる事はなく瓦礫と共に何処かの埋め立て地に破棄された。
そして私の存在感の無さは、どうやら神様相手ですら例外では無く効果を発揮しているらしい。