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「やっほー、静香!元気だった?」
梨央の明るい声に少しホッとしながら私は今日あったことを話した。
うんうん、と聞いていた梨央は付きまとい発言のくだりになると、無言になった。
「ー…ていうことがあってね、私はずっと付き合っているつもりだったんだけど、大澤君は違ったみたいなんだ。」
梨央に心配かけまいとわざと明るく言うと、梨央は、大澤君最低、と低い声で言った。
「大澤君は静香と一緒に1年過ごしたのに付きまとわれてると思ってたとかふざけてるよ!大澤君がそんなやつだったなんて…!!」
梨央が本気で怒っているのが伝わってくる。
「梨央、大澤君は私のことなんて何も興味なかったんだなって思ったの。大澤君は私が住んでる場所も会社も、何の仕事をしているのかも聞いてきたことなかったの。それってさ、大澤君にボーダー線引かれてたってことだよね…。」
「え…、大澤君、本当に何も知らないの?1年一緒にいたのに??」
私は苦笑しながら答える。
「うん…。だから大澤君に関わるのはもうやめようと思う。これ以上嫌われたくないし。大澤君の部屋に私物は置いてないから私から連絡しなければ関わることはないと思うんだ。それに、会社から大阪への転勤の打診がきてるし、心機一転しようかなって思ってる。」
大澤君の側にいたくてずっと辞退していたけど、もう辞退する理由はない。これを機に全部リセットしたい。
「静香…。静香がそう決めたなら私は応援するよ!私は京都にいるから静香と近くなって嬉しい!」
「私も梨央と近くなるの嬉しい!また引越し先とか決まったら連絡するね!…L○NEもアカウント作り直すから、また教えるね!」
梨央との電話を切った私は、課長に連絡し、大阪への転勤を受け入れることを伝えた。