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どれくらい時間がたったのだろう…。
思考が停止していた私は携帯が震えたことでやっと動くことができた。
ポケットから携帯を取り出すと、メッセージアプリと通知が増えていた。送り主は…春樹だった。春樹のアイコン覚えてるからアプリを開かなくてもロック画面でわかってしまう。
あれ、これももしかして普通じゃないのかな…。
私は少し震える手でアプリを開き、メッセージを確認する。
ーー今日何時に家に来るの?俺ちょっと大学のサークルのやつと飲むから来る前に連絡ちょーだい!ーー
あ、さっきのはサークルの方たちだったんだ。
わたし、彼女じゃないのに家に行くのはいいの…か。もうよくわかんないや。
記念日?をお祝いするなんてできないし、なにより今日は会いたくない。少し、整理する時間がほしい。
ーーごめん、今日残業になりそうだから家に行くのはやめとくね。楽しんで!ーー
嘘をつくことに少し罪悪感があるものの、断りの返信をして駅に向かった。
改札内に入り、到着した電車に乗った。平日の夕方ということもあり、社内は空いていて座ることができた。
窓の外の景色を見ながら、春樹のことをいつから好きになったんだっけ…と考えていた。
春樹とは高校の部活で出会った。中学までバレーをしていた私は高校ではプレイヤーではなく、マネージャーをしようかと考えていた。
160センチという少し高めの身長で、中学時代はレギュラーになっていた。楽しいこともある反面、キツイことも多く、高校でもバレーをしたいと思えなかった。
どの部活に入ろうか悩んでいたとき、隣の席の藤川梨央に男子バレー部のマネージャーを一緒にやらないかと声をかけられた。
私は、梨央に誘ってもらったことがきっかけで男子バレー部のマネージャーになることにした。