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鬼神の子で魔王の弟子の旅物語  作者: よしくん
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次なる町を目指して



海賊と対決すべく海面に座って待っていたのだが、来ない。かれこれ4日になってしまった。体を動かしたり、ストレッチをして暇を潰す尊。普通こんな事をしたら集中が途切れて水の中に落っこちてしまうのだが、武技の天才ならではである。しかし、いくら尊とて寝る事まではかなわず徹夜となっている。


 「ん~流石に眠いな~・・・・・・流石海賊タイミング悪いよね~。」


 尊がここぞとばかりに苦笑いをし、こちらに向かってくる海賊船を発見した。木製の大きな船で、髑髏マークの旗が威圧感を放っている。流石に海面に座っていたのでは目立つので海の中に潜った。

 しばらく待っていると海賊船が徐々にスピードを落としながら丁度村の真上に停止するのだろう。となると、止まる前に船を壊してしまおうかと尊は考えた。本当は船に乗り込んで海賊とドンパチしたかったのだが、眠いので手っ取り早く決着をつける事にした。


 そこからの尊の行動は早かった。鬼神の力を文字道り解放し、船底に掌底を叩き込んだ。木の砕ける音と、爆発音を響かせながら船を真っ二つにした。


 「ま~、人魚なら海に落ちても死なないだろ。」


 陸までかなり距離があるのに人間の海賊はどうなるのだろうか。尊にそれを言ったところで、陸まで泳げない奴が悪い!と切り捨てそうだが。


 船を破壊した後に、魚のような下半身と日に焼けた肌、片手にはカトラスを持った野蛮な人魚が海の中で目を白黒させていた。そんな隙だらけの人魚を手早く捕まえて、海中に引きずり込む尊。人魚の土俵だろうが力で捻じ伏せるのだから恐ろしい力だ。


 一直線で村へと向かう尊の泳ぐ速度に、人魚の海賊も恐怖し歯を食いしばていた。

 村に到着すると、村人達が凍り付いていた。すぐに村長たちがやってきて村長の家に招かれた。そこでの話は、村長たちに凄く感謝された。お礼をしたいと言われたので安宿なら1週間くらい泊まれる宿代が貰えた。今度人魚たがひっそり暮らす国へと招待したいと言われたので、行きたくなったらこの村に来るとだけ言って村を出た。


 その後尊は海面に浮上し、陸地を目指し宙を駆けだした。


 「あ~、能力解放後はなんだか体が重いよ」


 ため息をつきながら自分の肩をもむ。恐ろしい速度で陸地へと向かって進む奴が言っているのだから嫌味なものだ。




 しばらくすると、港へと到着した。そこで一人の漁師に空から降ってくるところを見られてしまった。地上10メートルくらいの高さから着地する物だから、忍足という隠密系の武技を使って降りたのが裏目に出てしまった。しばらくは、お前は天使なのか?だとかいや、かおからして悪魔か?とか騒ぎだす漁師だったので、とりあえず一杯奢るからと酒場に誘って事なきを得た。

 漁師のおっさんを酒で酔い潰してさっさと宿へ向かう尊だった。上々の逃げ方だとう。適当に安宿をとってベッドにもぐりこみ久しぶりに睡眠をとることができた。明日はどのような楽しい事があるのかと期待しながら深い眠りへと落ちていった。



 

 目が覚めると昨日の疲れが嘘のように抜けていた。かなり効率の良い睡眠がとれた。窓の外を見ると、海が太陽の日差しを反射してきらめいていた。なんとなく、時間がゆっくり流れていると思ってしまうほど、穏やかな昼下がりだった。

 前日は、夜に帰って明かりもつけずに寝てしまったので、部屋をよく見る事は無かったが、改めて確認すると、ベッドと机だけが置いてある質素な部屋だ。朝食付きらしいのだが・・・・・・もう時間外だ。

 窓を空けると心地良い風と海の香がする。まー海の匂いはしばらく嗅ぎたくないのだが。



 町に出ると小さな屋台がいくつかあり海産物を焼く良い香りがする。お腹が空いてしまう。ポケットを探ると、人魚村で貰ったお金を確認すると、飯くらいは食べられそうだ。海産物を焼いたものを屋台で買い食べながら町町を見て歩いた。


 「随分平和そうな町だな~。」


 穏やかで居心地が良いところだ。しかし、尊にとっては少し物足りないところという印象だったようだ。再び屋台に立ち寄り、動物の肉を串に刺した物を注文する。屋台で串を焼くおっさんは、ねじり鉢巻きが良く似合っていた。


 「おっちゃん、この町は海賊とか出ないの?」


 「ん?あぁ、兄ちゃんこの町は初めてか。この町には強ぇ海軍がいるから海賊共は近づけねえよ」


 「へぇ~、それは凄いね!会ってみたいな」


 「ほれ、串焼き1本!海軍は今海賊狩りで忙しいからな。会うのは難しいだろうな。」


 「そっか、残念。ありがとう」


 お礼を言い串焼きを受け取って屋台を後にした。屋台のおっさんとの会話で、尊はもうこの町を出ようと考えていた。その理由は、この町には冒険者ギルドが無い事だった。この町は和の国との貿易で重要な拠点だ。強力な海軍が派遣されていて凄く平和だ。冒険者はたちまち食いっぱぐれてしまう。


 そう決めてから尊の行動は早かった。大した手荷物も無いので、とりあえず町を出た。そこまでお腹はふくれなかった。少し口寂しかったので串焼きを咥えたまま、街道を歩いた。空歩で高速移動しても良かったのだが、それは旅なのかと疑問に思ってしまうのでゆっくり歩くことにした。


 

 一人で街道を歩いていく。きっとこの道はどこかの町に繋がっているのだろう。自分の知らない未知の町に。そんな事を思うとワクワクして思わず笑顔がこぼれる。


 しばらく歩いていると、分かれ道がやってきた。道なりに行くなら右だ。舗装された、馬車が通れるような道。対して左の道はどうみても森につながっている。森のようなあまり人がいない場所には大抵モンスターがうろついてる。普通は安全な海道を行くのだが尊は何の迷いもなく森の方へ向かった。

 尊が森を選んだ理由は簡単だ。お腹が空いた、森なら食べる物があるだろ。という凄く野性的なものだった。


 舗装されておらず、あまり人が通っていないのか、少し歩きにくい道だった。とは言ってもゴツゴツした岩だらけの島に比べたら快適な道だ。


 「オークとか出てきてくれないかな~。」


 オークは豚の顔をして、分厚い脂肪に覆われ、短い足で二足歩行するモンスターだ。動きは鈍いが、脂肪や分厚い表皮のせいで手を焼くモンスターだ。ちなみに焼いて食べると美味い。


 

 森に入ると、薄暗く若干ひんやりした空気に変わった。すると入って5分足らずにゴブリンに出くわした。ゴブリンは表皮に大きな耳や鼻を持つ小柄なモンスターだ。個々の力は弱いが、群れでいる事が多く厄介なモンスターだ。

 そんなゴブリンを見て尊は至極残念そうな顔をしていた。勿論ゴブリンの肉は不味い・・・・・・不味すぎて食えない。いくら尊でも食べたくないレベルだ。

 5,6匹のゴブリンをまるで居ないかのように歩く。ゴブリンの方は尊に気づき威嚇している。それでも煩そうに顔を歪めているが、足を止める気配はない。怒ったゴブリンは大声で喚きながら尊に向かって行く。最初に二匹のゴブリンが尊に飛びかかる。しかし、尊はハエでも追い払うかのような手の動きでまとめて吹き飛ばした。その2匹は木に叩きつけられ絶命していた。

 後に続いた3匹は一瞬ひるんだが尊を囲むように動いた。3匹同時に尊の首をかみ砕こうと飛びかかる。すると尊は3匹とも1回転しながら放った裏拳で吹き飛ばした。


 たったの2手で5匹のゴブリンを仕留めてしまった。


 「出でよオーク」 


 そんな事を言いながら獣道を歩いていく


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