序章
とある女子中学生がいた。
彼女は、数多の困難を潜り抜け、有名な殺し屋になった。
そして、いつしか彼女は、同業者からも、民衆からも、敵である警察からも、こう喚ばれていた。
殺し屋[暗黒衣の娘<ダークネスドーター>]と。
彼女は、黒いコートと全体的に黒い制服(セーラー服とスカート)、黒いニーソックスを履いており、黒いフードを頭に被りながら殺しを遂行することからこう喚ばれている。
それ以外は、一切不明であり、証拠なども残さない、完璧なる殺し屋である。
警察の調べによると、彼女の起こした殺人は、過去100件に値する。
過去100件の総ての殺人は、殺し方が全く異なり、被害者に共通点はない。
そのため、最初は、通り魔による殺人と思われた。
だが、詳しく調べていると、一人の警察官が、ただひとつの共通点を見つけた。
過去100件の全ての被害者ではないが、約9割の被害者の日記に出てきた、現女子中学生を。
だが、名前はなく、「少女K」、「小さな女の子」、「黒猫を抱いてる女の子」など、表記はバラバラだった。
そして、その中で一人だけ「国立黒石学園の制服を着た女の子」と書いてあった。
被疑者の名前は、「荒井由乃」という、OLをしている20代前半の女性だった。
容疑者らしき彼女の表記があった日記にはこう書いてあった。
『08月25日、いきなり国立黒石学園の制服を着た女の子から話しかけられた。
あれは、多分初等部かな?
彼女は、黒いコートを着ていた。
そして、私は、彼女に耳を傾けた。』
『彼女に何個か質問をされた。
内容はこうだった。
・家族は何人か
・趣味は何か
そして、最後にこう聞かれた。
・魔女は、この世にいると思うかと。』
『私がいる訳無いと答えると、彼女は、『そう。』と言い、寂しそうに去っていった。』
『今思うと、彼女は、何者だったのだろう。明日も逢えたら、名前を聞いてみよう。』
そこで被疑者の日記は、終わっていた。
そして、被疑者・・・荒井由乃は、次の日に亡くなり、一生その日記は、書かれなくなった。それは、5年前の47件目の殺人事件だった。
そして、その日記を見つけた一人の女性警察官「咲澤鴇」は、[06月17日]犯人捜索のため、黒石学園を尋ねることにした。