新たなスキル
「『メカナイズ』起動。レッグズ」
俺は無意識にそう言った。
ギュイーーーーン
直後、足に水色の光る線が流れる。
ズボンは前回同様取り込まれ、半透明の青く太い線の下に歯車が浮かび上がる。
ガキン!
ガタガタガタガタガタ
歯車が回り出す。
そして数秒後、問題無く地面に着地する。
ガシュッ
ガタガタガタガタガタガタガタガタ
歯車がより一層回転をます。
「ふうぅーー。逃げ切れた」
頭を上に向けると、そこにはゴブリンが悔しそうに叫んでいた。
俺、彼処から飛び降りたんだなぁ。
衝撃も無いし、足が吸収したのか?
歯車が高速回転してる。
無理をしたのだろう。
「でも何故『メカナイズ』を使ったのだろう?」
いや、答えはすでに出てる。
前にも何度か同じ事があった。
例えば、ステータ画面の時だ。
今出してみよう。
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名前:カイキハジメ Lv1
種族:機人族
性別:男
年齢:16
MP:50/50
SP:2
平均筋力:30
平均防御力:50
魔法適性:50
スキル:恐怖耐性Lv3 空気圧縮Lv1 空気操作Lv1 空気放出Lv2 思考加速Lv1 飛行Lv1 メカナイズLv1
機械化部位:脳Lv1 足Lv1
称号:『落下王』
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ちゃんと出たな。
今俺は意識してステータスを見た。
でも、一番最初はステータスがいきなり現れた。
そう、知りもしない物を意識して出すことは出来ない。
勿論まだ不可思議な点は残っている。
次は『思考加速』の時だ。
しかも二回だ。
一回目は着地直前いきなり発動した。
勿論スキルの使い方を知らない俺には使えない。
2回目はさっきゴブリンが斬りかかった時だ。
スキルを使えたとしても俺はあの時それどころではなかった。
ここまで来れば馬鹿でも分かる。
そう、俺の能力を操作できる何者かが居る。
まあ、今の俺にはその人物を特定する手段は無いから、しばらく頼らせてもらうけどな。
それよりも今は今後の事を考えないとだな。
この世界に魔物がいる事が分かった。
つまり、元の世界へ帰る手段を探すとなると、戦闘が避けられない状況になる可能性は高い。
さっきゴブリン相手に負傷した。
あいつらがこの世界でそこまで強くは見えない。
これからどの様な奴に出くわすか分からない。
戦闘手段と逃走手段を身に付けないといけない。
そして、今一番頼れそうなのがスキルだ。
さっステータスを観たときにSPがまだ残っていた。
スキルをいくつか習得できるな。
という訳で、スキルリスト!
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スキルリスト:
スタンダード:
思考加速Lv2
演算処理Lv1
瞬発力Lv1
機動力Lv1
ユニーク:
空気圧縮Lv3
空気放出Lv2
空気操作Lv2
飛行Lv2
マジック:
空属性魔法Lv1
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ああ、そういえば何か称号貰ったっけ。
そこから習得したスキルがなんか変だけど。
いや、称号自体変だったな。
確か『落下王』だっけ。
でも『空気操作』は使えそうだな。
どれ位空気を操作出来るかに限るが。
まあ、この中から選ぶとしたら、やっぱり『瞬発力』と『機動力』だな。
『瞬発力』で逃げ足も速くなりそうだし、『機動力』で攻撃を回避しやすくなる。
でも、実の所、このスキルが何処まで有効か分からないんだよなぁ。
前使ったスキルは全て協力だったからこれにも期待出来るけど。
まあ、迷っても仕方ないか。
どうせ他の選択肢など無いからな。
って事で、『瞬発力』と『機動力』を習得!
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瞬発力Lv1
機動力Lv1
を習得します。
消費SP:2
よろしいですか?
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イエス!
<<スキル『瞬発力Lv1』を習得しました>>
<<スキル『機動力Lv1』を習得しました>>
よし!習得したな。
じゃあ試そう。
まずは一回全力で走ってみるか。
実際、背中は結構痛い。
でも走る分には問題無いだろう。
そう考えながら、走る体制を取った。
そして、全速力で前へ走った。
ほう、これは凄いな!
スピードが三倍、いや、四倍位に跳ね上がってる。
どうやらこれはパッシブスキルの様だ。
これでゴブリン位なら余裕で逃げ切れそうだな。
機動力は後で試すか。
流石に今は試せない。
それ程の機動力が必要な地形じゃないからな。
敵もいないし。
あ、今思ったんだけど、頭痛が引いてる。
全然気付かなかった。
少なくともキノコを食べ始めた時にはもう無かったな。
それだけ腹が減ってたんだな。
まあ、良いや。
それよりも、次は『空気操作』だ。
先ず、どれだけの物か知りたい。
適当に頭の周りの空気を抜いてみる。
呼吸が出来ない。
成功だ。
使える事が判明したし、これは活用できるな。
敵を窒息死させる事が出来るな。
能力もバレる可能性が低いし。
どれだけの範囲まで有効かは今は試せないな。
後は実践有るのみ!
これで少なくとも『空気放出』で毎回吹き飛ぶ事は無いだろう。
後、空気を抜く事が出来るなら、『空気圧縮』の様に固めてバリアに出来るかも。
試すか。
適当に空気が固まるイメージをすると、目の前に四角い空気の壁が現れた。
しかも、どこがバリアの終わりかはっきり見える。
でも耐久力は分からない。
また実戦で試すしか無いのか。
何か喉乾いてきたなぁ。
あ、そういえばまだ水源確保してなかったな。
んじゃぁ、探しに行くか。
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数時間後
全然見つからねぇ。
今思うと、此処、浮遊島だったな。
水なんて無いかも知れない。
参ったなぁ。
疲れながらも森の中を進んでいた。
そうしたら、水が流れる音がした。
川だ。
「水!」
直ぐに全力で走り出した。
『瞬発力』があったお陰で早く辿り着けた。
そして、直ぐに顔を水面に付けその水を飲み始めた。
「ぷはぁー!生き返るぅーー!」
満足した表情でそう叫んだ。
「? あれ、何だろう?」
ふと疑問に思う。
俺の視線の先には明らかに人工的に作られたトンネルが有った。