告白
ある日、いつものようにリンは学校に来ていた。
同じ教室で勉強できるようになったキャリーと、毎日一緒に通っている。初めはあまり積極的に話をしなかったキャリーも、リンと一緒に女の子達と関わっているうちにどんどん打ち解けてきた。最近は少し気になる男の子も居ると言って、皆を喜ばせていた。
「ルイはリンのだから、ダメだからねっ」
パティが冗談混じりに言うと「知ってるもん」と返していたのでルイではないらしい。けれどもその前に”ルイはリンのもの”とキャリーまで思ってしまっている事に驚いてしまった。
「そんなんじゃないのにっ…」
いつものように否定するが、「またまたぁ」と軽くあしらわれる。毎度のことながら、リンは困った顔で黙るしかなかった。
「リン」
その日授業の前に、リンはルイに声をかけられた。いつものように少しドギマギしながら、「はい?」と返事をする。
「前に言ってた誕生日のお祝い、明後日やるんだ。リン、来てくれる?」
そう問いかけたルイは、少し不安気にリンの表情を伺っていた。そんな彼に、「うんっ」と大きく頷いて見せる。
「学校お休みだもんね。大丈夫だよ。アーロンに言っておくね」
「よかった」
安堵したように、ルイは笑顔になった。
「帰りはうちの馬車で送っていくから、心配しないでって伝えて」
「…ありがとう」
話を終え、ルイは満足したようにまた机に向かって授業の用意を始めた。リンも顔が熱くなっているのを感じながら、自分の本を取り出して机に置いた。
その日の夜に早速リンはアーロンに誕生会の事を報告した。アーロンはその話を思った以上に快く了解してくれた。
「へぇ、友達の誕生日会か!いいじゃん、いいじゃん、行って来いよ。送ってもらえるなら、安心だな」
そうして友達が出来て交流を広げられるのも、リンが学校生活を楽しんでいる証拠だ。アーロンとしては喜ばしい限りだった。リンは少し申し訳なさそうに「夕食、1人になっちゃうけど、ごめんね」とアーロンを気遣う。
アーロンは笑って言った。
「子供じゃないんだから、いいって。久し振りに飲みに行こうかな」
「隊長さんと?」
「それは無い」
迷いの無い即答に、リンが吹き出す。
明るい笑顔を微笑ましく眺めつつ、アーロンは「そういえば、お前はいつ誕生日なの?」と問いかけた。確かもうすぐだと言っていた。
「…来月の10日」
「来月かぁ」
アーロンはちょっと感慨深げに呟いた。
「13歳になるんだな」
「うんっ」
そう思って改めて見ると、伸びた髪に時の流れを感じた。
初めて会った時には肩にかかる程度だったが、今は背中に届く長さがある。そのせいだろうか、前より少し子供っぽさが抜けて見えるのは。印象的な翡翠色の瞳は全然変わらないけど。
―――こいつ学校ではモテるんじゃねぇか?
不意にそんなことに気付き、アーロンは無意識に顔をしかめていた。リンがそんな目で見られることを想像するのは、相当不愉快だった。
「どうしたの?」
不思議そうに首を傾げるリンにアーロンは苦笑すると、「なんでもない」と返した。
◆
リンが誕生会に出かける予定の日、アーロンは仕事を終えて城門に向かいながら”この後どうしようかな”考えていた。
真っ直ぐ帰るのも勿体ない。とりあえず王都をぶらぶらしてみようか。
あれこれ考えつつぼぉっと歩いていると、突然後ろから「アーロン!」と声をかけられた。
驚いて振り返ると、そこにはローラが立っていた。久し振りにまた帰りが一緒になったらしい。
アーロンの顔は自然に笑顔になった。
「お疲れ様」
「お疲れ様。久し振り」
「そうだね」
前に夕食を一緒に食べて以来、顔を合わせてなかった。今日の彼女は馬を連れてはいない。王都に家が移ったから、馬は必要なくなったようだ。
「途中まで同じ道よね。一緒に帰ってもいい?」
「もちろん」
アーロンは快諾すると、ローラと並んで歩き始めた。
「キャリーね。毎日とっても楽しそうなの。今まで学校での話ってしてくれたことなかったんだけど、学校替わってから、たくさん話してくれるのよ」
ローラが嬉しそうに報告する。そんなふうに話す彼女はとても幸せそうで、アーロンの胸にも自然に幸せな気持ちが広がった。
「良かったね」
気の利いたことも言えずにそう返すと、ローラは「アーロンのおかげだから」と続けた。そんな言葉にも、胸が熱くなる。
―――本当に、良かった…。
心から、そう思った。
しばらく他愛もない話をしながら歩き、やがて分かれ道にさしかかった。ローラが「私、こっちだから」と言って道を指差す。そこで本当ならお別れだった。
「送っていくよ」
アーロンはとっさにそう言っていた。ローラは当然「悪いから」と遠慮する。
「リンちゃん、待ってるのに」
「いや、今日居ないんだ。友達の家に行ってて。だから、俺暇だし。どうせ1人だし」
だから王都をぶらつく予定だったのに、ローラについてここまで戻ってきてしまった。このまま家に帰るのは物寂しい。短い距離でももう少しローラと一緒に居られたらと思って言ったことだが、ローラからは思いがけない言葉が返ってきた。
「それなら、うちにご飯食べに来ない?」
夢のような誘いにアーロンは一瞬固まった。そんな風に言って貰えるとは全く思ってなかった。
「え…、いいの…?」
「大歓迎よ」
ローラはそう言って、にっこりと微笑んだ。
突然のお客さんにキャリーは驚いたようだったが、温かく歓迎してくれた。ローラとキャリーの住む家はやっぱりいくつかの部屋の入った集合住宅の1室で、アーロンが住むところと同じくらいの広さだった。
とても綺麗に掃除されていて、ローラの几帳面さが伺える。
ローラは早速炊事場に行くと、料理を始めてくれた。アーロンも側に行って手伝う。1人で適当に過ごすはずだった夜が、思いがけず心躍る時間となった。
「今日はリン、居ないの?」
夕食を食べながら、キャリーがアーロンに問いかけた。
「うん、なんか友達の誕生日会だって」
そう答えると、キャリーが「あぁ、ルイのだ!」と言って顔を輝かせる。アーロンの動きがピタリと止まった。
「……ルイ?」
そう言えば誰の誕生日なのかは聞いていなかった。ルイというのは前に一度剣を教えてやった男の子ではないだろうか。
「うん、ルイが誕生日会にリンを誘ったってパティが言ってたもん」
アーロンは眉を顰め、「リンだけ?」と問いかけた。
「リンだけだよ!恋人同士だもん!」
「――はぁ?!」
アーロンは思わず素っ頓狂な声を上げた。
「全然、聞いてないぞ!っていうか、子供同士でなんだ”恋人”って!!」
興奮するアーロンの隣で、ローラがぷっと吹き出した。アーロンが我に返って彼女を振り返る。ローラは笑いを堪えつつ、「アーロン、リンちゃんのお父さんみたい」と言った。
アーロンは反論できずに俯くと、また大人しく食事を再開した。
◆
その頃、リンはルイの家で彼の家族に1人で混じり、食卓を囲んでいた。
ルイの家は庭のある綺麗な一戸建てだった。
テーブルの上にはルイのお母さんがつくった豪華な食事がたくさん並んでいる。
お父さん、お母さん、兄弟だけでなく、ルイの家にはおじいさんもひいおじいさんも住んでいるらしい。
リンの訪問を全員で歓迎してくれた。
絶えず明るい笑い声が響く家に、リンの心も自然に暖かくなった。
ひいおじいさんはだいぶお歳らしく、安楽椅子に腰掛けてゆらゆら揺れている。話しかけるときは耳元に口を寄せているし、目はもうあまり見えてないらしい。
楽しい食事を終えた後、リンはルイと一緒にひいおじいさんの傍に行ってみた。そして「はじめまして、リン・アルフォードです」と挨拶をした。
ひいおじいさんは穏やかに微笑んでリンを迎えた。
「ルドルフ・パーマーだよ。よろしく。ごめんな、よく見えんで」
「いいえ…」
リンはそっとルドルフの手を握ってみた。自分の存在を伝えるように。傍に立つルイが目を細める。
「俺と同じ学校で、同じ歳なんだ。ひいおじいちゃんの好きな、翡翠色の瞳なんだよ」
ルドルフが「ほぉ…」と小さく呟いた。リンが問うような目をルイに向ける。翡翠色の瞳が好きというのは何故だろう。ルイが応えて苦笑した。
「ひいおじいちゃんの好きな言い伝えに出てくる種族がいてね。翡翠色の瞳が特徴なんだって」
「言い伝え?」
リンが問いかけた時、ルドルフは「大昔はな…」としわがれた声を洩らす。
ルイが「やばい。始まっちゃった」とおどけて肩を竦めて見せた。何度となく聞いた話なのだろうか。リンの目はルドルフに戻る。
「大陸は……1つだったんだ。そして人はゴンドールと、共存していたんだよ」
ゆっくりと語られる物語に、リンは黙って聞き入った。
――かつて、大陸は1つだった。
ゴンドールと人は同じ地に住み、共に生活していた。それを可能としたのは、ある種族の存在だった。
翡翠色の瞳を持つ彼等は、ゴンドールと意思の疎通をはかることができていた。ゴンドールは彼等を乗せ、彼等の行きたい場所へ運び、欲する物を与えた。人々は彼等を”ゴンドール遣い”と呼び、敬っていた。平和で穏やかな時代だった。
ある時、海底火山の活動により、大陸は3つに別れた。そしてその後、長い時を経て、世界は変わっていった。
ゴンドール遣いに奇妙な権力を誇示する者が現れ始めた。彼等が自由にできるのはゴンドールだけではなかった。力の強いものは、人をも自由に操った。彼等の力は、”生き物と意思疎通をとれる”というものではなく、”生き物を己の思うがままに操れる”という種類のものだった。それが明らかになったことで、一部のゴンドール遣いは人の上に立とうとし始めたのだ。
ゴンドール遣いはある者には恐れられ、またはある者には敬われた。
だが、その頃には混血が進み、力は弱まり、ゴンドール遣いの種族はかなり減っていた。
ゴンドール遣いを王として人々は大陸の1つに王国を造った。そしてそれをアリステアと名付けた。
そしてそれに反発する者達はもう1つの大陸へと逃げ延びた。
ゴンドール遣いの存在で、王国は圧倒的な権力を持った。しかしその時間は長くは続かなかった。同種族の減少により血を存続することが難しくなっていき、近親婚に踏み切り、結局力を弱める結果となった。その血を維持する方法が見えず、行き詰ったのだ。
絶対の君主として君臨し続けるはずだったアリステアの王族はやがてかつての力を失っていった。
その頃もう1つの大陸でも王国が生まれた。それはローランドと名付けられた。抑圧され続けた想いをぶつけるように、やがてローランドはアリステアを攻撃し始めた。
それが長い戦乱時代の幕開けとなった――。
ルドルフの話を聞きながら、リンは凍りついたように固まっていた。体中を駆け巡る衝撃に、指先が冷たくなっていく。
ルイが呆れたように、「もういいよ。何度聞いたか分からない。そんな言い伝え、本当かどうかも分からないし」と笑う。けれどもリンはとても一緒に笑うことなど出来なかった。
「リン、席にもどろう」
「――その種族は…」
ルドルフの手を握るリンの力が強くなった。ルイの誘いも耳に入ってはいなかった。
「その種族はもう居ないんですか?力は、もう存在しないんですか?」
縋るように問いかけるリンをルイが驚いたような目で見ている。ルドルフはふっと微笑んだ。
「どうかな…。古い種族の血が、どこから生まれたのかは誰も知らん。どこかで、また目覚めるかもしれないなぁ……」
遠い目してそう呟いたルドルフを、リンはただ茫然として見つめていた。
誕生会が終わり、夜も更けた頃、リンはルイに「そろそろ、帰らないと…」と言った。
「おぅ、じゃぁ馬車出してやるな」
そう言った父を、ルイは即座に「ちょっと待って!」と遮った。腰を上げかけた姿勢で、彼の父が動きを止める。
「リンと、ちょっと話があるから待ってて」
ルイの言葉にリンの心臓がドクンと大きな音を立てた。
リンを自分の部屋に案内すると、ルイはベッドに腰掛けて「リンも座って」と促した。リンは緊張しながらルイの隣に少し距離をおいて腰をかけた。
緊張のせいでルイの声が硬い。それが伝わってきて、リンもどこかぎちこなくなる。少しの間、2人の間には沈黙が流れた。
「この前……」
不意にルイが口を開いた。
「教室で、皆の前で、あんなこと言ったりして、ごめん」
リンの心臓は激しく鼓動して、その音は外に漏れそうだった。ルイの方は見れずに、俯いたまま「ううん」とだけ応える。
「嘘じゃないから」
ルイが言った。
喉が塞がったように、声が出ない。リンは黙ったままルイの言葉を待った。
ルイがリンの方をそっと伺う。その視線を受け止めることも出来ない。
少しの間をおいて、静かな部屋にまたルイの言葉が落とされる。
「……好きなんだ」
その言葉に、胸がぎゅぅっと苦しくなった。顔が熱くなっているのが分かる。
言われることは分かっていたはずなのに、実際言われるとどうしようもなく動揺した。
「初めて会ったときから気になってて…。だからうまく話せなくって…。勉強頑張ってるの、えらいなって思うし、剣も上手で、すごいと思うし。いつも皆と一緒に笑ってるの見てたら……」
一瞬言葉を止める。そしてまた思い切ったように口を開く。
「いつの間にか、すごい好きになってて……」
リンはさらに顔を俯けた。髪の毛がさらりと落ちて顔を隠してくれる。心臓を落ち着けようと目を固く閉じてみるけど、全く効果は無かった。
途方に暮れて、誰かに助けを求めたくて、そう思ったら自然に、アーロンの顔が目の裏に浮かんだ。
少しの間また沈黙が流れ、部屋は静寂に包まれた。ルイが硬い声を誤魔化すように無理に笑う。
「迷惑だよね…」
その言葉にリンは慌てて首を横に振る。それを見たのか、ルイが一瞬間をおいて「迷惑じゃない…?」と問いかける。
「私…!」
リンは必死な想いでやっと声を出した。
「私、よく分からない…!そんな風に言ってもらったの初めてだし、男の子の友達ができたのも初めてだったし…」
一気にそう言って、はぁっと息を吐く。無意識に息を止めていたらしくて、やたらと苦しい。
隣で聞いていたルイが「そっか…」と少し気が抜けたように呟いた。
「じゃぁ……考えてみてくれる?」
不意にルイが問いかけた。リンはゆっくり顔を上げ、ルイの方を見た。その顔は絶対真っ赤に違いないと思えた。リンを見るルイの瞳は、とても真剣だった。
「俺、待ってるから。考えて、みてくれない…?」
苦しいほど響いていた胸の鼓動がだんだん落ち着いてくる。ルイの青い目を見ながら、リンは小さく「うん…」と呟いた。
◆
その頃アーロンはまだローラの家に居た。
ローラの家で楽しい時間を過ごし、色々話しているうちにいつの間にかずいぶん遅くなっていた。
名残惜しいが、ローラも自分も明日の仕事がある。アーロンは「いい加減、帰らないと…」と呟き、目の前の食器を見た。
「片付けしたら、帰るよ」
そう言って立ち上がる。
ローラが「いいの。私、やるから」と言ったけど、「だめだよ、この前片付け手伝ってもらったじゃん」と返すと食器を手に炊事場へと向かった。
キャリーは「私、お風呂行ってくる」と言って席を立つと、部屋を出て行った。
ローラはアーロンについていくと、「ごめんね」と言いながら隣に立つ。
また近くに存在を感じ、アーロンの胸が高鳴る。アーロンは目を逸らすと「すごく楽しかった。思いがけず」と言った。
「うん、私も。いつも2人きりだし、またいつでも来てね。今度はリンちゃんも一緒に」
「うん」
それが社交辞令でも嬉しかった。
アーロンは手早く食器を洗った。それを受け取ってローラが拭いて仕舞う。2人でやると片付けもあっという間だった。
「ありがとう。助かっちゃった」
ローラは手を拭きながらそう言った。
「アーロンと結婚する人って幸せね」
何気ないその言葉にアーロンの心臓は大きく跳ねた。思わず、「なんで…?」という問いが口をついて出る。
「だって、とっても優しくて暖かくて…。こういうこと男の人面倒臭がりそうなのに、嫌な顔ひとつしないでやってくれるし」
そう言って微笑むと、「いいお父さんになりそう」と付け足した。
―――いい”お父さん”…。
その言葉は褒め言葉のはずなのに、なぜかアーロンの心を沈ませた。ローラの中での自分がまるで”男”ではないかのようで。
ローラが背を向けてその場を離れようとした瞬間、アーロンはとっさに彼女の腕を掴んで引き留めていた。
ローラが驚いたように振り返る。栗色の瞳が真っ直ぐアーロンを見ている。
「――好きだ」
抑えきれずに、零れ出た。全く伝える気などなかった言葉が。ローラが息を呑み、更に大きく目を見開く。2人は時が止まったように、しばらく見詰め合った。
ローラの戸惑う瞳が物語っている。アーロンの想いが、彼女にとって思ってもみないことだったのだと。全く考えたこともなかったのだと。
そう思ったら、また頭が真っ白になった。
掴んだ腕を引っ張って、その体を腕の中に引き込んだ。ローラは以前と同じように、ビクリと一瞬体を震わせた。
「きみが、好きなんだ」
耳元で囁いた声に、ローラは何も応えなかった。ただじっとアーロンの腕に抱かれたまま立っていた。
やがてアーロンは腕をゆるめ、ローラの体を離した。ローラは俯いて、アーロンの顔を見せてくれない。
それが拒絶なのか、ただの戸惑いなのか、全く分からない。答えが欲しくて、ローラの頬に触れてみる。白くて綺麗な肌は、とてもなめらかだった。
ローラは、逃げることも、顔を上げることもしない。焦れる想いを持て余し、アーロンは両手で彼女の顔を挟んで上向かせた。
自分を振り仰ぐ形となったローラの瞳には、驚きと戸惑いが混在していた。
「……好きなんだ」
目を合わせてそう告げた。そして声を失ったままのローラに、ゆっくり顔を寄せた。唇が軽く触れ合う。それだけで、一度離れた。まるで人形のように抗うことも応えることもないローラに、アーロンの胸には遣りきれない思いが広がった。
「何か、言って。……嫌なら、止めるから…」
アーロンの目を見詰めたまま、ローラがぎこちなく口を開く。
「嫌じゃ、ない…」
瞬間、頭の中で何かが弾けた。
引き込まれるようにまた唇を重ねる。肩に、腰に腕を廻して抱き寄せると、夢中で口付けた。今までの想いを、全て吐き出すかのように。
ローラはただ目を閉じて、アーロンにされるがままそれを受け入れ続けていた。




