七時間目:自分の加護
隣の教室は、真ん中に一つだけ椅子型の機械が置いてあった。
「ではぁ、順番にこの椅子にすわってくださいねぇ」
誰も、怪しい機械に近寄ろうとはしないかと思いきや、案外皆簡単に機械で検査を受けている。俺だけ能力を検査しない訳にもいかないので、椅子に座る。
座ると、電極を体中に計八つ貼り付けられる。
隣では小村先生が、小型のデータ端末みたいなのをのぞいて、ときおりしきりにうなずいている。
そして、俺の体中につけた電極をぱつっぱつっと取っていく。正直、なぜこんなので能力の正体が分かるのかは、甚だ疑問だが、俺に機械の詳しい事はわからない。
「検査結果がでましたよぉ」
俺の電極を全て外してから、小村先生は言った。
「君の能力はぁ、破壊神の加護を受けた、能力発動時に強大な攻撃力を得るかわりに、防御力がゼロに等しくなる力の増幅系能力ですねぇ」
なるほど、ってか、能力発動時防御力ゼロって、超諸刃の剣能力じゃねえか!でも、攻撃は最大の防御って言うし、なにより、攻撃力はある。大丈夫だろ、多分。
というか戦うことになんてなるのか?
そんなことを考えながら、右手を握ったり開いたりしていたら、いつの間にか全員の検査が終わったのか、小村先生は手を一回叩くと、言った。
「では、能力以外の注意を行いますので、もう一度教室に戻ってもらいますねぇ」
☆ ★
教室に戻り全員が席に着いたタイミングを見計らい、小村先生は口を開いた。
「それではぁ、順番が逆になりましたがぁ、当学園で過ごすことについてのぉ、注意事項を説明しますねぇ」
言われてみて、確かに、学園における生活について説明されて無いことに気付き、自分も緊張してたの
か、とひそかに思う。
「まずぅ、君たちにはぁ、当学園寮の一般人立ち入り禁止エリアにて生活してもらいますぅ。部屋割り表はぁ、後で配りますねぇ。
寮についての詳しい事はぁ、寮監さんにきいてくだぁい。次にぃ、学園の設備についてですがぁ、設備は使う時に逐一説明しますのでぇ、今は言いません~。
最後にですが、君たちにはぁ、学園で、君達の実験代としてぇ、月に少しだけぇ、お金が支給されまぁす。このお金はぁ、自動的にデータ化もされておりますのでぇ、これから配る生徒手帳のIDで学園内の支払いは全て済ますことができまぁす。残金はぁ、自室のスキャナで確認してくださぁい。もう、君達の口座にはぁ、前金としてぇ、いくらか振り込まれているはずなのでぇ、また後で確認しておいてくださぁい」
小村先生はそう言うと、どこから取り出したのか、生徒手帳を配り始めた。俺も受け取り、観察してみる。
本当だ、裏に黒っぽい何かがついてる。これがIDなんだろう。無駄に凄い。




