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理由  作者: 詩音
1/7

始まり(1)

0:回想

仁愛:(М)もっと卑屈だったら、親友のともを傷つけずにすんだのかな。いや、卑屈になったから、刑務所の図書館員なんて、やってるのか。

仁愛:(М)私は、親友の彼氏の命を奪った。正当防衛が認められて、無罪になったけど。ここでは、たくさんの罪人に会える。でも、心が揺れる。本当に悪者なのかと。

仁愛:(М)紙一重……普通か異常かは。

義人:(М)なぜ、お前が卑屈にならなきゃいけないんだ。何も、悪くないんだよ。ただ、巻き込まれただけなんだ。

義人:(М)なぁ、仁愛にあ。俺の隣に、戻って来てくれよ。俺とお前で、ひとつなんだ。そりゃそうだ。俺たちは、双子だから。

義人:(М)でも、お前の拒絶で、感情が揺れる。なにが、違うんだ。いつも、一緒だったのに。なにが。

0:冬のある日。青沢刑務所前

義人:ここが、青沢あおさわ刑務所か。永納ながので、一番大きい刑務所。

義人:工場が併設されていて、職業訓練が出来る、国内で数少ない施設……だったかな。それにしても、寒いな。

義人:(М)俺……今井義人いまいよしとは、取材のために訪れたんだ。意外と、名の知れたジャーナリストで、恥ずかしながら、本を出版したことが何度か。

義人:(М)熱心な取材と丁寧に書かれた文章から、情景が浮かぶようで、心を締め付けられるようなリアルさがあると、高評価を頂いている。

四月朔日:ああ、どうも。よくぞ遠いところから

義人:……ああ!こちらこそ、すいません

四月朔日:初めまして。私、この刑務所の副所長を務めております。四月朔日わたぬきと申します。本日は、よろしくお願いします

義人:副所長……ですか

四月朔日:はい、私は副所長ですが

義人:いえ。こちらこそ、初めてですね。フリージャーナリストの今井と、言います。よろしくお願いします

四月朔日:あっ、すいません。只今所長は、長期出張に出ております。その為、私が代理を。所長自身、とても歓迎していたんですが

義人:そうでしたか。いえ、こちらも急なお願いをしましたので、ありがとうございます

四月朔日:ふふふ、お互い様ですね。では、ご案内します

0:青沢刑務所内の廊下

四月朔日:桃杏とうきょうは、まだ暖かいでしょう。もうこちらは、雪が降りそうになってきましたよ

義人:ええ、ここに着いた時に寒くて、びっくりしました……それにしても、綺麗。なんか思っていたよりも、開放感がありますね

義人:(М)格子がない窓から工場、医療刑務所、体育館が見え、整えられた設備が伺える。

四月朔日:職業訓練がありますので、模範囚が多いと思います。再犯率も低いですし

義人:そうなんですね!工場の方も見学してよろしいですか?

四月朔日:もちろん、ご案内します

義人:(М)灰色の作業服を着た囚人達が、命を燃やして罪を償っているのが、目に浮かぶが、きちんと確かめねば。

義人:(М)きっと、あいつも。

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