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歪みと正義

「・・・これで20体目・・・」


ショコラミントは小瓶を取り出して魔力残渣を回収すると中を覗き込んで日に透かした。


「多すぎる・・・おかしい・・・まるでこの町に意図的に集められているみたい」


取り出した地図には15個のマークがしてあるが、マークのしてあるエリアに向かう道中でもそこそこ大型のガーゴイルが現れ、意図しない戦闘にショコラミントは疲弊し始めていた。

被害度やガーゴイルの活発具合のリストと照らし合わせながら優先度で票を作り、三日に分けて討伐をする予定だったが、これではらちが明かない。


夜も遅くなり、見通しが悪くなったため、八時になったのを確認したショコラミントは宿泊施設に戻ると変身を解いてベッドに飛び込んだ。


「お風呂は明日でいいやぁ・・・」


葉月は母親にメッセージを送ることをすっかり忘れているようだった。




「うんぅ・・・」


葉月は窓から差し込む朝日に目を細めた。


机の上に置かれた端末が激しく点滅していることに気が付いた葉月は慌ててその通知を確認してみると、母親からメッセージ通知が届いていた。


『葉月、大丈夫?』

『ちゃんと勉強してる?』

『サエちゃんに迷惑をかけちゃだめだよ』


「うわあ・・・」


葉月は引き気味で母親に電話をかけた。


「おはよう」

《おはよ。生きててよかった!昨日連絡なかったから心配したんだけど》

「ごめんて。昨日は集中しすぎて終わった後そのまま寝ちゃった」

《じゃあこれからお風呂かな?》

「うん」

《そうか。転ばないようにね》


簡単なやり取りを終わらせて強引に電話を切ると、葉月は着替えをもって浴室に向かった。




「今日は街の北側行くか・・・」


葉月は窓を開け放つと変身してから空に飛び出していった。



北側は小学校や公園などが集まっており、小さな子供が多く過ごしているエリアのため騒ぎになる前に片づけてしまわなければならない。

戦闘で回りの設備が壊れすぎると、町に住む子供たちをはじめとした住人がガーゴイルとは関係ない要因で危険にさらされるため、今回は戦闘被害をなるべく減らしてほしいというのが契約内容に含まれている。

ショコラミントは街の細かい地図と施設のリストを照らし合わせながら、誘導ルートを脳内で構築していく。

ガーゴイルにしか触れられない糸を魔力を練って作り出し、未知の各所に張り巡らせていく。ルージュナイトの毒霧から着想を得たものだ。


「・・・取り合えずこんなとこかな」





ショコラミントは大きな公園の入り口に立っていた。

見上げる先にはタコ型の宇宙人を模したアスレチックが迫力ある影を伸ばしている。


「・・・いた」


遊具の天井に液体のようなモノがちらりと見える。


「スライム型・・・?いや、そんな筈・・・」


ショコラミントが疑わしい視線を向けながら公園に一歩踏み込むと、ショコラミントの体が空中に引っ張られていく。


「!?」


ショコラミントはとっさの罠に驚きはすれどさかさまの体勢ですぐ冷静に考えを巡らせた。


ショコラミントの両足には粘液をまとった触手のようなモノがまきついており、それは遊具の中から延びている。


「植物型・・・」


動物型の派生である植物型は手数が多いぶん一人で対応するのはおススメされないとされている。

しかも今回は謎の粘液をまとっており、甘い香りがする。


「これ、食虫植物を模してるとか言わないよね・・・」


ショコラミントは嫌な予感がして、すぐに糸で自分の手を強化すると手刀でその蔓を切ろうと試みた。



「・・・っ」


黒い人影が横切った。


ショコラミントが一呼吸している間に、その体を拘束していた蔦がばらばらになり崩れ落ちた。


「っノラ!?」


ショコラミントが声をかけると、その影は足を止めた。

影の主はゆっくりと振り向くと、フンと鼻を鳴らしてそのまま姿を消した。

その姿は紛れもなくノラ・・・魔法少女デスサイズだった。


ショコラミントは目の前のガーゴイルを倒すことを優先することにし、デスサイズの行方を追うことはあきらめた。

しかし、それはそれとして目の前のガーゴイルのタイプからして、当初の作戦である建物が壊れない場所に誘導するのは不向きだったためショコラミントは作戦を変えることにした。町に張り巡らせている糸は人間や魔法少女には見ることもか触れることも一切できないためそのままにしていつか再利用することになった。


植物型は地面に根を伸ばしていることが非常に多い。

そのことを思い出したショコラミントは魔力探知を使い、その根元を探したがどうもおかしい。

まるで建物やコンクリートの隙間に自生しているタンポポのように地面のどこにもその反応は見られない。

よく見れば公園の遊具はかなり古く、ヒビが入っている個所が何か所も見受けられた。


「壊さないようには無理かなァ・・・報告書書くのめんどくさい・・・」


ショコラミントはめんどくさそうにため息をつくと、意図を集めて大きなはさみを作り出した。


「まずは・・・・・伐採かな!!!!」


ショコラミントはハサミを構えると、建物の中に突撃した。

ショコラミントの予想の通り大きなアスレチックの天井に入った大きなひびに根が深く刺さっているようで、ガーゴイルがヒビの部分から逆さづりの状態で花を咲かせていた。



ガーゴイルは鳴き声をあげると、斬られたツタを再生させて襲い掛かる。


「同じ轍は踏まないよ」


ショコラミントは不敵に笑うと、その蔦をギリギリまでひきつけて素早く回避した。

案の定蔦は壁に勢いよく突き刺さり動きをとめた。


「まずは根より上を刈り取ってから、根を枯らす!!」


ショコラミントはハサミでその根元を切断した。根より上の体は 各空離されたことで苦しそうな鳴き声を上げると、空気に溶けて消えていった。


「フン。・・・腐食の種(クローズヘルベッティ)


ショコラミントの手のひらに真っ黒な種が現れると、それを禍々しくうごめいているガーゴイルの切断面に落とした。


種がそこに触れた瞬間、肉が焦げるような匂いを発生させた。

ガーゴイルの悲鳴は拷問を受けているかのように悲痛な声色を含ませており、一見どちらが悪者なのかわからない。


ショコラミントは新しい小瓶に魔力残滓を回収すると、魔力探知出回りに逃げた小物がいないか確認してから、一度宿に戻ることにした。



親から電話がかかってきたら面倒くさいからと、葉月は部屋に帰ってすぐに母親にメッセージを送った。

無難にありきたりな、「図書館でちょうどいい資料があったから勉強がはかどった」といった内容だ。



「・・・ノラ、なんでいきなり・・・」


葉月は体に残る不快感をシャワーで洗い流すと、力なくベッドに体を預けた。


まもなく寝息が聞こえてくると、エルエルがそっと部屋に電気を消した。


「お疲れさまエル」


テーブルの上に置かれた真新しい小瓶の中の虹色が、少し濁った光を放ち揺らいだ。




満月の光に影を落とす、漆黒に身を包む少女が屋根の上で空を見上げている。


「お母さん、ごめんなさい」


少女の流した雫は、誰に見られることもなく静かにはるか下に向かって落ちていった。

~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日は魔法少女ショコラミントの戦い方について解説するエル!!


エルエルの相棒であるショコラミントは魔力で作られた糸を駆使して戦うエル!

彼女は戦いながら得たひらめきで様々な材質や効果を持つ糸を作り出しては日々戦闘に組み込んでいっているエル!

さすが賢いエルエルの相棒エル!

ショコラミントは糸以外にも攻撃の技を持っているエル!

触れるだけでガーゴイルの外皮を腐らせ致命傷を与える種を作り出す『腐食の種(クローズヘルベッティ)』エル!

でもこの魔法は彼女自身がいつの間にか使えるようになっていたと言っている通り、技のルーツが全くわからないエル!いつかわかる日が来るといいエルね~

最近はショコラミントも糸を罠や拘束以外にも使えるようになって、攻撃の幅がすっごく広がっているエル!


ショコラミントがどんどん強くなって、エルエルも鼻が高いエル~!

これからも二人で頑張っていくエル!!みんなもエルエルと一緒にショコラミントを応援してくれると嬉しいエル!

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