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キボウ  作者: ヤシダ
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誰かの心に届きますように

これは私の願いであり、祈りであり、懺悔です。

息を吸うのも辛く感じていました


自分の殻にこもってる間は辛くなく

無敵に思えて

それでも何故かとても寂しい気持ちになります


本を読むのが好きで、

自分のスペース以外を本で埋めて

必死に現実から目をそらしていました


本を日に当てるのが嫌で

閉じっぱなしのカーテン

薄暗い部屋が一番私を落ち着かせてくれる場所でした。


ずっとここで眠っていたいと何度も何度も願っていました。










「ママー!ママは私となっちゃんどっちの方が好きー?」


台所で立っている母親に抱きつき

私は最近1番気になっていたことを訪ねます


「どっちも大好きだよ」


くすくすと笑い母親は応えました。


私自身が1番ではないことに寂しさと

幼いながら、私を1番にできないことには納得してたのだと思います

さっきより強く抱きついて

「えー」とか言いながらも我慢しなきゃと必死に自分の気持ちを堪えていました。


この頃は家族仲はとても良かったと記憶しております。


私はおままごとや可愛いものが好きな女の子らしい1面もありましたが、

ごろごろするのが好きだったり

幼稚園への忘れ物が多かったり

女の子としてはだらしなくどうしようもない子だったと思います


いつからか母親と父親の喧嘩する姿を見かけるようになり


私が小学三年生の時、母親と父親は離婚しました。


朝起きたら母親が家から消えて

しかし、私は実感もないまま現状報告を近所に住んでる同級生の子にしました。


少し大きくなってから

「何でもなさそうな笑顔で、ママがいなくなった」って話してたことを今でも覚えてる


と彼女が話していたことは未だに忘れられません

その時私がどんな顔していたのか

どんな気持ちでいたのか

私自身あまり覚えていないのに


小学四年生になって

父親が再婚する事になります


義理の母親の第一印象は

優しそうな人でした


彼女と再婚してから

家のルールが様変わりしました


お小遣いは、役に立った分だけ上がる

大皿に盛られてたオカズは

個別のおさらに分けられる

各自自分で皿洗いというルール

少しずつ家に増えていくアンティークな小物


家の変化を悲しく思いながらも

受け入れていました。



新しく来た妹が私のことを毛嫌いしてたのは知っていますし

私もお姉ちゃんとして接する気も構う気もありませんでした。


私は前の母親の時も妹を持つ身でありながら

妹の面倒を見るということをしなかったのです


そんな私に義理の母親はお姉ちゃんなんだから

という言葉を使い

妹の面倒を見るいいお姉ちゃんに育てようとします


それでも私は彼女の求めるいいお姉ちゃんになることは出来ませんでした


そうしていつの間にか

義妹のやったことは全部私が面倒をみないせいになります


義妹に買い与えるものと私達に買い与えられるものもどんどん差が出てきます


妹が私の大切にしているおもちゃを盗み出します


そういう状況の中

近所の友達と遊ぶ際、義妹を省きはじめます


彼女を入れるとお姉ちゃんとして面倒を見なきゃいけなくなったり、私の悪口を友達に話すから嫌だったのです


その頃には2歳離れた実の妹も自分の首を絞める動作をよくやっていたことを記憶しています


ある日それが父親にバレてしまいました


父親は私と妹を蹴りました。


私たちはひたすら父親に謝り続けました。


「ごめんなさい」「もうしません」



何度も何度も謝って、もう何が何だかわからなくなっていました。


私は父親の顔を伺おうと顔を上げました。

その時気づいたのです


目の前には私と妹を守るように氷の壁があることに。

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