010【ZO-!N∀S】
システムデータ修復中
“街”データ修復中
“住人”データ修復中
再構築します
……
再開用プログラム
……
名称不明
名称不明
名称不明
データが存在しません
システム起動できません
修復完了
……
データが存在しません
EMERGENCY
010【ZO-!N∀S】
……これは街の名だ。ちなみに発音するなら「サニー・オズ」となる。
この街ではすべてが上下逆さまなのだ。人々は天井を歩き、地に電灯をつける。重力は残念ながら反転していないが、身につける衣服、特に靴は強力な磁力を帯びているため『天井に落下』することはない。
常に宙吊りにされている気分で、長時間いると頭に血が上り具合が悪くなる。
特殊すぎる暮らし故に観光名所となっており、観光客慣れしている住人は優しく、客用の休憩スペース(天地が正常になっているゴンドラのようなもの)が各所に置かれているため利用しよう。
ちなみに宿泊施設は無いに等しい。
街というよりはテーマパーク感覚だな。上下逆さまで飲食してみろ、スープとか飲めないぞ! という、お遊びをする場である。
滞在期間は一日を超えることが出来ない。そもそもの規則だ。
朝八時頃から街に入ることが出来、夜九時には外に出る……遊園地だな。
住人は不自由なく暮らしているみたいだが。
慣れとは恐ろしいものなんだな……。
ああ、最も目を引くものを紹介し忘れていた。この街では基本が屋内での活動になるが、どの家からでも、そして屋外に出れば必ず目に入るものがある。『空』だ。
住人が空と呼ぶ、この星の中心まで届いているのではないかという、黒く巨大な大穴だ。
街の立地を話していないな。
この街は、巨大な大穴に蓋をする形で存在している。蓋の内側に張り付いて生活しているのだ。
もちろん地面(天井)を作り安全性はある程度確保されているが、観光客用の休憩スペースであるゴンドラの下に床がなく、足元が大穴、というふざけた場所もある。
自殺者も多い。
……上下逆さま以外の文化は蓋の上と同じなので、そちらで紹介しよう。
正直そちらに滞在した期間の方が長い。
――――――――――――――――
『歩めども』
『歩めども』
『果ては後を追い』
『終わりは迫る』
――――――――――――――――