魔物・魔術・魔導具
魔物:
魔物は魔素によって生み出される存在である。魔素や魔力をエネルギー源としており、魔力が強い人族を襲う傾向が強い。極まれに知性を有したものもおり、意思疎通は可能だが、人とは異なる倫理観を持っていることが多いため、理解しあえることは少ない。
魔物はマナでできていると言われ、ダメージを受けて身体が維持できなくなると、魔力結晶を残して消滅する。武器を持つ魔物もいるが、武器もマナでできているため、通常は消えてしまうことが多い。但し、長く生きた魔物が持つ武器や防具は物質化していることがあり、本体が消滅しても残ることがある。
迷宮内では魔物を倒すと宝箱と呼ばれる箱が現れる。迷宮外の魔物は宝箱を落とさないため、迷宮が人を呼び込むための罠だと考えられている。
迷宮外にいる魔物は基本的にはマナ濃度の高い場所にいるが、数が増えすぎたり、魔力を感知したりすると、その場を離れる。その際、魔物以外で魔力を保有する存在である人族に向かうと言われている。
野生化した魔物の中には生態系に順応したものも存在する。マナヴェインから生み出された後、他の生物と交配して生み出されることがあり、ゴブリンやオークなどは迷宮以外では人族の女性から生み出されるものがほとんどである。
魔術:
魔術は火・風・水・土の元素系、神聖系、暗黒系、時空系、生活系、付与系の9つに分類される。
元素系は物理的な攻撃魔術が多い。神聖系は回復や浄化など神官が使う魔術が多い。暗黒系は精神や死霊系魔術が多い。時空系はアイテムボックスや転移などで使う者は極端に少ない。生活系はある程度の才能があれば使える簡単な魔術。
付与系は肉体に付与する魔術と物に付与する魔術に分かれる。肉体への付与はステータスを強化する強化系と異常状態に対する耐性向上や無効化を図る耐性系がある。物体への付与は錬金術と道具への付与に分かれ、付与は魔法陣を書き込むものがほとんど。
魔術はその名の通り、魔力を使った技術であり、才能がなくても使うことは可能。但し、非常に効率が悪いため、修得すること自体困難。但し、強化系については逆で、武術の鍛錬を通じた精神修養によって得られるため、通常の魔術師が習得しているケースは少ない。
生活魔術:
生活魔術には“灯火”、“清潔”、“造水”、“冷却”、“着火”、“加温”、“送風”、“乾燥”、“防虫”があり、少ない魔力で使えるため、一般人でも使える者が多い。また、魔導具に付与されることも多い。
魔術師:
魔術師は国に雇われている魔術師団に所属するか、民間の魔術師協会に登録されている。これは強力な飛び道具を持つ存在であるため、国が管理することを目的としている。
そのため、いずれにも所属していない魔術師は闇魔術師として取り締まりの対象となる。
魔術師の称号は、魔術師→導師→賢者となる。
一般的に国立の魔術学院で教育を受け、魔術師団や魔術師協会に所属する。身分が高い王族や上級貴族の場合、家庭教師をつけて教育することもあるが、魔術学院の学歴がないと侮られるため、学院に通うことがほとんどである。
強化系の魔法は戦士が使うことが多く、魔術師の登録は不要。習得も魔術学院ではなく、各流派で独自の方法を伝授する場合が多い。
魔術学院:
国によって教育制度が違うため一律ではないが、一般的には11歳から15歳までの5年間を初等教育、16歳から18歳までの3年間を高等教育と分けているところが多い。
初等教育では魔術の理論などの基礎を学び、高等教育では実践を学び、そのまま社会に出るイメージ。
魔導具・魔導機械:
魔導具・魔導機械は魔術によって動作する道具や機械を言う。魔法陣と魔力結晶を使って作り、エネルギー源として魔力結晶の魔力を使用する。
照明や調理器具などは比較的安価で手に入る。また、移動手段として騎獣ではなく、ゴーレムを用いることが一般的。ゴーレム馬車は金属製の馬型のゴーレムを使って荷車を引く。
他にも飛空船や飛空艇などの飛行機械も存在する。但し、飛行機械は風竜の魔力結晶が必要であるため、非常に高価であり、見ることは稀。
移動手段の特殊なものとしては、転移魔法陣がある。
収納袋:
時空魔法を使った空間収納の魔導具も存在する。容量は魔力結晶の大きさで決まる。時間停止機能やセキュリティはオプション扱い。なお、生き物も収納可能だが、亜空間に入ることから精神が耐えられず、ほとんどの場合は死亡する。生き残った場合でも精神が崩壊し、植物人間状態になる。生命体や魔物のうち、スライムやゴーレムなどの意思を持たないものは収納可能。価格は十万ソル(1千万円)から二百万ソル(2億円)。
最も安い物は幅五十センチほどの革製で、一立方メートル分(家庭用大型冷蔵庫2個分)の収納が可能。軍が使用する大型の物は開口部が直径三メートルほど。収納能力は三百立方メートル分(大型の四十フィートコンテナ五個分)で、購入には国に登録する必要。
魔導飛空船:
魔導機械の一種。旧式の物は水上船と同じような構造をしているが、流れ人が改造した飛行船のような葉巻型をした新型もある。
風魔術による“飛翔”で浮き上がり、火魔術と水魔術を使ったボイラによってタービンを回し、シャフトで繋がったプロペラを回すことで推進力を得ている。小型船ではボイラを使わず、風魔術の“送風”を使った推進を行うものもあるが、最大速度が20km/hと遅いため、軍用には用いられず、民生用にのみ使用されている。
通常の大きさは全長30mほどで最大乗客数は100人程度。最大の物は全長60メートルを超え、乗客300人以上になる。
速度は通常40km/hだが、高速船は60km/hだが、高速になるほど燃料となる魔力結晶を大量に使うため、経済速度の30km/h程度で運行することが多い。
航続距離は魔力結晶の積載量で決まるが、通常は八時間程度、二百五十キロメートルほどで着陸し、点検を行うことが多い。
グローリアス号:
トーレス王国の王室所有の飛空船。
全長50m、全幅10mの飛行船型の魔導飛空船。外装はミスリル合金製。最高速度60km/hと通常の魔導飛空船の40km/hを大きく凌駕する高速船。
側面にトーレス王国の紋章である白薔薇が描かれている。
船尾には直径三メートルを超える三枚の直列プロペラがあり、それによって推進力を得る。
乗員30名。固定武装はなく、十名の魔術師を銃座に相当する部分に配置している。
最大輸送人員は二百名。
魔銃(マジックアームズ:Magic-arms:魔術による武器):
筒状に銃身の中で魔力による膨張作用を利用して銃弾を打ち出す魔導具。通常は風属性の魔力結晶を加工したものを火薬の代わりとし、銅の銃弾を打ち出す。これは流れ人が鉛の有毒性を広めたためと、鉛の需要がなく、比較的高価だったためである。
ハンドガンがほとんどで、貴族や商人など戦闘技術を持たない者が護身用に持つことが多い。暗殺用のデリンジャータイプのものも存在する。
ハンドガンタイプのものでも殺傷力は弓に勝り、30メートル以内であれば鋼製のプレートメイルを貫通させることができる。初速は250m/s強。
欠点は単発銃であることから連射速度が遅いこと。先込めではないものの、銃弾と魔力結晶を所定の位置に装着しなければならず、熟練しても一分間に二発程度しか撃てない。このため、十八世紀頃の拳銃と同じく、一発撃った後は銃を捨て、剣で対応することがほとんどである。
また、特殊な加工が施された魔力結晶は非常に高価で、一発分の値段が白金貨一枚、一千ソル(日本円で約十万円)であることから、訓練も頻繁に行えない。
魔力結晶を用いない魔銃も存在するが、MP消費量が千を超え、レベル百の魔術師ですら一発撃てば魔力切れとなるほど効率が悪いため、ほとんど作られることはない。
転移魔法陣:
転移魔法陣は魔力結晶によって起動し、一瞬にして数百キロ移動することができる。但し、燃費は悪く、コストは飛空船の十倍以上になるため、国の機関が使う程度である。
グリーフ迷宮管理局にも設置されており、王都ブルートンに転移するコストは白金貨百枚(一千万円)ほどになる。
魔力結晶:
魔物の体内にある水晶のような結晶体。元素系(火・水・風・土)、神聖系、暗黒系、時空系の7種類の存在が確認されている。
魔力結晶には大きさによって込められている魔力が異なり、大きいものほど強力な魔力を有している。この魔力が魔導具や魔導機械の動力源となるが、属性によって用途が限定される。
大きさはレベル100までが直径1cm、200までが直径2cmとレベルが高くなるほど大きくなる。色は属性によって変わるが、複数の属性を持つ魔物の場合、最も強い属性の色となる。但し、属性は維持しており、複数の用途に使用できる。
魔力の量はレベルの3乗に比例する。仮にレベル400の魔力結晶が必要な場合、レベル100で代替するには64個必要となる。また、魔力の強さは10^(レベル/100)となる。
火属性は魔導コンロや暖房器具に、水属性は造水、水の浄化、冷凍に、風属性は魔導船や飛空艇などの動力に、土属性はゴーレムや城壁の強化などに使われることが多い。
神聖系はそのまま使うことは稀で、治癒や解毒などのポーションの原料とされる。
暗黒系は奴隷用の隷属の首輪などに使われる他には、毒や呪いなどのポーションの原料ともなるため、厳重な管理が求められている。
時空系は非常に希少で時計や収納袋に用いられることが多い。また、転移陣に使用されるため、高値で買い取りがされる。
魔力結晶は特殊な処理により属性を消すことができ、純粋な魔力タンクとして使うことも可能。
魔銃に関しては新作用です。設定が変わる可能性が大です。