十一時間目:一日目の終わり
部屋の洗面所にて歯磨き(新品が置いてあった)をして、風呂に入った。湯船で足が伸ばせてびっくり
した。あ、後、シャンプー各種石鹸類まで新品で揃っていたのには戦慄を覚えた。
今日は、特にすることも無かったので、スキャナで、天気予報を見たり(超便利!)ニュースを見たり
(すげぇ!)テレビを見たりした。(テレビなんて始めて見た)スキャナは、自由に動かせる事に気付いて、部屋のいたる所に置いたりして遊んだ。
…俺かなり暇人だな。もう寝よう。我に返ったら、急に虚しくなった。
目覚まし時計を四時にセット。
今は九時だから、そんなに睡眠時間が短いというわけでもない。
寝よう。
☆ ★
「なぁ、ホンマにあれがそうなん?」
『そうです。あれがコードCです。間違いはありません』
「僕にはそうは見えんけどなぁ」
『……貴方はどんなのを想像してたんですか』
「えーっとな、毛むくじゃらのおっさん」
『一応“加護”を受けられるのは若い人間なのですが』
「それかものっすごい美人のお姉さん! ちょっとS気質だと尚良し!」
中学を卒業したてくらいの男子が携帯で誰かと会話をしている。
『何を言っているのですか。女性は少し位Mの方が可愛いのです』
「まあ、いじめがいがあるからなぁ。ようわかってるわぁ、姉さん」
『私をそう呼ばないでください、「炎髪の魅」』」
「僕もその呼び名あんまり好きじゃないから、お互い様ってことでいいんやん 姉さん?」
『こう呼んでいいのは誰もいない時だけですよ? 血の繋がりは枷となる』
「はーいはい、わかってるって。大丈夫大丈夫」
少年の電話の相手もまた、声から鑑みるにそれほど歳は離れていないだろう。
そして少年が姉さんと呼ぶことから、電話の主は少年の姉だろうと推測される。
『それでは、引き続きコードCの監視を続けてください』
「りょーかい」
『では無事に。また会いましょう』
「わかってるって。いっつも生きて帰るやろ?」
『そうですね、いらぬ心配でした』
「じゃーまた。バイバーイ」
そういって少年は電話を切り、ポケットにしまうと軽く20mはあろうかというビル――――志義野学園学生寮――――の屋上から飛び降りた。
志義野学園学生寮の屋上には、物理的に登ることができないようにできている。
それこそ空でも飛ばない限りは、屋上に到達することは不可能。
登ろうにも、七階くらいでねずみ返しみたいになっており、上に進めないのだ。
それならば、先刻ここにいた少年は一体どこからやってきたのだろうか。
その問に答える者はいない。
これにてプロローグは終了になります。
ではまた、一章のサルベージと改稿、改行が終わったら投稿させていただきます。
死体がないなら作ればいいじゃない♪ もちゃんと書いてますよ!




