四時間目:班の構成員……。
でもまだ、白髪悪魔女子が悪い奴とは限らない。そうだ、ポジティブシンキングだ俺。
「全班発表しましたねぇ? ではぁ、席を班ごとに変えますぅ。廊下側の前から順番になりますのでぇ、ちゃっちゃっと並び替えてくださいねぇ?」
俺は、廊下側一番後ろの席に陣取っていたので、前に移動する。
一番前の席は、部分赤毛に取られていたので、二番目に座る。
で、白髪悪魔女子は、俺の後ろ。今更ながら、二番目に座ったことを後悔する。だって怖いし。後ろに悪魔系だぜ?
「全員移動しましたねぇ? ではぁ、班名を三人で考えてくださぁい。別にぃ、無くても構いませんが
ぁ、班名がぁ、一斑二班とかだとぉ、面白くありませんからねぇ? それではぁ、今から少し時間を取りますねぇ?」
可愛らしい白の腕時計を見ながら言う小村先生。
小村先生が、言葉を切るのと同時に、前の席の部分赤毛が勢いよく振り向いた。
「なぁなぁ、君、真李先生にやたらつっこんどった人やろ?…あぁ、自己紹介まだやったな。僕はぁ、佐々木表護言うんや。漢字は、こう書く」
と言い、部分赤毛こと表護は、紙に字を書いて教えてくれる。ふむ、こう書くのか。
てか、同じ班の男子がいい奴そうでよかった。
「あぁ、俺の名前は琴香狩麻だ。よろしく」
「狩麻くんかぁ、よろしく」
そこから、表護は急に声を落として小声になり、手を口のはたに当てて言う。
「……なぁ、狩麻くん? この特殊科、可愛い娘多いと思えへん?」
「はぁ? 何を言い出すかと思えば!」
と、表護は驚愕に目を見開き、自分の体を抱きながら、俺から体を離す。
「……狩麻くん、男にしか興味ない人……?」
「違ぇ!」
「……じゃあ、女体フュギィアしか愛されへん人?」
「何でそうなる断じて違ぇ!」
「…え?」
「何で聞き返された俺変なこと言った?」
一息で言い切る。
「冗談やんか。いやぁ、狩麻くんほんまおもろいなぁ。僕と漫才コンビ組まへん? もちろん君突っ込みで」
「断固組まない絶対に!」
「え~、残念やなぁ、ほんま」
本当に名残惜しそうな顔をする表護。感情がくるくる変わって面白いな、こいつ。なんか凄く仲良くなれる気がする。
「で」
「で?」
聞き返してみるが、表護の見ている方向から、何が「で」なのかは分かる。後ろの白髪女子のことだろう。
アイコンタクトを取る。
「「じゃんけんポン」」
…負けた。小躍りするなうぜぇ。
しぶしぶ後ろに振り向き、固まる。
頬杖をついて廊下の方向を見ている横顔は凄く綺麗だ。
「狩麻くん? なに見とれてんの?」
後ろで表護がニヤニヤしてるのが分かる。
分かったよ。やりますって。
「なぁ、俺、琴香狩麻っていうんだ。君の名前はなんていうの?」
「……(びくっ)」
怖がられた? この娘に? ……人見知り?
「……多賀鈴」
ぼそっと、告げる。多賀さんか。覚えておこう。美人だし。
「多賀さん」
「鈴でいい」
「鈴」
あ、こっち向いてくれた。綺麗だな、凄く。




