終末日和の卒業式
どうやら今日、世界に隕石が降って終末を迎えるらしい。以前にニュースキャスターが、偉そうな学者を交えて話していた。当然SNSは荒れているし、ヤケになった人のニュースも後を絶たない。
そんな最中、先輩から「学校に来い」とのお誘いを頂いた。こんな終末にわざわざ呼び出すなんて、よほど大事な用なのだろうと、俺は二つ返事で了承。
まぁ大方の予想はつく。これはアレだ。死ぬ前に想いを伝えておこう、という愛の告白的なヤツだろう。
世界の終わりに告白なんて、先輩もエモいことを考える。
そんな期待を持ちつつ、俺は学校に向かった。
「今から卒業式をするぞ!」
「なんでだよ」
俺は思わずツッコんだ。
いや、百歩譲って告白じゃないのは分かるけど、なんで卒業式?
「先輩、今日は隕石が降るんですよ? 呑気に卒業している場合ですか?」
「何を言っているんだね後輩くん。終末だからこそ卒業式はするべきだろう」
「その理屈は?」
「せめて学校くらい卒業してから死にたい!」
マジかよ、この先輩。
「てっきり愛の告白かと思って来たのに」
「おや? 君は私が好きなのかね?」
「そうですよ。先輩も俺が好きでしょう?」
「大好きだ。でも告白はしない」
「どうして?」
「世界が終わる時に告白したって楽しくないだろう? どうせ死ぬから付き合えないし、虚しいだけだ」
確かに。
「じゃあ先輩に免じて卒業式には参加します。でも、なんで俺たちだけなんですか?」
「ちゃんと友達も誘ったさ」
「それで?」
「最期の日くらい家族と過ごしたいって断られた」
そりゃそうだ。
むしろ家族ほっぽり出して集まっている俺たちが変なのかもしれない。
「じゃあ暇人だけの卒業式を開催しますか」
「生徒代表は私だな」
「そりゃ先輩だけですし」
「なら君も卒業したらどうかね?」
「知らないんですか先輩。俺の卒業式は来年です」
「終末に固いことを言うでないよ。卒業証書に名前を書けば君も立派な卒業生だ」
「いや、どこから持ってきたんですか卒業証書」
「校長先生に頼んで何枚か貰ったのだよ」
マジですか校長いいんですか。
「ほら後輩くん、君の卒業証書だ」
「こんなに早く貰うことになるとは」
「一緒に卒業できて嬉しいよ」
「俺はちょっと残念です。だって先輩に告白したかったし」
「ならすればいいじゃないか。終末が来なかった卒業式にでも」
「そしたら先輩は、どんな返事をしてくれますか?」
「ふふ、それは終末後のお楽しみってヤツだな」
先輩がニヤリと笑った。




