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ほわほわの心  作者: 嶋倉
8/10

突然

「…へ?」

千咲は状況がよく飲み込めないでいた。

「私のことが…好き?」

「…はい」

志磨ははにかみながら続ける。

「最初は、隣人としての好意でした でも なんだかんだで一緒にいるうちに惹かれていって…美香と別れたのもこのためなんです 僕は、千咲さんを好きになってしまったから… もめましたけど、結局は了解してくれました」

肌寒い風がびゅうっと吹く。

千咲の頬に一筋の涙が伝った。

「ち、千咲さん!?嫌でしたか!?」

「…っち、違います…その…」


「嬉しく…て」


千咲が志磨に抱いていた感情。それは、恋心だったのだ。

(なんで今まで気づかなかったんだろう?)

気づいてしまえば簡単だった。千咲は志磨のことを好きだったのだ。それもわからなかった自分が少し腹立たしかった。

「私も、志磨さんのことが…好きです」

吹く風は勢いを増して砂埃を起こす。だが、二人ともそんなことは気にしなかった。

志磨はそれまでのはにかんだ表情から満面の笑顔になる。

「よかった!じゃあ、付き合うってことですね?」

「よ、よろしくお願いします…」

急に恥ずかしくなってきた千咲に、志磨が言葉をかける。

「付き合って早々なんですが、ひとつお願いを聞いてもらえませんか?」

「…はい、なんでしょう?」

千咲がそう答えると、志磨は今まで3mほどあった二人の距離を一気に縮めた。

そして、



千咲の首に手をかけ、ぎりぎりと締め出した。



(…!?)

咄嗟に志磨の手を掴むが、叶うはずもない。



「志磨、さ…何を…」

「お願いを聞いてください、って言ったでしょ?」

志磨は満面の笑みでこう答える。



「僕、いや僕たちのために死んでください、千咲さん」


風はぴたりと止み、代わりに強い雨が降りだした。


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