八時間目:班の構成員……みんな中二病だったよ
鈴の服は、ニットの白いワンピースみたいなのを上に着て、スパッツを下にはいている。いくらもう暖かくなってきたとはいえ、夜はまだ冷えるからな。
が、俺は騙されない。昼、鈴は下着同然の格好をしていた。
で、
「翼は消せないのか?」
「これ? なんかね、消せないのよ、自分の意思で。でも、背中に直接生えてるわけじゃないから、服とかは不便しない」
といって、後ろを向いて生え際を見せてもらった。…確かに、五センチくらい浮いてるな。
あと、鈴は教室で猫被るのもやめたっぽい。
まあ、今は些細(?)な事はどうでも良いので、スルーしつつ議題を提示してみた。
「よし、みんな揃ったし、早速チーム名考えようぜ?」
びしっ、と指先まで伸ばして表護が言う。
「はいどうぞ」
「トイレ行ってきます」
「油断してた! 完全に油断してたよ今! まさか一日に同じネタを二回も使ってくるとは思ってなかった! しかし却下」
「こんなんどうや? 僕の加護神エロスから性欲、狩麻くんで破壊、鈴ちゃんで悪魔。合体させて『性欲の破壊魔』」
「変態じゃないか! その上なんか壊してるよ! もう手に終えないレベルの変態さんだよ!」
そのチーム名は地雷すぎる。
今度挙手したのは鈴。
「『黒い翼』!」
「名前の由来が純度百パーセントで鈴なので却下」
この班俺含め中二病しかいねえな……。
むぅ、とうなりながら頬を膨らませる鈴。子供みたいだな、と思いつつ、自分の意見も述べてみた。
「こんなのはどうだ? 『灼銀の巨人』」
「「却下」」
なんで? いいと思うんだけどな…。
じゃあ、と仕切りなおして、表護と鈴を交互に見る。
「『破壊魔の愛』」もちろん表護。
「「却下」」
「『灼銀の黒』」鈴。
「パクった! しかも全く何色か見当がつかない!」
「『悪魔の愛を破壊する者達』」表護。
「悪魔に殺されるわ!」
「『黒』」鈴。
「絶対ボケるの面倒くなったろ。一文字だけじゃん! もはや何のチームか分からないよ!」
「『神魔狩りたち』」鈴
「みんなその候補やで、鈴ちゃん?」
「おぉ、表護が正論を言ってる!」
「『諸刃の剣』」俺。
「それ僕入ってないやん。狩麻くんと鈴ちゃんだけやん」
「『神魔の剣』」鈴。
「それ僕入ってないやん。以下同文!」
「決まらないな。全然。二人とも、自分がなにかしら班名の由来になってたらそれでいいんだろ?」
鈴と表護が頷いたのを確認し、新しい案を出してみる。
「じゃあ、二人とも、自分の特徴を一言で言い表してくれ」
「炎」
自分の髪の毛の赤い部分をつまみながら表護。
「翼」
自分の背中を指しながら、鈴。
「破壊」
俺の事だ。破壊神の神をとっただけだけど。




