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お弁当


 レンが通っている家政学校の生徒の約九割は女子だ。

 授業は男女別であり、昼食時間くらいしか一緒にならない。

 そして昼食時は仲の良い者同士が集まり、教室や中庭でおしゃべりを楽しみながら過ごす。

 入学して三ヶ月。

 レンは二人の友達と中庭で弁当を広げていた。


「うっわぁ。レンのお弁当って何か変わってるけど、いつもすごいね」

 膝の上に置いた小ぶりの長方形の箱を覗き込み、感心したような声を上げる友達にレンは「ん~うん」とちょっと曖昧に頷いた。

 弁当は毎日悠馬の手作りだ。そしてその弁当は毎回箱に入れられている。

 最初『はい。お昼』と手渡された時、この箱は何か意味があるのかと考えたが、どうやら悠馬の国の弁当は箱に入れて持ち歩くもののようだった。

 紙や布で包んで持ち歩く物というこの国の風習とは違い、箱の中は彩り良く、具をはさんだパンや冷めても美味しいおかずが詰められている。

 一度余ったパンがあれば十分だと伝えた事はあるのだが。

『育つ年月だから、ちゃんと食べないとだめだよ』と、パン一つ、は却下された。

(ユーマもお昼同じの食べてるって言ってたけど、毎日面倒じゃないのかな?)

 ん~と悩んでいたら、後ろからやってきた男子生徒に「もーらい」と、おかずを一つ食べられてしまった。

「あ! もう、なんでディガスいっつも勝手に食べるのよ!」

 箱入りの弁当は取りやすいのか、よくおかずを取られるのが難点だった。


***


 悠馬はその頃、店番をしながら自分の分の弁当を食べ、夕飯と明日の弁当にまわせるおかずを考えていた。

 献立に悩む世の主婦(夫)の気持ちがとても良く分かる男、ユーマ・ソシュー(本名:本多悠馬)二十一歳。

 異世界に来てもうすぐ二度目の夏を迎える。



初出 2011.07.12

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