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漆黒の少女

「最近ガーゴイルの数が減ってるんだけど」


葉月は端末を片手にエルエルの羽をわしづかみにして問いかけた。


「わ、わからないエル・・・妖精のネットワークでも議題に上がってるけど何もつかめずじまいエル・・・でも今日本全国のエリアで急激なガーゴイル減少がみられるらしいエル」


エルエルの情けなさそうな声に葉月は盛大にため息をついた。


「ほんっと妖精って動くのも遅いし間が悪い・・・他所の魔法少女のことはどうでもいいけど私の場合ガーゴイルいないと困るんだよね・・・」


「しばらくは様子見するしかないエル・・・」


葉月は盛大にため息をつきながら窓の外を見ると、何やら黒い影が道を走り去っていくのが見える。


「あれは・・・もしかして・・・」


『最近野良魔法少女、通称「ノラ」が各自治体の討伐エリアを荒らしているらしいので気を付けてね』

『ノラは髪も服も真っ黒な姿をしていて、勝手にガーゴイルを一掃していくんだよね』

『あまりにも速くて姿をちゃんと見たことないけど誰か情報頂戴』


葉月はまほリンクで話題になっていた記事を思い出し、気が付いたら家をとびだしていた。


走りながら変身し、その足に力を籠める。


噂の通り恐ろしく足が速い。


ショコラミントはすぐに鋭利に光る糸を無限に出し道をふさいだが、黒い影はその糸に驚きこそすれど、極めて冷静に屋根の上に飛び乗ろうとした。


「ノラ!あんたのせいで私は迷惑被ってんの!!」


ショコラミントの叫ぶ声に黒い影は動きを止めた。


「・・・ノラ・・・?なにそれ、だれのこと?」


黒い魔法少女は感情のない静かな声でショコラミントに問いかけた。

彼女はゴシック調の黒ロリータ風衣装に身を包んでおり、かわいらしく編み込まれた黒髪に飾られているつややかな黒薔薇が妖艶な雰囲気を醸し出している。

真っ黒な靴はつややかで冷たい輝きを放っている。

胸元のリボンには南京錠の飾りが鈍い光をたたえ、腰にまかれた鎖からは怪しげな光をまとったランタンが静かに揺れていた。


「私は魔法少女デスサイズ。私にも目的があるの。あいつらを倒さないといけないから、私はあなたの言うことはなにも聞けないの・・・」


デスサイズと名乗った魔法少女は表情を変えることなくそう言うと、戦闘の体勢を取った。


「私だって目的があるの!あんたの目的はどうでもいいけど他所でやってくれない?」

「それ以上何も言わなくていいよ。どうせ話し合いはできないと思う・・・でもこれだけはわかる・・・あなたは私の脅威になりうる・・・今、殺さないと・・・」


デスサイズの足元の影が大きく揺れて膨らんだ。

ショコラミントがとっさに防御の構えを取るも、その影は素早くショコラミントの足元に伸びる影をとらえ、動きを封じてしまった。


「な、なにこれ・・・!?」


「ここで殉職か引退か、今すぐ選んで」


「断る!!!」


「あなた、そうまでしてお姉ちゃんと同じ目にあいたいの!?」


「ハァ!?何のこと??」


先ほどまで崩すことなかったデスサイズの感情のこもった声に思わずショコラミントも感情的に返してしまう。


「もういい、もういい!!!」


デスサイズの手から黒いナイフのようなモノが飛び出す。


「ショコラミント、危ない!!!」


どこからかショコラミントにとって聞き覚えのある声が降ってくる。

そのとたん辺りに煙が立ち込める。


「魔法少女、ソルトエース。誰も、悲しませないために・・・!」


ショコラミントの前にまっすぐと立ち、トランプの形をしたシールドを張った一人の魔法少女がデスサイズを見据えていた。


急な展開にショコラミントもデスサイズも動きをとめる。


「ショコラミント、良かった!無事だった!!!」


ソルトエースはショコラミントに勢いよく抱き着いてとてもうれしそうな声を上げた。

どうしたらいいかわからず呆然としているうちにあたりを満たしていた魔力が消えていく。


「ノラ・・・!」


ソルトエースを無理やり引きはがしショコラミントが大きな声を出すもデスサイズの姿はどこにもなく、いつも通りの平和な近所の風景が広がっていた。


「っち、逃がしたか・・・」






「で、言い訳は?」


葉月は自室にてサエを目の前に正座させた。


「いや、その・・・学校に来ない割に先生が何も言わないから・・・あとSNSでいろんな話を見たときに共通点があったし・・・うすうす・・・」


「まあ身バレは仕方ないけど私はだれとも協力する気はないから」


葉月の言葉にサエはばっと顔を上げた。


「え、危ないよ!!協力した方が・・・」

「私にも目的があるの。とにかく魔法少女として活動するのは別に勝手にすればいいよ」


葉月はかぶせるように大きな声を出し鋭い目つきでさえを睨みつけた。

その様子にサエは口を閉ざし、消え入るような声で謝罪をし自宅に帰っていった。


「協力してもらった方が魔力残滓もたくさん集まるエル。何で断ったエル?」

「エルエルがいったんでっよ?生命の蘇生は禁忌だって」

「葉月はとっても優しいエルね~」

「次変なこと言ったら羽根むしるから」


葉月はエルエルに冷たい声で言葉をかけると、まほリンクを開き黒い魔法少女「ノラ」の記事を探した。


『ガーゴイルの反応があったから向かったらすでにノラがいてガーゴイルはもう倒されていた』

『ノラが倒してしまうと私たちの討伐数に換算されないから今までよりも給与が少ない』


なかには感情的な投稿もあり、かなりコメント欄が荒れている。


「・・・」


葉月は端末の電源を落とし、照明の消えた薄暗い室内で力なくあおむけに寝転がった。


「面倒なことになったなぁ・・・」




学校の中庭で一人たたずむ人影がある。


「返信ぜんぜん来ないなぁ・・・」


サエは端末を見つめてため息をついた。

あれからサエは共闘の打診や簡単な雑談など連絡をしたが返ってくるのは「あー」や「そうなんだね」等興味のないことがよくわかる簡単な相槌のみで、基本既読無視をされていた。

SNSでは相変わらずショコラミントの話題が増え続けている。それだけいろんな魔法少女に呼ばれているのだろう。


まほリンクの支援要請コーナーをみればショコラミントの名が申請欄にいくつも並んでいる。それを確認してサエは心配そうな表情で深い深いため息をついた。





「・・・私たちの担当エリアは魔力残滓の少ない低級ガーゴイルばっかりなんだから私に声かけずにさくっと一人でやればいいのに・・・」



ショコラミントは端末を見ながら呆れたような声を出した。


「もう少し優しくしてあげてもいいと思うエル・・・」

「巻き込んで面倒ごとになる方が嫌だから」


ショコラミントは淡々とエルエルの言葉に応えると、瓦を強く蹴って隣の家の屋根に飛び乗る。


「今日はこの前も共闘したパチットキャンディさんのところに行くから、変なこと言わないでよ?」

「任せるエル!」


ショコラミントはエルエルの言葉にうさん臭さを感じつつも端末の時間を確認すると集合場所に急いだ。


~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日は魔法アイテムについて解説するエル!


①Pドロップ

これは魔法少女の魔法力を上げる飴玉エル!一粒でだいたい二十四時間、およそ二倍くらいの力が出せるエル!強敵が出たときに使う場合が多いエル!

原料?殉職した魔法少女が変身に使ってた宝石を粉にしたものが入ってることしか知らないエル!どうやって作ってるかは企業秘密エル!


➁思い出の香水

魔法少女を引退した人間が変身するためのアイテムエル!

使い切りアイテムで、瓶のふたを折ることで使用するエル!

これも原料を知りたいエル?知りたがり屋さんエルね~。戦いで死ぬのは人間だけじゃないエル。魔法少女をかばって無くなる妖精を何人も知ってるエルよ。そんな死んでしまった妖精を魔法で加工して作るらしいエル!もちろん老衰で亡くなる妖精もいるエルよ?


➂羨みの灯

魔法少女の適正が無い人間が変身するときに用いるエル。

でも魔法耐性を無理やり上げるために生命力を使うエル。だから変身すればするほど寿命が短くなるエル!見た目は変わらなくていきなり動かなくなるから、だいたい急性心不全で片づけられるエル。

まえは女王様が管理していたけど、あのアイテムは意志が宿っているから脱走してしまったエル。今はどこにあるエルかね~。


他にもアイテムはあるにはあるけど、どれも女王様の宝物庫にしっかり収まってるから、誰かが持ち出さない限り魔法少女たちの元で問題を起こすことはないエル!!

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