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プロローグ
人が月に住むようになった時代。
過去に現れた、
特撮のような巨人が暴れまわったことが人々の記憶から消え始めたころ
時代はまた動き出す。
巨人の名はオーガニクス。
確かに存在していたのだ。
-なにもない。
-俺には何もなかった。
-最初からわかっていた。
あの場所を抜けたところで、俺は命のやり取りをしていた。
生きるすべはこれしか知らない。
しかし、この場所にはルールがある。
決着をつけるのは人なのだ。
だから、この場所には俺の居場所はない。
-俺には何もない。
-俺はあの場所に戻るしかない。
-あの場所でやらなければならないことがある。
俺にはわかっている。あいつが待っている。
あいつはわかっている。俺が戻ることを。