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光のカーテンのその先へ

真っ白な真四角の部屋に、白いベッドが置いてある。淡い空色の布団をかけられた少女のまつげが優しく震える。


「んうぅ・・・ここは・・・」


サエの目がゆっくりと開き、周囲の人間たちの注目を集める。


「サエ!!やっと起きた!!・・・もう、いつまで寝てんの!!おそいよ!!!」


葉月の普段の様子からは想像もつかないような怒りと悲しみをごちゃまぜにしたような情けない声に驚くサエに、医者が真剣な様子で声をかけた。


「サエさん、あなたは新種のガーゴイルに襲われ、数日意識を失っていました。ご両親に連絡をしたのですが、少しばかり感情的な反応をするばかりで落ち着いて話をすることが難しいと判断しましたので勝手ながら葉月さんのみ面会許可とさせていただきました」


サエは右手をゆっくりと動かし、傍らで眠る相棒のうーにゃんを愛おしそうに優しくなでた。


聞くところによるとその医者は自治体所属の魔法少女専門医の一人だそうで、ガーゴイルに取り込まれた際に体内に入ってしまった高濃度に圧縮された魔力で体内が汚染されてしまったサエの担当医になったのだという。


「君たちはどちらも魔法少女のことはご家族には言っていないようだし、今回は事件に巻き込まれただけと説明しています。体内の魔力汚染の関係で一般人は面会謝絶とさせていただいてますので、くれぐれも詳しいことを聞かれても話さないように」


主治医は入院にあたっての連絡事項などをあらかた話し終わるとあとを看護師に任せ、葉月に軽く会釈すると病室を出て行った。


話をするにも気まずいといった様子の不自然な沈黙が病室に訪れる。


「サエ」

「葉月、ごめん」

「ちがう」

「はづき」

「そうじゃない」


二人は黙って顔を見合わせる。


看護師が全員部屋を出て行くと、二人きりの空間が怖いほどの沈黙に包まれた。


長い沈黙をやぶるように、気まずそうな様子をそのままに葉月が口を開いた。


「それで・・・サエはこれからどうしたいの?」

「え、なんのこと?」

「暗闇の中でいろいろ聞こえた。知られたくなかったならごめん。忘れるように努力する」

「そっか・・・」


サエは葉月の想像していたよりもあっさりと笑い、何かを考え始めた。

そして



「・・・よし・・・・うん。決めた」

「サエ?」




「私・・・・高校に進学したら留学することにした。今、決めた」


サエの声が静かな病室に響く。


「・・・へ?」

「ごめんね葉月。やっぱり親から逃げるにはこうするしかないかなって。えへ」

「そっか」

「これからもっと厳しくなるかもだけど・・・頑張る!」


サエの軽い様子に拍子抜けした表情を向ける葉月は、その表情を崩し、半ば呆れたように口元を緩めた。


「・・・体に異変はない?」

「うん」

「気分が悪いとかは?」

「ないよ」

「ならよかった」

「それでその・・・留学に行ける学校を受験するためにも魔法少女はおやすみしようと思うんだ。あ、もちろん帰ってきたらまた復帰するよ?でも勝手に魔法少女を始めておいて勝手に休むとか言い出すのも迷惑かもなんだけど・・・」


サエはもう決意を曲げる気はないようで、その瞳の奥が力強く光り輝いていた。


「・・・ふ、いいよ、わかった。そのかわり帰ってきたらこれでもかってくらいこき使ってあげるから」


「え~?ひどいなあ~」


二人は顔を見合わせると、一拍おいて笑いあった。


「また来るから、持ってきてほしい差し入れ連絡しといてよ?」

「お菓子とか?」

「もう、ばか」



葉月が病院を出ると、その息は出た端から白く染まり、上空に上っていく。

葉が落ち、むき出しになった街路樹の幹が立ち並ぶ大きな通りをゆっくり歩くと、洋服越しに冷たい空気が肌に鋭く突き刺さる。



「もうそろそろ年末かぁ」



葉月の小さな声が、雪の降り始めた灰色の空に淡く溶けて消えていった。





葉月は病室で暇すぎるのかSNSの更新費度が頻繁なサエのアカウントを流すように眺めながら、退屈な授業を聞いていた。


大きなあくびを窓に向かってすれば、窓の外でぼんやりとしているエルエルと目が合う。認識阻害魔法を使っているから安心とのことで、羽の生えた生物が堂々と宙に浮かんでいてもクラスメイトはだれも気に留めるわけでもなく黒板の方を向いている。


サエの入院は検査や今後の研究の一部も含まれるらしく短く見積もっても退院に半年はかかるらしい。

葉月はそれを聞いて、ほっとした自分に気が付いた。



「これ以上あの子を巻き込みたくないな・・・そもそもこれは私が始めたことなわけだし」



葉月は、端末に表示された『緊急支援要請』の文字をそっと指ではじいた。



授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。葉月は端末に送られてきた地図に目を通し、その足で市内の大きな駅に向かって歩く足を徐々に速めた。





次の日から、葉月は学校を本格的に休んだ。



「大丈夫。元の生活に戻るだけ。守るものが増えただけで私は何にも変わらない」


ショコラミントのつぶやきは、冷え切った空気を震わせ、どこかの町の上に優しさをまとって降り注いだ。


~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日は魔法少女ソルトエースについて解説するエル!

エルエルの相棒、ショコラミントの後輩の魔法少女で、あまり自己肯定感が高くない子だエル!

ソルトエースは特有の武器は持ってないけれど、もともとご実家が武術の道場をしているからその影響で変身しなくても戦えるらしいエル!だから、変身した後は魔法で身体強化をして素手で戦うのがソルトエースの戦闘スタイルなんだエル!

たまに魔法のグローブみたいなものを付けていることもあるみたいだけれど、戦う時の癖手金い動きにくいからパフォーマンスでしかやらないらしいエル!


元々る良いのに変身して強化したらもっと強いなんて、サエちゃんはすごいエル!今は入院しているけれど、体調も良好なようだしゆっくり休んでほしいエルねぇ。

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