表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある機人族の物語  作者: Duten
ハジメ、異世界に飛ばされる
7/99

とあるサポートアイテム

 そして、その巻物を広げると、とても興味深い内容が書かれていた。


 =============


 超電磁加速型対空兵器パルスアビュロン


 =============


 水色の文字でそう書かれていた。


 俺、絶対ヤバイ場所に入ったよな?

 しかも立体図と兵器の動く原理まで書かれてるし。


 あ、これ普通に読めてる。

 全く違和感を感じなかった。

 初めて見る文字なのに。

 

 というか、ここに有るスクロール、全部兵器の設計図か?

 それなら本当にヤバイ。

 やっとあのスキルの意味が分かった。

 『隠蔽』はいざという時兵器の情報を隠す為だ。

 文自体を消すか違う文に変える事ができるのだろう。

 しかもレベル10となると暴かれる心配も無いはずだ。

 そして『全言語理解』はこの文字を読む為だ。

 読める人が殆ど居なかったか、最初から読めなかったのだろう。


 ここが誰かに見つかるのは非常にマズイ事だ。

 俺が処分しよう。

 でも一体どうやって?

 破ってみるが、できない。

 この紙、頑丈過ぎる。

 少しこの部屋を調べるか。

 こんな物を持っていながら処分する方法が無いはずない。


 少しずつスクロールを退かしながら部屋の奥へ進むと、とある事に気付く。

 この部屋に机が八つ置いてある。

 四つは入口から右側に。

 もう四つは左側に。

 

 奥にまたドアが有る。

 あれがこの施設?の管理人の部屋ってことになるな。


 入ってみると、そこには特に何もなかった。

 机が一つだけだ。

 そして机の上に大量の資料みたいな物が有る。

 その資料は巻物と同じ素材で出来ており、綺麗に並べてあった。

 

 その内の一枚を取って読んでみる。


 =============


 三月五日


 何だ、この装置は!

 ベルトルトの奴が「この間、面白い物を見つけたんだ〜」と言って私に解析を押し付けたと思ったら、何なんだ!

 この装置が何の為に造られたのかすら分からん。

 プロテクトも強過ぎるし、起動条件も判明してない。

 一体何なのだこのデバイスは?

 もう私ではお手上げだ!



 =============


 何かヤバイ装置の解析が上手く行かなくて怒ってるのか。

 まあ、次を読もう。


 =============


 四月十五日


 何とかプロテクトを破る事に成功した。

 私の部下は優秀だのぉ。

 特に新入りのエルロー君。

 そして遂にアレが何の為に造られたのか判明したのだ!

 まさか異空間の創作、管理をする装置だったとはな!

 まあ、簡単に言うとだな、異空間収納だ!

 それだけなら普通に使われてるアイテムバックと変わらない。

 でもこのアイテムバックは何と、人体と融合するのだ!

 笑えるだろう?!

 人間どもはまた随分と面白い物を残しやがったな!


 =============


 これ、日記だよな。

 この人何でノートに書かないんだ?

 この紙束でも一つにまとめること位出来ただろうに。

 しかも人間が残した?

 意味が解らん。

 この人、人間じゃ無いの?

 まあ、続きを読もう。


 =============


 四月二十日


 あのアイテムバック、いや、石で出来てるからアイテムストーンか?

 兎に角、アレの起動条件が分からん!

 正確には分かるが数値が馬鹿げてる! 

 絶対何かの間違いだ!

 何なのだ、メカニック数値が十万以上とは!

 この『青』である私でも五万しか無いのだ!

 倍だぞ!倍!!

 レベルを上げても絶対に届かん数値だ!

 そんなのある訳が無い!

 この解析所の扉や魔法結晶石でもまだ発動条件がマシだわい!

 しかも、私達機人族以外使えないではないか!

 何の為にこんなのを造ったのだ!

 人間どもの考える事が理解出来ん。

 普通、こういう条件はあのジャッジメントやウラヌスに付ける物ではないのか?!

 馬鹿馬鹿しい。

 でもまだ半分も解析が終わってないから結論を出すのは早過ぎるかも知れん。

 まあ、良い。

 解析が終わるのを待つとしよう。


 =============

 

 メカニック数値?

 何それ?

 しかもジャッジメントやウラヌスって、随分と凄い名前の物が有るんだな。

 もしかして、パルスアビュロンの様な兵器か?

 あのクリスタル、魔法結晶石って呼ぶんだ。

 しかも発動条件まであるのか。

 何か普通にここに入れたんだけど。

 もう過ぎた事だし良っか。

 んじゃぁ、次。


 =============


 五月六日


 新たな解析結果がでた!

 何とこのアイテムストーン、魔法を収納できるのだ!

 これは数値上の可能性であって、必ずしもそうで有る訳は無い。

 私達の解析に間違いが無いと言い切れぬ。

 このアイテムストーンの事をベルトルトの奴に問い詰めたら、「人間の造った遺跡が有ったけど、扉の起動条件がヤバ過ぎたから無理矢理こじ開けて、中を探索していると見つかったよ〜。」と言っていた。

 相変わらず適当な奴だ。

 それと、その遺跡自体が面白いとも言っていたな。

 遺産以外に遺跡の何が面白いのやら。

 理解に苦しむ。

 

 =============


 遺跡ねぇ〜。

 そんなの有るんだ。

 しかもこの物言いだと人間がもう居ないみたいじゃないか。

 それとこの世界の魔法のこと知らないけど、魔法を収納できることは凄いのか?

 


 =============


 マズイ事になった。

 この施設があの忌々しい獣人どもに見つかった。

 でも最後の解析結果が出たからここに書き記そう。

 アイテムストーンは所有者のレベルに合わせて進化する。

 それだけだ。

 完全にサポートアイテムじゃないか!

 しかもアイテムバッグしか使えん。

 だが何か新しい能力が生まれるかも知れん。

 人間どもはこれが必要な時に必要な者の手に渡る為にあの様な起動条件にしたのだろう。

 もう直ぐここを出る。

 入り口にアイテムストーンと全く同じ起動条件を組み込んだから、獣人どもはここに入れないだろう。

 次にこれを読む者にこのアイテムストーンを託す。

 引き出しの中に置いてある。

 上手く使ってやれ。


           ルナルド皇国第三解析施設管理長ワイズマン・ルーラーより


 =============


 最後のだけには月日が書かれていない。


 ワイズマンの机の引き出しにスマホ位の大きさの石が有るのを確かめた。

 よく見ると、その石には扉や円盤に有る模様が刻まれていた。

 この模様に何の意味が?

 その石に触れると、扉や魔法結晶石とほぼ同じ現象が起きた。

 違うとすれば、それは線が三本じゃなくて一本だった事だ。


 ーーーーーーーーーーーーー


 サポートアイテムシリーズ№3:アイテムストーンが同期しました。


 ーーーーーーーーーーーーー


 その報告の後、アイテムストーンは俺の手に溶け込み、肩にはそれに有った模様の一部が浮かび上がった。


 うっわ。何これ?入れ墨?

 しかも白い。

 それと三つ目のサポートアイテムか。

 最低でも後二つは有るな。

 

 <<新たなデバイスの同期により『異空間収納』が使用可能になりました>>


 今度はスキルじゃないんだ。

 でも好都合だ。

 これであの兵器の設計図を持ち出せる。

 まあ、容量次第だがな。

 この紙、さっき試したけど破けなかったからな。

 だから細かく破いてどこかに捨てる事も出来ない。

 持ち出して燃やすか海に落とす位しか出来ない。

 でもせっかく持ち出せるんだ、一通り見てみても良い。


 だがその前に、日記の有った場所にまだ残っている資料を読んでみる。

 何か有益な情報が有るかも知れない。



 *****



 一通り読んでみたが、得た情報は少ない。

 一つはこの白い線はやっぱり流路て事だ。

 各デバイスはこの流路から来る情報を分析して資格が有るかを確かめる。

 まあ、偽装不可能な生体認証みたいな物だ。

 それと、あの扉も一種のデバイスらしい。


 それ以外有ったのはただの解析報告。

 主に兵器のだ。

  

 この資料はもう必要ないから早くスクロールの収納作業に入らなきゃ。

 でもこれ、どうやって使うんだ?

 まあ、適当にあそこに有るスクロールを収納してみよう。


 収納!


 収納しようとしたスクロールの下に空気圧縮装置と全く同じ円盤が現れた。

 そしてその円盤の中の穴に落ちたら円盤は縮んで消えた。


 おお!これは凄いぞ!

 思ったものをアイテムストーンが収納してくれる!

 これ、一気に収納できないか?

 

 そう思って、全てのスクロールへ収納を念じてみる。


 だが何も起こらない。


 まさかこの量を一つ一つやるのか?

 せめて一つの場所に固定してそこに投げ込めば楽なのに。


 ヴォン


 そう考えると、一つの机の上に結構大きい円盤が現れた。


 これで楽になったな。


 *****


 無事全てのスクロールを収納できた。

 しかもまだ容量は結構余裕が有る位だ。


 その後、直ぐに出口へ向かった。


 うわぁ。もう夜だ。

 流石にもうどこにも行けないな。

 危ないし。

 ここで寝るしかないか。


 結晶石の間へ戻った。


 あれ?あそこに階段が有る。

 

 見つけたのは魔法結晶石の後ろに有る階段だ。

 しかも二つ有る。

 

 もしかしてただ気付いていなかっただけか?

 まあ、別にどうでも良いけど。


 先ず黄色の魔法結晶石の後ろに有る階段を降りた。

 そして出たのは魔法結晶石の下に有る空間だ。

 あの魔法結晶石、こんな所へ生えてたんだな。


 周りを見渡すと、そこにはドアが五つ有った。


 その内の一つに入ると、個室に出た。

 ベッドも有り、鏡も有り、灯も有り、シャワーも有る。

 最高の部屋だ。


 その後他の四つの扉も確かめても同じ個室だった。


 まあ、ここにワイズマン達が住んでいたかも知れないし、個室位普通か。


 因みに、もう一つの階段の先は全く同じだった。


 眠くなったから、適当な部屋へ入って直ぐに寝た。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ