ありがとう
頑張り過ぎていませんか?
後ろで鳴り響いた爆発音
驚いて振り向くと、全身真っ黒な形容しがたい生き物がそこにおりました。
いえ、生き物ですらないのかもしれません。化け物の方がしっくりきます。
赤黒く濁った目らしきものが
ギョロギョロ動いており私たちを見渡してるように感じます
あっちこっちで泣きわめいている声が聞こえます
そんな中何故か私自身の心がむしろいつもより落ち着いているのを感じました。
「なんで、笑ってるの?」
隣の子が私に話しかけてきました。
自分自身に驚きます。
私、この状況で笑ってる……?
自分の顔をペたべた触りましたが、自分では分かりませんでした。
「あぁ、そっか。もういいんだ。」
しかし、自分が笑っている理由に気づいてしまいました。
私は立ち上がりその愛おしきものに近づきます。
化け物は私に気が付き、私を傷つけようとたくさんの棘がついた触手を伸ばします。
私はそれを避けることはせず頬が傷つけられました。
次は腕、足とどんどん傷つけられます。
その痛みがどんどん快感に変わります。
しかし、何故かこの化け物は私に致命傷を与えようとしません。
「はやく、はやく私を殺して」
近づきながら化け物に言います
化け物に耳があるかは分かりませんが、確かに聞き取ったみたいでした。あからさまに動揺しています。
このチャンスを、この希望を私は絶対に逃したくありませんでした。
右手を化け物へ差し出します
化け物はその右手に触手を絡ませ
私を引っ張り大きな口らしきところまで私を運びます。
「ありがとう」
一瞬化け物の動きが止まりましたが、その子はきちんと私を丸のみしてくれました。