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マネージャーはとても大変だった。試合の記録をとったり、ゼッケンを洗ったり、スポーツドリンクの準備をしたり…。


メンバーが1年から3年まで合わせて30人近くおり、一人一人と関わるため、名前を覚えるのも大変だった。


ある日、練習試合の後にタオルを渡していくとき、まだ1年生で入りたてだった私は名前を覚えきれておらず、誰にどのタオルを渡せばいいか困っていた。

そのとき私を助けてくれたのが同じ1年生だった春樹だった。


私の手からさっとタオルを取ると、部員にそれぞれのタオルを渡してくれた。

全員にタオルを渡し終えた春樹に、私がお礼を言うと、俺達マネージャーにたくさんお世話になってるからこれくらいさせて!と笑顔で頭をポンポンされた。


このときかな、私が春樹のことを好きになったのは…。



懐かしいな、家に帰ったらアルバムを見ようかな…。

あっという間に最寄り駅についた電車から降りると、私は家に向かって歩き出した。


駅から歩いて10分、1LDKで家賃8万円のアパートが私の城だ。

玄関で靴を脱ぎ、手を洗ってリビングに移動する。着替えるのが面倒で、そのままソファーにダイブする。私はSEをしていて、職場がオフィスカジュアルのためちょっとお洒落な私服で仕事をしている。


スーツじゃないから皺になるとか気にしなくていい。なんて楽なんだ。


私はソファーに横になりながら本棚に手を伸ばし、高校の卒業アルバムを手に取った。


部活動写真のページを見ると、少し幼い春樹と私を見つけた。この写真を撮ったときはまさか春樹と付き合えるなんて思ってなかったな…。


春樹が写る写真を指でなぞっていたら、先ほどの春樹のストーカー発言を思い出してしまった。


彼女づらされて迷惑してる。


ははっと乾いた笑いが部屋に響く。そういえば、春樹が私に好きって言ってくれたことなかったな…。

いつだって私からしか言ってなかった。


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