機内食
わたしが居合道を習いはじめたのは
熱心に人からすすめられたから
ではなかったようだ
やめてしまってから思う
きっと人を斬ってみたかったのだろう
何人かの顔が頭に浮かぶ
わたしのことだ
気持ちが抑えられなくなって
行動に出ていただろう
やめて正解だった
思い出してしまうものだなあ
あんな奴らが
この世に生を受けたことに対して
思い出してしまうものだなあ
あんな奴らが
いまもこの世界に
居続けていることに対して
思い出してしまうものだなあ
わたしってば
嫌悪してるんだなあ
もう
あれらの顔をみることはないんだなあ
そう考えると
さみしくて
さみしくて
せめて頭のなかでだけでも
奴らを斬り刻む