二時間目:平行世界論
「何か他に質問はないですかぁ?」
と聞いた。誰かが、じゃあ、僕達のこの力は、一体どういう仕組みで発動できるんですか? と手を挙げて質問。自己紹介聞いてなかったから名前なんて分からない。
「いい質問ですねぇ、今分かっている所ではぁ君達に宿る力は、さっき並行世界論、あっ、世界は重なっているっていう話のことですねぇ。でぇ、その重なり合った世界は、普通干渉できませんがぁ、とある特定の条件下ではぁ、干渉する事が出来るのですよぉ」
何がいいたいのかと言うとぉ、と、小村先生は、そのまま言葉を続ける。
ちなみに、俺でも大体の話は分かった。周りの皆も表情を見るに同じ感じだろう。
「つまり君達はぁ、力の大きすぎる神や悪魔 の一端なのですよぉ。すごく簡単に言うとですけどねぇ。神達は、この世界に干渉する方法を編み出したのですがぁ、如何せん神達は力が強すぎますのでぇ、この世界に半分でも顕現すると、この世界そのものが壊れてしまう恐れがあるのですよぉ」
それでぇ、と小村先生は、俺達を指差すと、続きを言う。
「この世界の人間に力の一端を分け与え、その人間を乗っ取り自分達で支配する、と神達は考えていたらしいのですがぁ、この方法はぁ、欠点が二つありましてぇ、一つはぁ、感情が何か一つに高まりきっている人間でないと成功しない事とぉ、もう一つはぁ、そもそも、力を分け与えてもぉ、支配下には置けないということなのでぇす。
でぇ、私達はぁ、ほんの少しの皮肉をこめて、『加護を受ける』と呼んでいるのですよぉ。分かりましたかぁ?」
なるほど、さすがまがりなりにも先生だな。凄く分かりやすかった。だが、俺が力を使えるようになったのが何故なのかは分からなかった。
「君達にはぁ、一ヶ月間当学園で基礎知識を覚えてもらいぃ、その後十一ヶ月で自分の能力を最大限引き出して貰う実技の授業に入りまぁす。その工程が終了し、二年に進学したらぁ、一応君達はぁ、一人前の異世界から来たりし敵を討伐する〈神魔狩り〉になってもらうわけですがぁ、なってもらっても学校には通ってもらいますからねぇ? 普通科目も一通り知識として必要ですからぁ」
そこまで言うと、小村先生は、なにやらゴソゴソと鞄の中を漁り始めたが、目当ての物が見つからない
のか、鞄の中の物を机に全部ぶちまけた。
化粧用品にハンカチにポケットティシュに書類っぽい紙束にメモ帳の切れ端っぽい紙切れの束、しいた
けにマイ箸スプーンフォークに文庫本サイズの本に布の筆箱に手鏡エトセトラエトセトラ。
小村先生の鞄四次元ポケット説浮上!
って危ない! 落ち着いてよく見てみろ、俺! 一個変なの入ってた! 絶対おかしい物が!




