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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第1章影が薄くても冒険始めます
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第10話女神様ドール

 三十分後、アリスは準備を終えてギルドに再び戻ってきた。まさか本当について来てくれるとは思っていなかったけど、初めての依頼の仲間としてはかなり心強い。

 心強いのだけど、


「ねえアリス、もしかしてその人形も全部連れてくの?」


「当たり前、私は人形使いだからいつでも人形わや変えられるように連れて行くの」


 アリスの周りに約十体の人形も一緒について来ていたので、かなり怖い。しかもどれも同じような人形なので、軽いホラー映像になっている。


(うわ、すごいこっち見てる)


「ちなみに人形を使い分ける理由は?」


「それぞれ人形には属性が備わっている。だから属性ごとに使い分ける」


「へえ、なるほど」


 ても十種類も属性なんてあったっけ?


「そのうち五体は特に意味はない」


「じゃあ何で連れてきたの?!」


「スリル」


「仕事にスリルなんて求めないでよ」


 とはいえ、連れてきてしまったので仕方なく僕とアリスと人形十体と共に始め値の仕事へ向かう事に。


「それでミナさん、依頼の内容をまだ聞いていなかったんですけど」


「そういえばまだだったわね。内容はと簡単、ある少女の保護をお願いしたいの」


「女の子の保護?」


 依頼の内容はこういうものだった。


 アルカンディアを北西に向かった先に、クロムという小さな村があるらしい。しかしその村は先日魔王軍の襲撃に遭い、村人はほぼ全滅。その中で一人だけハルカという少女が生き残っているらしく、その子を保護してもらいたいという。


「ハルカは実は私の従姉妹なの。何度かこっちに避難して来てって連絡はしたんだけど、村から離れたくないらしくて。でもまた魔王軍に見つかりでもしたら、今度こそハルカの命は危ないと思うの」


「だから保護して来て欲しいって事ですね」


「そういうこと。ただ、ハルカは結構癖の強い子だから気をつけてね。特にアリスは」


「ど、どうして私が。私が嫌いなのは男だけだから、悪い事なんて」


「その人形みたら、ハルカって子逃げ出しそうだけど」


 一発殴られました。


「クロムはここから半日はかかると思うから、特別に私が馬車を手配しておいてあげたわ。それに乗って向かってちょうだい。セレナには私から説明しておくから、頑張ってねユウマ君とアリス」


「初めてだから緊張するけど、頑張ります」


「私だけでも無事に帰ってくる」


「何でそういう事言うの?」


 何はともあれ、僕は初めての仕事をアリスと向かう事になった。二人だけど、きっと成功するはず。僕はそう信じて、ギルドを出る事にした。


「アリスの事もお願いね、ユウマ君」


「任せてください。不名誉な称号、僕が無くしてみせますから」


 最後にミナさんは僕にそう耳打ちした。具体的にどんな事があって、そんな二つ名を付けられたかは分からないけど、彼女の名誉を少しでも挽回できればいいなと思う。

 本人は気にもしていないようだけど、ミナさんがさっき言っていたように、一番傷ついているのは本人に違いない。


「ミナと最後に何の話をしたの?」


「別に何にも」


「ふーん。気持ち悪い」


 このクエストで僕のメンタルも傷ついてしまいそうだけど。


 ■□■□■□

 ミナさんが手配してくれた馬車で、アルカンディアを出る前にはもうお昼の時間を過ぎていた。なので、出発前に昼飯を購入し、馬車の中でそれを食べていた。


「ねえアリス」


「何?」


「馬車がすごい狭いんだけど」


「気のせい」


「明らかに気のせいじゃないんだけど」


 だがその馬車の中はすごく肩身が狭かった。その一番の原因は分かりきっている事だけど。


「馬車に十体の人形と、人間二人は厳しすぎるよやっぱり」


「降りれば?」


「そもそも五体余計に連れくるから悪いと思うんだけど」


「じゃあユウマ、降りて」


「何も妥協していないよねそれ」


 一体の大きさがそんなに無いとは言っても、それが十体一つの馬車に一度に入れば狭いのは当然だ。だからと言って、もうアルカンディアからだいぶ離れてしまったので戻る事も出来ないし、我慢する以外の選択肢が無い。


「そういえば今思ったけど、この人形全部同じように見えて全然違うよね」


「そんなの当たり前。属性ごとに人形の色や形は変えてるから。そうしないと分からなくなる」


「色や形は違うのに、皆顔は一緒なんだね。どうして?」


「夜中にこれを動かして、ユウマを驚かせた方が面白い。それでショック死でもしてくれたらなおの事」


「ねえどうしてそんなに僕に辛辣なの?!」


『きっとツンデレなのよ』


 また唐突にシレナの声がする。もういても意味がない女神は、二度と僕達の会話に入ってこようとしないでもらいたい。


『何をー! 私をそこまで侮辱するというなら』


「えっ、ちょ」


 突然視界がフラッシュする。敵襲と勘違いしてしまいそうなそれは、僕達の視界を妨げた。そして数秒後視界が光に慣れると、目の前にドンっと構えて立つ、シレナの姿が……。


「って、あれ? 体が動かないんだけど」


「あれ? 私の人形一体どこかに……」


「もしかして、シレナなのその声」


 そっくりな人形となって現れたのであった。


「ちょ、ちょっと何これぇぇ」

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