迷宮・探索者
迷宮:
魔脈の噴出口に自然発生的に現れる異次元構造物。大陸に千を超える数があり、人が管理しているのはそのうちの三割にも満たない。
地上に入り口があり、地下に降りていくが、外から穴を掘っても迷宮に繋がることはない。そのため、異次元とつながっているという説が有力。
魔脈の強さにより迷宮の大きさが決まり、四大迷宮は八百から千階層と言われている。一般的な迷宮は百〜三百階層程度。
最下層に“迷宮主”と呼ばれる存在がおり、迷宮を管理している。ダンジョンマスターは魔物型、人型、霊体型、機械型など様々だが、それぞれ感情を持っている。マスターはダンジョンと共に発生するケースと、召喚されるケースがある。
一般的に十階層ごとに“門番”、百階層ごとに“守護者”と呼ばれる存在がおり、それらを倒さないと先に進めない。
迷宮は石造りの回廊が続くものや洞窟型、またフィールド型と呼ばれるものもある。通路の広さは幅五メートル、高さ五メートルほどであることが多い。
魔物を倒すと“魔力結晶”と呼ばれる宝石をドロップする。また、稀に宝箱が現れ、硬貨や武器、防具、魔導具などのアイテムを得ることができる。
迷宮は通常の場合、放置しておいても階層が増えていくだけだが、マナヴェインの異常により魔物の発生数が迷宮の成長を上回ると魔物が溢れ出してくる。外に出た魔物は野生化するが、発生数が異常に多い場合は“魔物暴走”という災害となり、町や村を襲う。このため、新たな迷宮を探す専門部隊が国軍に存在する。また、迷宮発見者には謝礼が支払われる。
ダンジョン内には十階層ごとに転送魔法陣があり、一度行ったことがある階層であれば、再び入っても行くことができる。但し、行ける階層は個人ごとで決まっているため、パーティを組んでも行ったことがない階層に転送されることはない。
ダンジョン内には“安全地帯”と呼ばれる魔物が入れない場所が存在する。そこを利用し、数日間潜り続けることも可能。また、ダンジョンによってはセーフティエリアに店舗があるところもある。
迷宮は国王または領主の管理下に置かれ、各迷宮は迷宮管理局と呼ばれる組織が管理する。
迷宮は貨幣や貴重な物資を算出する一種の“鉱山”とみなされている。特に貨幣については、迷宮から産出されるものが大陸統一通貨として使用されている。また、300階層以上の深部から産出する武具は国軍に、薬品類は貴族や大商人ら富裕層に需要があり、適正な管理ができる国の出先機関である迷宮管理局が管理を行っている。
トーレス王国では探索者出身者が局長に就任することが多い。これは管理局が自由な気質のシーカーを管理することから、トラブルが頻発したためである。
グリーフ迷宮
トーレス王国にある1千階層の大迷宮。世界四大迷宮の一つ。階層を攻略しても終わりが見えないことから、“無限迷宮”とも呼ばれている。
現在、470階まで攻略されているが、ほとんど停滞している。
一階層の広さは一キロ四方にもなるため、ベテランになると数日にわたって迷宮に挑むことが多い。
十階層ごとに“門番”と呼ばれる小ボス、百階層ごとに“守護者”と呼ばれる中ボスが存在する。ウィスティアは迷宮主(=ラスボス)だが、901階層から1千階層までの管理者であり、それより上の階層には干渉できない。但し、迷宮管理者の権限で迷宮内を見ることはできた。
1~50階層:
草原型ダンジョンで、動物系の魔物が現れる。主な魔物は大ネズミ(ジャイアントラット)、角ウサギ(ホーンラビット)、大爪鳥、小型猪、野犬など。
51~100階層:
洞窟型ダンジョンで、人型の魔物ゴブリン、コボルトが出現。階層が下がるにつれ、ゴブリンとコボルトはウォーリア、アーチャー、メイジ、プリーストなどの職業持ちになり、オークも単体で出現する。100階層の守護者はゴブリンキングとコボルトキング。
101~150階層:
森林型ダンジョンで、動物系と昆虫系の魔物が出現。主な魔物は、狼系、猪系、熊系、虎系、蟻、蜘蛛、蟷螂など。
151~200階層:
洞窟型ダンジョンで、人型の魔物オークが出現。階層が下がるにつれ、ウォーリア、アーチャー、メイジ、プリーストなどの職業持ちになる。200階層の守護者はオークキング。
201~250階層:
迷宮型ダンジョンで、アンデッド系の魔物が出現。主な魔物はリビングデッド、スケルトン、グール、マミーなど。特殊な武器や魔法を使わないと倒せない。
251~300階層:
洞窟型ダンジョンで、ゴーレムが出現する。階層が下がるごとにストーン、ブロンズ、アイアン、スティールとなっていく。稀に金や銀の貴金属系のゴーレムやミスリルゴーレムも出現する。300階層の守護者はミスリルゴーレム。
301~350階層:
草原型ダンジョンで、大型の動物や鳥、昆虫系の魔物が出現。大牙虎、突撃象、黒豹、迷彩毒蛇、暴君大猿、バジリスク、殺人蟷螂、グレートバイソンなど。コカトリスとブラックコカトリス、サンダーバードが稀に出現する。
300階層の門番:310階:ダイビングイーグル、320階:タイラントエイプ、330階:バジリスク、340階:ウインドウルフ、350階:キラーマンティス
351~400階層:
洞窟型ダンジョンで、大型の人型の魔物が出現。主な魔物はオーガとトロール、ミノタウロス。階層が下がるにつれて数が増え、381階層以降は上位種がフィールドにも出現する。
ミノタウロスは上位種として戦士、拳士、剣闘士、騎士、勇者がいる。
オーガは上位種にウォーリアと君主、トロールは上位種に狂戦士と王がいる。
360階層の門番:360階:上位種+通常種3、370階:上位種2+通常種3、380階:上位種4、390階:ミノタウロス上位種4or最上位種1+上位種2、400階:ミノタウロスチャンピオン+上位種4
ミノタウロス:通常種は身長2.5mで斧を持つ。ウォーリアも斧を装備し、グラップラーはナックルを装備しており、身長は2.7m。グラディエーターは大型の剣と直径1.5mほどの丸盾を持ち、ナイトは全身鎧を装備しハルバードを持つ。身長はともに2.8m。チャンピオンは巨大な両刃の戦斧を持ち、身長は3m。
ドロップ品は以下の通り。
通常種・ウォーリアは肉5kgか戦斧。グラップラーは肉5kgかアダマンタイト製のナックル。グラディエーターは肉5kgかアダマンタイト製の剣。ナイトは肉5kgかミスリル製のハルバード。チャンピオンは肉10kgに稀にミスリル製の戦斧を落とす。チャンピオン以外は肉が通常ドロップ品、武器がレアドロップ品で、レアドロップは十階に一回程度と言われている。
変異種としてレベル550程度の帝王が存在するが、スタンピード以外では現れることはない。
401〜450階層:
迷宮型ダンジョンで、アンデッドと悪魔系の魔物が出現。アンデッドはゴースト、ヴァンパイアなど。悪魔系の魔物はデーモン、ナイトメア、サキュバスなど。特殊な武器や魔法を使わないと倒せない。
変異種として、レベル600程度のグレーターデーモン、吸血鬼君主、不死者の王が存在する。
451〜500階層:
草原型ダンジョンで、奇襲系の動物型魔物と大型人型魔物が出現。主な魔物はブラックコカトリス、サンダーバード、ジャイアント、サイクロプス。500階層の守護者はギガントグラップラー。
変異種として、レベル650程度のティターンセンチュリオン、レッドコカトリス、ブルーサンダーバードが存在する。
501〜550階層:
迷宮型ダンジョンで、特殊金属ゴーレムが出現。主な魔物はミスリルゴーレム、アダマンタイトゴーレム、オリハルコンゴーレム。魔法を無効化し、通常の武器もほぼ効かない。
変異種として、レベル700程度のケンタウロス型のゴーレムが存在する。
迷宮管理局:
迷宮を管理する国の機関。迷宮に潜る探索者を管轄下に置き、適正な教育や援助を行うことで、迷宮から産出される物資を安定的に供給できるようにしている。
主な業務は迷宮の出入管理である。迷宮の入口にゲートを設け、登録された者だけが入れるシステムとしている。
シーカーの等級管理も行い、専門の訓練所を持ち、若いシーカーたちの教育訓練も行っている。
迷宮の出入管理では持ち出される物資について厳正な管理が行われている。収納袋の貸し出しを行い、持ち出す物資はゲートですべて確認する。その際、税として貨幣の二十パーセント分が徴収され、更に物資については一度管理局で査定を行ってから現金化し、それに対して課税する。武具や魔導具などは持出者に買い取りの優先権が与えられるが、管理局に査定価格の二倍、販売価格での買い取りとなる。通常はオークションにかけられるため、査定価格の数倍になるので、シーカーにとってもメリットがある。
管理局事務所は迷宮の入口近くにあり、ゲートの管理を行っている。また、迷宮がその周辺はシーカー相手の武器屋や雑貨屋、酒場などがあり、商店街が形成されている。
管理局のトップは局長で、その下にゲートの管理を行う守備隊とシーカーたちが採取してきた物資を扱う事務所がある。
一般的な迷宮の場合、守備隊は守備隊長と三個の班で構成される。班は班長を含め、引退したシーカーや退役した兵士10名程度で構成される。また、シーカーを訓練する訓練所の教官も兼ねている。
事務所は事務所長がトップで、買取などを行う取引部門とシーカーの登録などを行う受付部門がある。取引部門は査定の他にオークションによる売却も行っている。査定は国定鑑定士が行っており、シーカーの苦情は一切受け付けない。
受付部門は迷宮に挑むシーカーの登録を行う部門であり、シーカーカードの発行や等級の変更などを行っている。
グリーフ迷宮管理局:
トーレス王国最大の迷宮を管理する部署であり、他の迷宮より大規模。
管理局長は大臣級の権限を持ち、グリーフ迷宮守備隊の指揮権も持つ。これは魔物暴走が発生した場合の規模が想定できないためで、王都の承認を待つことなく、鎮圧行為を行えるようにするためである。
守備隊は王国軍騎士団から常時一千名の兵士が駐屯し、そのうち一個大隊三百名が出動できるように待機している。
組織は局長を筆頭に次長一名、事務所長一名、管理官五名が上級職で、その下に百名の事務員がいる。
ゲートの管理所には管理官と守備隊の守衛十名、事務員五名がおり、シーカーたちの出入管理を二十四時間体制で行っている。入退域に必要な手続きを行う机が十列ほど並び、管理局の職員が出入管理を行い、守備隊の兵士が警備を行っている。
事務所は幅五十メートル、奥行き八十メートの二階建ての巨大な建物で、一階に登録や買い取りの受付があるが、建物の半分以上が買い取った物資の保管スペースとなっている。
管理局長室は事務所ではなく、城壁の門部分にある。これはスタンピードの時に指揮を執る必要があるためで、夜間は管理官が交代で待機し、二十四時間体制を採っている。
転送魔法陣はゲートから三十メートルほど奥にあり、直径三メートルほどの大きさ。一度に六人まで転送が可能で、五個設置されている。転送魔法陣に入ると透明なタッチパネルのような板が現れ、転送可能な階の数字が浮かぶ。行先階を入力すると自動的に転送される。
探索者
迷宮内で産出される物資を得ることで生計を立てる者たちの総称。
迷宮管理局により等級が定められ、それに従って入ることができる階層が決まっている。
等級は青銅、白銀、黄金、白金、魔銀、黒金の6等級があり、ブロンズは50階層、シルバーは100階層、ゴールドは200階層、プラチナは300階層、ミスリルは400階層、ブラックは制限なしとなっている。
これは人的資源の浪費を防ぐための処置。等級が定められる前は未帰還になる探索者が続出しており制限を付けた。しかしながら、この制限はあくまで自主規制であり、抜け道は多い。
等級はレベルによって決められる。
ブロンズ:〜50
シルバー:〜100
ゴールド:〜200
プラチナ:〜300
ミスリル:〜400
ブラック:401〜
管理局にはレベルを計る水晶型の魔導具があり、500までは計測が可能。
管理局に登録すると、等級に従った登録証が渡される。登録証は名刺サイズの金属製のカードで、それぞれの等級の色になっており、名前と所属する迷宮管理局が記載され、パーソナルカードと共に使うことで身分証としても使うことができる。
なお、等級名称の由来はそのレベルで得られる貨幣であり、ブロンズは銅貨が得られる程度の腕しかない“駆け出し”という意味がある。
シーカーは通常パーティを組んで迷宮に挑む。パーティの人数に制限はないが、迷宮ではパーティの人数によって出現する魔物の数が増減するため人数が多くても敵の数が多くなること、転送装置の一度に移動できる人数が6人であることから、6人パーティが一般的である。
シーカーになるための資格はないが、迷宮管理局の講習を受ける必要がある。そこで武術・魔法・支援のスキルを持った者にのみシーカーカードが支給される。これらの資格を持たない農村の若者などは迷宮管理局の訓練所で一定のスキルを得てから正式にシーカーとなれるが、これは経験の浅いシーカーの死亡率を下げるためである。
収入が安定しない若いシーカーのために管理局事務所に簡易宿泊所がある。宿泊費は一般の宿より格段に安く、ブロンズ級の若者の多くが利用する。
シーカーの一般的な評価は比較的高い。これは迷宮に挑むことで通常よりレベルを上げられるため、身体的な能力が高くなるためである。また、シルバー級になれば一般労働者以上の収入を得ることができるため、同世代の者より一般的には裕福であることもある。
ゴールド級以上は社会的な地位が高く、軍の士官や大商人と同列に扱われることが多い。
但し、まともな教育を受けていない者がほとんどであるため、貴族からは無頼の徒として軽蔑の対象となっている。
シーカーの男女比は6:4と軍に比べ女性の比率が高い。これは、前衛はともかく、後衛の魔術師や聖職者であれば、膂力に劣る女性でも充分に戦力になるため。特に魔術師は家を継がない女性がシーカーになるケースが多く、男女比は3:7に逆転する。
マナクリスタルの価格:
階層ごとで値段は変わる。レベル×(レベルの三桁目+1)となる。
レベル150の場合、150×(1+1)=300ソル
これから税金20%が引かれることになる。
ドロップ品の価格(買い取り):
鋼製:剣1万S、兜5千S、胸甲1万S
高品位鋼:剣5万S、戦斧3万S、メイス3万S
ミスリル製の剣:10万S、ミスリル製の戦斧:15万S
戦斧は需要が少ないため安くなるが、ミスリル製はミスリルの価値で高くなる。
ミスリルインゴット:二百グラム、1万S、白金貨十枚
オークキングの肉:十キロ、1千S、白金貨一枚
オークの肉:五キロ、百S、金貨一枚
オークウォーリアの肉:五キロ、2百S、金貨二枚
オークアーチャーの肉:五キロ、2百S、金貨二枚
オークプリーストの肉:五キロ、3百S、金貨三枚
オークプリーストの肉:五キロ、3百S、金貨三枚
ブラックコカトリスの肉:一キロ、3千S、白金貨三枚
コカトリスの肉:一キロ、1千S、白金貨一枚
サンダーバードの肉:一キロ、5千S、白金貨五枚
グレートバイソンの肉:五キロ、1千S、白金貨一枚
ミノタウロスの肉:五キロ、5百S、金貨五枚
ミノタウロスウォーリアの肉:五キロ、2千S、白金貨二枚
ミノタウロスグラップラーの肉:五キロ、2千S、白金貨二枚
ミノタウロスグラディエーターの肉:五キロ、3千S、白金貨三枚
ミノタウロスナイトの肉:五キロ、3千S、白金貨三枚
ミノタウロスチャンピオンの肉:十キロ、十万S、白金貨百枚
ドロップする貨幣:
レベル100未満:銅貨1〜3枚、101〜200:銀貨1〜3枚、201〜300:金貨1〜3、301〜400:金貨5枚、401〜500:白金貨1〜3枚
肉の値段はゴウたちが大量に調達する前のものです。
ラスボスグルメ完結時では、価格破壊が起きて暴落していると思います。