いつもの生活
初投稿です!
色々至らない点がありますが、もしよろしければアドバイス、感想などなど宜しくお願いします!
「ここはフォルセウル、貴方にはここで勇者として戦ってもらいます♡」
「…え?勇者…?」
「はいっ」
にっこりとした可愛い笑顔のまま姫様は告げた。
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ここは海の近くにある、街と言っては静かな、田舎と言っては産業が盛んな場所、そこで僕は普段と変わらず生活していた。
今日もいつも通り学校に通っていた…
「おはよう!」
僕の名前は森紫苑
「おっ、シオン!おはよっ」
で、こいつは桜木誠也。僕の一番の親友だ。
「待ってよ〜シオ〜ン…っ」
で、この子は乙奈志春香。まぁ…幼なじみってとこかな。
小さい頃からよくこの3人で遊んでいる。
「ん?どしたの春香?」
「も〜…どしたの?じゃないでしょ〜。ずっと待ってたのにー…」
息を切らしながら春香はむすっとして言った。
「え?あぁ、ごめんごめん」
「なんで先に行っちゃうかなぁ」
「だって気づかなかったんだもん…」
「気づきなさいよっ!」
怒鳴りながら手刀を仕掛けて来た、
「!うわっと?!」
ギリギリ避ける、と、その様子を見ていた誠也が、
「おいおい、朝から夫婦喧嘩してんじゃねーよ笑」
と言うと、春香が顔を真っ赤にしてさらに声を荒げて言った。
「な…ななっ!何言ってんのよ!誠也?!」
うんうん、と誠也の言葉に頷いていると|(別に夫婦と言う所を認めた訳じゃない)、
「アンタも頷いてんじゃないわよっ!」
また手刀が飛んできた、よし、今度は華麗によけ…
「ぐはっ!」
余計な事を考えていたから避けれなかった…
その様子をニヤニヤしながら眺めている誠也は「じゃぁな、お二人さんっ♪」と言って学校に入って行った。
「あ、おい待てよ誠也っ」
置いてかれるとこの手刀ばかり仕掛けてくる少女にめった打ちにされそうなので急いで誠也を追いかけて学校に入った。
「こらっ、逃げるなシオーーーン!」
叫びながら走ってくる春香は未だに顔が赤かった。
そんなに赤くなる事ないのに、と思いながらも誠也と一緒に教室へ向かうのだった。
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キ〜ン、コ〜ン カ〜ン、コ〜ン
退屈な授業の終わりを告げる鐘が鳴ると先生も生徒も一斉に片付けを始めた、先生…そんなに退屈だったのか…と思うくらいに先生の片付けが早かった。
そして放課後、僕と誠也と春香は一緒に下校していた。
「ねーねー、今日はアイス食べて帰らない?」
と、楽しそうに話しかけてくる春香、
「アイスねぇ……今日は遠慮しとくかな」
今日は少し寒い、食べる気がしない…このコは寒くないのか、と思いながら答えた。
「俺も遠慮しとくわ」
苦笑しながら誠也が答えた、と同時に僕にアイコンタクトをしてきた、なるほど、誠也も同じ考えか。
「え〜…食べよ〜よ〜、アイス〜」
「だって今日寒いもん…」
「運動すればいいじゃん」
「やだ」
「むっ…」
そんなに睨まないで、睨み殺されそうだから…
誠也に助けを求めてみた、
「さぁて、俺はちょっと用事あるし早めに帰るわ」
あ、無視してしかも逃げやがった、
「あ、そうなの?じゃぁ仕方ないね…」
おいおい春香、それは絶対にウソだと思う…ていうか止めろよ…
「おぅ、それじゃなー」
そそくさと帰っていく誠也を見送ると春香がこっちを向いてにっこりスマイルしてきた、これは…なんかヤバい…
どう逃げようかとあれこれ思考を巡らせていると、
「ねー、シオン」
「ん?何?」
ガシっ
突如掴まれる腕、なんだこの握力、腕が痺れてきた…
「さっ、アイス食べにいこっ?」
「え…だから今日は遠慮するって…」
「アイス」
「だから今日は…」
「行こ」
「…はい」
押し切られてしまった…これじゃもう逃げれない…
仕方ないのでアイスを買いに行こうとすると、僕の携帯が鳴り始めた。
「ん?誰だろ……あ、衣真からだ」
「…」
この衣真というのは僕の妹である、妹から電話がくることなんかあまりないので少々驚いた、まぁそこまでたいした話じゃないだろうと思いながら電話に出た。
「もしもし?どした?」
春香に掴まれた腕を解いてもらいながら聞く。
「お兄ちゃん、お願いがあるんだけど、ちょっとアイス買って来てくれない?」
「?アイス?なんで?」
「いいからいいから、お願いね?」
「ん、了解」
プチっ
「妹さんもアイス食べたがってるみたいだし、早く買いに行こ?」
満面の笑み…うん、逃げれないな。まぁ妹にも頼まれたし、いっか。
「私はぁ…チョコがいいな♪」
「そっか、う〜んと…衣真は何が好きだっけなぁ…」
「ちょっとぉ、そっか、じゃないよぉ、買ってよー」
「え?なんで奢んないといけないの?」
「それはやっぱさぁ、男だしぃ…健気な女の子がお願いしてるんだよ?」
「いや、健気ってのはどうかと…」
「何?」
「いや、何も…」
うん、この時点でもう健気さが無い。
「実はさぁ、今日家に財布忘れちゃったんだよね☆」
てへっ☆、じゃねーよ…
「……そーゆーことデスカ…」
普通忘れて来るのか?学校の購買で何も買わないのか、この子は。
「わかったよ、今回は奢るよ」
「わ〜い♪ありがとっ☆」
今度埋め合わせをして欲しいな……そんな考えを読み取ったのか春香が言った、
「あ、そうだ。シオンてもう少ししたら誕生日だよね?何か欲しいものある?」
「ん…?」
あ、そうか。もうすぐ僕の誕生日か、すっかり忘れてた。
いつも誕生日が来ると4人で祝っている。親はというと、父親は海外に赴任していて、母親の方はいつも仕事から帰って来るのが遅いのであまり一緒に祝えないのだ。まぁ、妹は誕生日は家族全員揃って祝いたいらしいが、それもできないので代わり…と言ってはアレだが、誠也と春香が一緒に祝ってくれるのだ。僕は親がいなくてもそこまで気にしないが、友達と祝えるのは凄く嬉しい。もちろん僕だけじゃなく、誠也の誕生日も春香の誕生日も衣真の誕生日も皆で祝っている。
「う〜ん、特にないかな。皆で祝ってもらえればそれでプレゼントになるよ」
「えぇ〜…つまんないなぁ」
とか言いながら照れ隠しで僕をたたくのはやめて欲しい…
アイスを買った後、僕はすぐ家に帰った。春香は「もう少し居ようよ〜」と腕を引っ張って来たが僕もそんなに暇じゃない、今日はたくさん宿題がでたんだ。春香は成績優秀だからそこまで苦に思ってないらしい、羨ましい。
「ただいま〜」
「おかえり、お兄ちゃんっ」
「アイス、買ってきたぞ」
「わ〜、ありがとうっ!」
アイスが入った袋を持って台所へ直行、「早く冷やさないと溶けちゃう」とかいいながらせっせと冷凍庫にアイスを入れている。
で、残った一本を袋から出し食べ始めた。そんなに食いたかったのか…
夜、なんとか宿題を終えたのでベッドにうつぶせになるとドッと疲れが全身に…。
「なんか疲れたなぁ…早めに寝るか。」
そう言って眠りについた。
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闇の中で一人の少女が立っていた。その少女は全身を白い布の要な物で覆っていて、一瞬孤児のように見えそうだ。だが、布には汚れ一つ無い。真っ暗な闇の中で少女は呟いた。
「もうすぐ、もうすぐ…この国を守る勇者が召還できる…」
そして少女はさらに小さい声で呟いた
「助けて、シオン君…」