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彼とカレーと私の出会い  作者: an


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第4話 カレーで結ばれた二人の愛の物語

二人は結婚した。



彼がルーで、彼女がライスなのか。


それとも彼がライスで、彼女がルーなのか。


混ざり合い、溶け合った二人にとって、そんなことはどうでもよかった。



郊外に一軒家を購入した。


一階は店舗、二階は住居。


カレー好きが高じて、ついに自分たちのカレー店をオープンしたのである。



時にぶつかり合い、亀裂が生じることもあった。


だが、それを乗り越えるたびに、二人はさらに深く混ざり合っていった。


互いの意見を交わしながら、メニューを少しずつ構築していった。



そうして生まれた看板メニューは「普通のカレーライス」。


他には「一晩寝かせたカレー」と「二晩寝かせたカレー」のみ。


シンプルで大胆な構成だった。



その潔さがインフルエンサーの目に留まり、店は徐々に“隠れた名店”として話題になっていった。



店舗経営は順調だった。


彼は朝昼晩、彼女の作るカレーを満足そうに食べていた。


一晩寝かし、二晩寝かし、店には出さない三晩寝かせのカレーまで。


寝かせたルーにさらに継ぎ足しを重ね、日々のカレーライフを楽しんでいた。



だが、順風満帆だった経営にも、やがて陰りが差す。


原因は「飽き」だった。


メニューの少なさが客の足を遠ざけていった。



カレーが好きなだけで始めた店。


カレー以外へのこだわりはなく、採算度外視。


やがて経営は立ち行かなくなってしまった。



彼らは店を閉じた。



閉店を惜しむ声は多かった。


SNSの効果で、最後の数日は開店当初のような賑わいを見せた。


だが、住宅ローンや開業資金など、多額の借金を返すには至らなかった。



それでも、店を閉じた彼らには、大切なものが一つ残った。



ルーとライスに福神漬けが添えられるように——


彼らには、子どもが生まれたのだ。



カレー店の経営はうまくいかなかった。


けれど、かけがえのないものが残った。



彼は彼女のカレーを食べる。


彼女はカレーを作り、彼に食べさせる。


それ以上の幸せは、二人には必要なかった。



人生は、究極のカレーである。


カレーは愛であり、愛はカレーなのだ。


カレーは、人生そのもの。



カレーで結ばれた、二人の静かな愛の物語。

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