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張り付いた喉を、無理矢理動かしやっとの思いで出た声を震わせながら叔父へと向ける
『叔父様…何故ですか?お父様とお母様を何故…』
「旦那様と呼ぶように。今日からこの屋敷は私の物だ。お前は6年後に私の従順な妾となるのだ。その為に生かしておいてやろう」
『な、何を言っているのです……か?』
「なぁ、アンジェリカよ。不公平だとは思わんか?ジェイドは私の双子の兄だ。ほんの少し先に産まれただけで、同じ顔、同じ家に産まれ何故こうも違う?ジェイドは社交界1の美女を娶り侯爵家の跡取り、オマケにお前の様な美しい娘もいる。片や私は貧乏で特別美しくもない子爵令嬢の元へ婿入りだ。私に似ればまだ良かったものを妻に似た娘は、パッとしない。可笑しいだろう?だが、それも今日までだ。ずっと我慢してきたんだ。今からは私がこのハワード侯爵家の主だ。」
『だ、だからってこんな!何故、命を奪ったのですか!?同じ人間のする事ではないわ!!』
「何を言っておる。双子といえ別の人間なのだから同じ人間ではない。当たり前だろう」
『そうではなくて!人間のする事ではないと言っているのです!』
「アンジェリカ。お前は美しく聡明だと聞いていたんだがなぁ。なんと愚かな。人間だからこそだろう?妬み、嫉妬、嫉み。そうゆう感情があるからこそ人間なのだ。人間だからこそ、諍いや戦争等が起こるのであろう。可哀想になぁ。真綿で包まれて育ったお前は温室育ちの出来損ないだ。我が娘レミリアはその点、見目は良くないがとても人間らしいぞ。レミリアはなお前の事が心底嫌いなんだそうだ。」
叔父は、こんな人だっただろうか。
何か別の生き物に見えて仕方がない。