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とある機人族の物語  作者: Duten
ハジメ、異世界に飛ばされる
6/99

遺跡

 俺の視線の先には明らかに人工的に作られたトンネルが有った。


 ううん〜。

 悩む。

 そのトンネルに行くのは危険かも知れない。

 でも気になる。

 

 そう悩んでいた時、後ろから何かが近ずく音がした。

 

 「グルルーーー」


 振り向くと、森の奥に五匹の狼の姿を確認した。

 その狼の姿は全身緑で、普通の狼より少しデカい位だ。

 でも今の俺には絶対勝てない。

 即座にそう感じた。


 ヤバイ!

 アレは無理!

 早く逃げないと見つかる!

 そうなったら今の俺じゃあ手も足も出ない!

 逃げ切る事すら出来ないかも知れない!


 その判断は正しかった。

 でも遅過ぎた。

 レッグズを起動して逃げ始めた瞬間、狼達は俺に気付いたのか、一斉に俺へ向かって走り出した。


 やっぱり『瞬発力』が有っても逃げ切れない!

 追い付かれる!

 あのトンネルに逃げ込むしかないか!

 人間が作ったのなら、武器になりそう物でも有るはず!

 無くても『空気操作』で入口を塞げば良いだけ!

 それで諦めて帰ってもらうのを待とう。

 トンネルの方に向かって逃げたのは正解だったか。


 でももしバリアが破られたりでもしたら確実に死ぬな。

 この方法にかけるしかないか。


 そう考えながら、俺は全力で走り続けていた。

 狼の方はどんどん距離を詰めてくる。

 トンネルの入口まで後五百メートルもない。

 『瞬発力』が有る俺ならこれ位の距離はどうって事ない。


 「行けるな」


 そう確信した。


 だが、そこで一匹の狼が速度を上げてきた。


 おいおい?!もっと速くなるのかよ!!


 ヤバイ!


 トンネルに着く前に追い付かれる!

 というかもう追い付きやがった!

 コイツ、噛み付こうとしてる!


 防がなきゃ!


 「『空気操作』!」


 そう叫ぶと、後ろにほぼ見えない空気の壁が現れて、狼がそれに激突して気絶した。


 やった!


 この壁の耐久力が結構凄いと分かったし、狼も一匹倒せた。

 このままトンネルに付けば大丈夫だ。


 狼の中の一匹は仲間が倒された所を見て仇を打とうと思ったのか、加速し始めた。


 馬鹿が、仲間が倒されたのを見てなかったのか?

 お前も同じように倒してやる!


 俺は図に乗り始めていた。


 そして、その狼が近ずくと、またバリアを作って其奴を倒そうとした。

 が。




 その狼はそのバリアを避けた。




 は?


 お前も俺の攻撃を避けるのか?


 やっぱこの世界の魔物の知性が高過ぎる。

 それとも単に戦闘慣れしてやがるのか?


 でもコイツマヌケだなぁ。


 避けた事には驚いたけど、普通その後、俺に向かってジャンプする?


 そう、狼はただ俺に向かって跳んだのだ。

 避ける事の出来ない空中へ。


 そして、新たに作ったバリアに激突した。


 「残りは三匹かぁ。でももうトンネルへ着いた」


 しかも予想通り俺の直ぐ背後まで来てる。


 トンネルに逃げ込んでバリアを作れば避けられない。


 倒せる。


 そう確信してトンネルへ逃げ込んだ後、直ぐバリアを張った。

 

 「「「キャアアン!」」」


 直後、三つの悲鳴が鳴ったのを確認したら、バリアを解いて狼の状態を確かめに行った。


 これ、どうしよう。

 殺すか?

 起きたらまた面倒だし。

 でも俺、殺す手段無いし。

 あ、有るか。

 『空気操作』で窒息死させれば良いんだ。

 でもいざとなると結構怖いもんだなぁ。

 でもごめん。


 「こっちも必死なんだ」

 

 そう語りかけた後、狼の周りの空気を抜いた。

 狼は苦しみ始めたが、少し経つと静かに鳴った。



 *****


 

 全ての狼の始末が終わると、レベルが二回上がった。

 つまり今の俺はレベル3だ。

 特に変わったのがステータスだけで、スキルには一切変化がない。

 まあ、大体こうだ。


 ーーーーーーーーーーーーー


 名前:カイキハジメ Lv3

  種族:機人族

  性別:男

 年齢:16

 MP:70/70

 SP:2

 平均筋力:80

 平均防御力:70

 魔法適性:70

 スキル:恐怖耐性Lv3 空気圧縮Lv1 空気操作Lv1 空気放出Lv2 思考加速Lv1 飛行Lv1 メカナイズLv1

 機械化部位:脳Lv1 足Lv1

 称号:『落下王』


 ーーーーーーーーーーーーー


 もう一度見ると平均筋力が結構上がったな。

 他は20しか上がってないけど。


 ステータスの確認を終えると、俺は最初の目的地であるトンネルに近ずいた。


 このトンネルの入口高いな。

 俺は結構高身長だ。

 百八十センチは等に超えてるだろう。

 その俺でもこのトンネルが大きいと感じる。

 軽く五メートルは有るかもな。

 何の為にこんなに高くしたのだろう?

 巨人でも通す為か?

 まあ、良いや。


 それよりも気になるのは、このトンネル、いや、通路に灯が有るって事だ。

 何故’通路’と言い直したのかはこの通路の奥に扉が有るからだ。

 この灯は両サイドの壁に組み込まれていて、一つの線の様に扉の方に並んでいる。


 扉に近ずくと、それはまた大きくて重そうな、綺麗な模様が入ってる黒い扉だった。


 あれ?この模様どこかで...

 あ、これ空気圧縮装置に有った模様だ。

 でも何故こんな扉に?

 まあ、開けて見たら分かるかもな。


 「それでこの扉、一体どうやって開けるか?くそ重たそうだし」


 そう言いながら手で扉に触れると、急に両手に三つずつ白色の光る線が走って扉へと移った。

 扉へ移った白い線はそこに有った模様をに流れ、白と黒の絶妙なバランスを持つ綺麗な扉へと変わり、奥へ開いた。


 「凄い」


 扉の奥に有った光景を見てそれしか言えなかった。


 そこには天井から生える二つの大きなクリスタルの姿が有ったのだ。

 左側には黄色に光っているクリスタルが、右側には灰色の奇妙な輝きを持った結晶が有った。

 二つとも大きな円形の穴へ向かって生えていて、そのクリスタルへ近ずく為の台が各クリスタルの所に有った。

 そして、その奥にはもう一つの扉が見えた。


 このクリスタルめっちゃ綺麗。

 触りてぇ。

 あそこに台も有るし、近くで観察してみよっか。

 危険も無さそうだし。


 そうやって黄色の輝きを放つ結晶へと近ずいて触れると、いきなりあの水色で半透明な画面が現れた。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 スキル情報のダウンロードを開始します。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 キュイーーーーーーン


 またあの機械音だ。

 それよりスキル情報?

 何でクリスタルを触ったらスキルの情報をダウンロードするだよ?


 まさか、このクリスタル、スキルを習得する為のものか!?

 

 ーーーーーーーーーーーーー


 スキル情報のダウンロードが終わりました。


 内容:スキル『全言語理解』


 ーーーーーーーーーーーーー


 <<スキル『全言語理解』を習得しました>>


 いきなり何なのこのスキル!?

 全言語理解?

 じゃあ、もう一つのクリスタルには何が入ってるんだよ!?


 急いで灰色のクリスタルの所に行って触れると、前回同様画面が現れた。


 ーーーーーーーーーーーーー


 スキル情報のダウンロードを開始します。


 ーーーーーーーーーーーーー


 キュイーーーーーーン


 ゴクリ


 ーーーーーーーーーーーーー


 スキル情報のダウンロードが終わりました。


 内容:スキル『隠蔽Lv10』


 ーーーーーーーーーーーーー


 <<スキル『隠蔽Lv10』を習得しました>>


 『隠蔽』?しかもレベル10?

 俺、とんでもない所に入ったんじゃね?


 直後、奥に有った扉が開いた音がした。

 そこに顔を向けると、やはり通路が有った。

 

 もしかして、このクリスタルに触れる事が扉の開く条件だったのか?


 そう考えながらも、その通路へ向かっていた。

 

 通路に着くと、そこは前の通路と全く同じだった。

 両サイドに灯が有り、奥には黒い扉が有る。


 通路を通ってると、何か嫌な感じがした。

 特に通路に変わった点はない。

 でも何故かそう感じた。


 扉の前に着くと、前回と同じく、扉に触れる。

 そしたら、また両手に三つずつの、計六つの光る白い線が伸びる。

 そして扉の模様を辿って扉を開ける。


 良く観ると、この線、首筋の方から来てるな。

 一体どう成ってるのだろう?

 これで奥へ進めるな。


 その部屋へ一歩入ると直ぐに面白いものを見つけた。


 巻物だ。

 大量に有る水色の巻物だ。

 量が多すぎて部屋の入口にも結構落ちている。

 足下に有った一つを取ると、その巻物の巣材がステータスや色々な情報がでるあの’画面’に似てると分かった。

 

 そして、その巻物を広げると、とても興味深い内容が書かれていた。


 

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