癌化した人工知能
「そういえば、さっきの風とか動植物が出す音だとかはどうやって出してるの?全部サンプリングしたの?」
「いや、そこはアンリアルの物理エンジンを借りたよ。あれよりリアルな物理エンジンは無いからね。」
アンリアルはプログラミング能力に秀でておりそれで大学への入学を許可されている。彼女は現在のところ使用者が彼女しかいない『CUP言語』を使いこなす。CUP言語は動作の軽さに反してソースコードは中学生が古事記の原文を訳す程解読が難しい。(考古学者と同じようなレベルに単語帳等無しで)AIでもCUP言語でのプログラミングは失敗したそうだ。そんなプログラミング言語で作られた物理エンジンの『RAC』は原子構造から再現し演算する。そのためRACの演算は現実をカメラで撮った映像にしか見えない。
「兎鯽はRACを使いこなせるの?あれってCUP言語がある程度理解して使えないと無理だとか聞いたけれども。」
「無理。CUP言語がさっぱり。だからオブジェクト生成はAIに任せた。といえひとつじゃ時間がかかってしょうがないから生成AIを作成するAIを作成するAIを作ったのけれど。」
その時突然部屋の照明が消える。
「停電かしら?」
「あーいや違う。生成AIを作成するAIがひとつ暴走したみたい。あー怒られちゃうかなぁ。早くしないとヤバそう。」
どんどんPCのドライブの容量が減っているのを見て兎鯽は焦っていた。