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希望…

俺は半ば放心状態になっていた。

なんの根拠もなく『能力』なんて誰でも

当たり前に持っているものだと思っていた。

しかしよく考えれば分かることだった。

『能力を持ち合わせていない人間もいる』という

残酷な可能性を……

俺はこれから何の能力もなしに上位の成績を

収めることなんて可能なのだろうか…

俺はいつもこうだ、

何かをしようとするとその度に壁にぶち当たり

気持ちが沈んでしまい勢いを失ってしまう。

「よーし、全員自分のクラスは把握したなぁ?」

どうやら全員分の入学試験が終わったらしい。

「それではここからはクラスごとに別れて

 活動してもらうことになる。

 まず攻撃型クラスに配属された生徒は

 この学園の中央にあるA棟へ行ってね。

 次に防御型クラスに配属された生徒は

 この学園の東側にあるD棟へ行ってね。

 そして治癒型クラスに配属された生徒は

 ここH棟で待機しておいてくれたらいいよ。

 最後にその他クラスに配属された生徒は

 この学園の北側にあるS棟へ向かってね。

 ここからが本当の君たちの学園生活の

 始まりだよ。くれぐれむ生徒同士で

 殺し合いなんて野蛮なことは起こさないでね」

ベインはそう言いながら不良の方をチラリと見た。

不良は「チッ」と舌打ちをすると立ち上がり

すぐに出ていってしまった。

他の生徒も立ち上がり移動を開始した。

しかし、俺はすぐに移動を

開始することはできなかった。

「何してるんですか?みんな移動してますよ」

横にいたジンが声をかけてくる。

「もしかしてオーブの結果

 まだ引きずってるんですか?

 女々しいですねぇ…

 ただガラス玉が光らなかっただけでそこまで

 悲観するものですかね?

 『能力』を失ったわけでもあるまいのに」

ジンが少し煽り口調で言ってくる。

「お前に何が分かるんだよ?

 いいよな、お前には『能力』があって……

 俺にはないかもしれないっていうのによぉ」

俺はジンの態度に少し苛立ちを覚えつい

口調が強くなってしまった。

「『能力』がない?」

ジンが不思議そうに問い返してくる。

「ああそうだ、オーブが光らなかったってことは

 『能力』がない可能性だってあるってことだろ?」

俺は先ほどと変わらぬ口調で返す。

するとジンは、

「あははは、何を言ってるんですか」

とバカにするように笑い始めた。

「は?」

俺は何故こいつが笑っているか分からなかった。

「えーと、どこから説明したらいいのか

 分からないですがまず基本的なことを

 教えてあげますね、

 第一に『能力』を持ち合わせていない生物

 なんて存在していません。

 生物は生まれた瞬間に必ず何か『能力』を

 持ち合わせています。

 ただそれが扱えるようになるのは個人差が

 あり一生自分で発動することができないまま

 死んでいくものもいれば、

 生まれた瞬間から発動できるものもいます。

 アナタはおそらく今のところ前者寄りなの

 でしょうね」

ジンの説明に俺は目を輝かせた。

「それは本当なのか⁉︎」

俺はジンに食い入るように聞いた。

「こんなことそこら辺の赤ん坊でも知ってるような

 常識ですよ。まぁアナタの目に生気が戻って

 良かったですよ。死んだ魚のような目を

 していましたからね」

俺は心の底から喜んだ。

現状は何も変わっていないが希望が無いわけでは

なかったということが俺を大きく奮い立たせた。

「それでは元気になったことですし

 そろそろ移動しましょうか」

ジンが話しかけてくる。

「お前はどこのクラスに配属されたんだ?」

俺はあの後はほとんど放心状態だったため

ジンがどこのクラスに配属されたのか知らなかった。

「アナタと同じその他クラスですよ」

まるで当たり前のことかのように答える。

「ちなみにお前の『能力』は何なんだ?」

俺は続けて聞いてみる。

「『嘘探知』という能力で

 任意のタイミングで相手の言っていることが

 嘘か本当か分かる能力です」

思っていたよりもショボいなんて口が裂けても

言えなかった。

「それじゃあそろそろ向かおうか」

俺は無理やり話題を変え出口に向かって

歩き出した。

「大丈夫ですよ、もう慣れっこですから」

そう言ってジンも後ろから着いてくる。



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