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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第4章僕達の日常は常にハード
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第36話モンスターハウス 前編

 宿屋を追い出され、そろそろ家を探そうという事になった僕達。僅か一ヶ月半でかなりの額のお金は貯めたので、相場を見なから家を探そうという事になった。


「何か要望とかはあるの?」


「個室があって」


「テラスがあって」


「高級ベッド」


「それでいて」


「格安」


「うん、とりあえずその要望は多分無理だと思う」


 そんな都合のいい家があったら、多分この世界の不動産は潰れていると思います。


「お探しの物件なら、一軒だけありますよ」


「あるの?!」


 日本でいう不動産屋に試しにその要望を伝えると、店主さんはそう答えた。


「かなり滅茶苦茶な要望をしたと思うんですけど」


「だから一軒だけなんです。ただ一つだけ格安なのには原因があって」


「やっぱり訳ありなんですね」


「実はその家ーー」



 アルカンディアからほんの少しだけ離れた距離にその家は建っていた。その家は二階建てで、外付けテラスも見られていて、ほぼ要望通りだった。

 家賃も貯めていたお金を使ってギリギリ足りたくらいだけど、その値段とは不似合いなくらい普通の一軒家だった。


「ねえユウマ、確かに見た感じ要望通りなんだけど」


 外見を見てセレナが口を開く。まあ彼女が何を言いたいのかは分かる。


「どう見ても呪われていそうだよね」


「その呪いの原因を探るのが、不動産屋さんの依頼であり、住む条件って事でしょ?」


「うん。そうだけど、これ」


 外見は特に問題はない。けど他に問題があるのが、明らかに二階の窓から何かが沢山俺達を覗いているのだ。


 幽霊?


 呪い?


 ーーいや、違うあれは……。


「皆構えて! あれは……」


 僕はその正体に気づき、警告しようとしたがそれよりも先にそれは動いた。


 そう、動いたのだ。


 家が。


「家型の魔物?!」


「そういう事。あの魔物は自分の中で魔物も飼っていて、それを放出しているんだと思う」


「じゃあ早く倒さないと」


「色々危険」


 僕達全員は敵の攻撃にそれぞれ備える。向こうも僕達を感知したのか、家についている窓を開き、そこから魔物を放出させた。


「すごい数! どうするユウマ」


「アリスとセレナで攻撃を防いで! そこを僕の魔法とハルカの大剣で叩く!」


「「「了解!」」」


 押し寄せてきた魔物をアリスの人形防御と、セレナの盾で受けきり、それを飛び越えてハルカが敵陣に切り込む。

 僕は敵の頭上に魔法を展開し、光の雨を降らせたり、二人が防ぎきれなかった魔物を剣で倒す。


「ハルカ、そのままあの家に突入して!僕達もここを片付けたら向かうから」


「中に入るの?!」


「恐らくこの魔物の本体は家の中にあるはず。だから」


「分かった!」


 ハルカが先陣を切って、モンスターハウスへと突入していく。僕達も敵をある程度片付けながら、前へと進み家への中へと突入する。入口を閉じた事により、外の魔物達が入ってくることはなくなった。


「まさかあんなに魔物が出てくるなんて」


「魔物が魔物を産んだりするのかな」


「それは……考えたくもない」


 モンスターハウスの中に入るまでに息を切らした僕達は、一度落ち着くまでその場にとどまる。中は魔物達がいたとは思えないくらい綺麗で、魔物を退ければ住めそうなのは間違いなかった。


「この家、確かに住むのには快適そう」


「えー、魔物たちが住んでいた場所なんだよ? それに撃退したとしても、もしかしたらまだ魔物が隠れてたりするかもしれないし」


「細かい事は後で考えるとして、とりあえず進もう。これも一応依頼なんだし」


 家が広い事もあり、ここで僕達は二手に別れて一階と二階を探す事にした。

 で、僕と行動する事になったのが……。


「ゆ、ユウマ、ここってお化けとかは出たりしないよね?」


 幽霊なのに幽霊を怖がるセレナだった。たまに忘れそうになるけど、セレナは本人が明言している通り幽霊の存在なのだ。その彼女とさも当然のように歩いている僕は、少しだけ不思議な気分になる。


「セレナって頼もしそうに見えて、実は頼りないよね」


「し、失礼ね! わ、私だって女の子なんだから、怖がるのは当然でしょ」


「それを幽霊に言われても、僕は困るんだけどなぁ」


 ここに現れるのは幽霊ではなく魔物だというのに、どうしてそういうのに彼女は敏感なのだろうか。


「確かに私は死んでるけど……。でも見えちゃうから怖いの!」


「え? 見えるの?」


「あ、当たり前でしょ!」


 そこには気づいてあげられなかった。幽霊だから同じ仲間は見たくなくても見えてしまうのか。ならもしかしたら、僕には可愛い守護霊が憑いていたりしたら、それは幸せかも。


(まあ憑いているのは、神様なんだけど……)


 しかも殆ど力にならない。


『ねえつくづく思うけど、私の事本当に嫌いなの?!』


 こんな声も聞こえない。


「……」


「セレナ、どうしたの黙ったりして」


「え、あ、いや、ちょっと不思議だなって思って」


「不思議?」


「な、何でもないから気にしないで!」


 と言われると気になってしまうのだけど、それ以降セレナは何も言わずに、探索も何も見つけられずに終わってしまった。


「ハルカ達は何か見つけたかな」


「分からないけど、とりあえず合流しよう」


 僕達は一階から二階に上がろうとするが、そこで異変に気がつく。


「あれ? 確かこっちに廊下があったよね?」


「うん。私達ここで二手に別れたはずだけど」


 建物の作りが最初に入った時と大きく変わっていた。二階へ迎える道がなくなっていて、僕達は上の二人と合流ができなくなってしまう。


「まさか建物の中が変化してるの?」


「それしか考えられない。これはこれで厄介な事になったと思う」


 僕達が住む家は外見だけではない、とんでもないモンスターハウスなのかもしれない。

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