落下
ヒューーーーーーー
「う〜ん。どうするか」
俺は今悩んでいる。
この状況をどうするか。
ヒューーーーーーー
俺は今落ちてる。
何処からって?
勿論空だ。
それ以外に落ちる場所なんて無いでしょ。
で、もう大体五分も落ち続けてるんだが、終わりが見えない。
下には何も無い。
遠くに雲が見える位だ。
しかも距離は分からない。
横を見渡しても何も無い。
どうしてこの非日常的な状況でここまで落ち着いてるかって?
それも分からない。
まあ、兎に角どうしてこうなったのかを少し思い出してみよう。
**********
ピピピピ、ピピピピ
ピピピピ、ピピピピ
「ん〜、後五ふん...」
ピピピピ、ピピピピ
ピピピピ、ピピピピ
ガチャ
「ん?...8時....... ! 8時!ヤッバ、寝坊した!!!」
俺の名前は改機はじめ。
ごく普通の高校1年生だ。
いや、今日から高一だ。
そして高校初日で遅刻しそうだ。
ヤバイ。
初日で遅刻は俺にとってほぼ最悪の状況に近い。
まだ学校も始まっていないのに、第一印象が悪くなる。
変なレッテルだけは貼られたくない。
それだけは嫌だ。
幸い、学校は8時半からだ。
そして学校は歩いて大体30分の距離にある。
走ればギリ間に合うかも知れない。
そこは努力次第だ。
という訳で俺は大急ぎで着替えて一階に飛び出す。
「母さん!何で起こしてくれなかったの?!」
「あらあら〜 私は起こしに行ったわよ、でもね、はじめちゃんが起きてくれないのが悪いのよ」
母さんは「うふふ〜」としながらキッチンに立っていた。
母さんは美人だ。今年でもう三十八の筈なのにどう見ても20代前半にしか見えない。
父さんはもうとっくに仕事に出てるだろう。
だが今はそんなどうでも良いことを考えてる余裕なんて無い。
急がなきゃ。
「まあ、兎に角、今は何か食べる物をちょうだい。もう学校へ行かなきゃいけないんだよ」
「はーい、じゃあ、これ、サンドイッチ〜」
母さんがさっき作ったサンドイッチを渡すと、俺は直ぐに玄関へと走った。
母さんの作る料理はとても美味しい。
聞いた話だと昔はドイツでレストランをやっていたらしい。
そう、僕の母さんはドイツ人なのだ。
何故レストランを辞めて日本へ来たのだろう。
よし。靴を吐き終えた。
急ごう。
「行ってくるね!」と言って、俺は学校へと全速力で走って行った。
あ、鞄忘れた。
急いで戻って鞄を取ると、また全速力で学校へ向かった。
*****
学校までの道のりは険しい。
それは大体この駅前の広場のせいだ。
いつも人が多くて混んでいて、抜けるのに時間が掛かる。
でも今日は急がないといけないんだよねぇ。
頑張って走って行くか。
次々と人の間を抜けて行く。
もう大体半分は進んだ。
後少しだ。
あっちはダメだな。
お!こっちには人が少ない。少し短縮できるな。
キュッキュと靴で音を出しながら広場をほぼ抜け終わると、嫌な事が起きた。
予想は出来た。
こうなるって。
でも成っては欲しくなかった。
無茶はするもんじゃないな。
トッ
「あっ」
誰かの靴に足を引っ掛けて俺は盛大に転んだ。
でも、直ぐに異変に気ずいた。
物凄い風が吹き始めたのだ。
目を開けると、空から落ちていた。
「あああああああぁぁぁぁぁぁ!」
物凄い恐怖と共にその大空を落ちていった。
**********
で、今に至ると。
しかも鞄落としたし。
一緒に落ちてない。
なんて一日だ。
でも何で空から落ちてるかは未だに謎か。
どうしよう。
「うわっ!何か出た!!」
深くこの状況の対策を考えてると、何かが現れた。