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第58話王都燃ゆ 後編

 セレナを信じて城を無事脱出した僕とハルカを待っていたのは、炎に包まれた王都。水の魔法を使えない僕達はその光景にただ唖然するしかできない。


「ユウマ、急ごう! まずは二人を安全なところに運ばないと!」


「う、うん」


 僕とハルカは火の手が回っていないところ、王都の外を目指すがその途中で王都の入口でも異変が起きている事に気がつく。

 遠目から見てもわかるくらいの巨体、あれは間違いなくデルーテだ。


「王都の外に出るのは難しいか……」


「どうしようユウマ、ほとんど火の手が回って……」


 シーナとフェルトゥナ様を背負っている以上、このままデルーテと遭遇するのは危険だ。ならば、別のルートを見つけなければならないのだけど、僕達はそこまで王都に詳しくない。

 だから何としてもこの場所を脱出できる方法を、短時間でなければならない。


「セレナもアリスも心配だけど、僕達は僕達で何とかこの場所を脱出する方法を見つけよう。入口以外にもどこかに突破口があるはずだ」


「分かった!」


 地下水道でもどこでもいい。どこか二人を安全に避難させられる場所を……。


『今立っている場所から東へ五十メートル進んだ先に、地下道へとつながっている道があります。そこへ避難してください』


 突然頭の中に声が響く。いつも聞いている光の女神様の声ではない別の声。


「ハルカ、今の声」


「ユウマも聞こえたの? 地下道へ繋がる道があるって言っていたけど」


「時間もない。声に従おう」


 誰の声なのかも分からない指示に僕達は従って、東へ進むと声の言っていたように、鉄のようなもので塞がれている穴を地面に発見する。


「ハルカ、僕が蓋をあけるから二人をお願い」


 一度ハルカに二人んを預けた僕は、鉄の扉を開ける。すると中はハシゴのようなものがあり、下に降りれるような設計になっていた。


「降りよう!」


 僕はシーナを、ハルカはシェルティア様を背負い、ハシゴを使って穴を降りていく。ようやく火の手から逃れることができた僕とハルカは、ハシゴを降りながらここまでの事を振り返った。


「まさか王都が燃えるなんて……」


「あれが四将星の力、なのかな」


「デルーテの時もそうだったけど、僕達が相手するにはやっぱり格が違いすぎるよね」


「うん……」


 重苦しい会話が続く。デルーテの攻撃も並大抵のものではないけど、王都全体を炎の海としたムラサメも普通では考えられないほどの力の持ち主なのはハッキリしていた。

 その四将星の二人が同時にこの王都を攻めてくるのには、何か理由があったのだろうか。


「王都はこの世界でも要となっている場所、そこを攻め落とせば攻勢は一気に傾くって考えたのかな」


「それもあるとは思う。でもこんなやり方ってあまりにも酷すぎる……」


 ハルカの言葉の通り、今回の事件の被害は甚大なものだと思われる。今こうして僕達がシェルティア様とシーナを避難させているけど、他の住民はどうなってしまったのだろうか。

 少なからず逃げ遅れた人だっているはず。その人達を僕達は救い出すことさえ……。


「どうやらここが一番下みたいだよ、ユウマ」


「え? あ、もう着いたんだ」


「どうしたの? 急に黙り込んじゃって」


「あ、ううん、何でもない」


 先に降りていたハルカに言われて、地面に足がついていることに気がつく。あの声が言っていたように、この場所はどうやら地下道になっていて、多少暗いけどしっかり進めるように道もできていた。


「それにしてもあの声は誰の声だったんだろう」


「今は気にしなくていいんじゃないの? それより私疲れちゃったし、ここで休憩しない?」


「そうだね。僕も流石に限界……」


 シーナとシェルティア様を安全な場所に寝かし、僕とハルカはようやく一息つく。ムラサメとの戦いからここまで休んでいなかった分、戦闘でのダメージも含めて体力の限界がきていたからか、一息ついてしばらくハルカが眠りについた。

 周囲の安全確認のためにも僕は起きていなければならないのだけど、やはりダメージが深く気がつけば僕もその場で眠ってしまっていた。


「……」


 ■□■□■□

「儂の炎を斬るとは、力をつけたのう」


「お前に褒められても何も嬉しくない!」


 ムラサメに私は斬りかかる。しかし彼女はそれを避けることなく、なぜか受けた。


「何のつもりで……」


「こうするのじゃ」


 私が次の一手に移るその僅かな隙を狙ってムラサメは、私の体をそのまま抱きしめてきた。


「なっ」


「こうすればお主は動くこともできない。そして儂からは先ほどと同じ炎が出ておる。それが何を示すか、分かるか?」


「しまっ……きゃぁあ!」


 ムラサメは私を抱きしめながら、その体を炎に変えて強く抱きしめてくる。私の体を今まで以上の炎を包み込み、焦がしてきた。


「熱いか? 辛いか? しかしお主をを助ける者は誰もいない。このままお主は儂の炎に文字通り抱かれ、その命をもう一度散らすのじゃ」


「あ……ぁぁ……」


「さあ燃え尽きよ。哀れな騎士」


「ゆ……う……ま……」


 ごめん、私もう戻れないかも……。

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