プロローグ
ふと浮かんだお話を休日の深夜のテンションで書いてしまいました。
気軽な気持ちで読んでもらえると幸いです。
遥か昔、世界を我が物としようとした魔神がいました。
魔神は魔族の大軍勢を引き連れ、瞬く間に国々を征服していきました。
そして世界を支配するまであと1歩の所まで来た時、それを阻止しようとする者が現れます。
人々から勇者と呼ばれた5人の力は魔神にも匹敵する程で、魔族の軍勢を次々と退け、魔神のいる神殿へとやって来ました。
「グッ、ググ…。貴様等…よくも」
片膝を着く魔神が苦悶の声を上げる。周りには4人の勇者が囲むように立っており、魔神に向かって両手を掲げている。勇者達の手から光の鎖がいくつも出ており、魔神の体の自由を奪っていた。
そして残りの1人が魔神の背後にある壁に手を掲げ、呪文を唱えると壁に黒い穴が開く。穴が開いた途端、魔神は引っ張られるように仰け反る。
「グァァァァ!」
穴に吸い込まれそうになる魔神だが鎖で縛られてその場を維持している。勇者達が鎖が切れないように必死で念じていたからだった。
すると、魔神の体から黒い煙が漏れ出して穴に吸い込まれていく。そして一際大きな煙の塊が体から出る。煙は必死に体にしがみつくが、見る見るうちに体から離れていく。
「よし! 魂が出て来たぞ! もう少しだ!」
勇者の一人が声を上げる。
「おのれぇぇぇ! 必ず! 必ず復活してやる! 覚えていろぉぉぉぉぉ!!!」
そう叫ぶと魔神の魂である黒い煙は穴の中に吸い込まれて行った。魂を吸い込み終わった穴は次第に小さくなり、完全に塞がった。
鎖で繋がれていた魔神の体は魂を失い、その場で崩れ落ちる。それを確認して勇者達は安堵の顔を浮かべる。
「…終わった?」
「オレ達の勝ちだよな!?」
「ああ」
「これで終わりなのね」
「悪は去った! 皆、帰ろう!」
こうしてとても厳しい戦いの末、5人の勇者は魔神を封印する事が出来ました。
めでたしめでたし。
よくある勇者の王道エンディングです。
ここから物語は始まります。
それではよろしくお願いします。