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外の世界…④

声の方向を見ると、

そこには少し小柄な男が机に足を上げ

笑っていた。

「ロウくん、それはどういうことですか?」

ローズ先生がその男に問いかけた。

どうやらその男は『ロウ』という名前らしい。

「先生も冗談がうまいなー、

 『力を合わせれば勝てる』だなんて、

 いやー思い出しただけでも笑いが止まらないよ」

ロウはけらけらと笑っている。

「冗談などではありませんよ。

 どんなに高い壁であろうと力を合わせれば

 乗り越えることができる。

 私は今までの生徒にもそう教えてきました」

ローズ先生は諭すようにロウに言う。

「先生、それを『綺麗事』っていうんだよ。

 映像の内容を思い出してみてよ。

 ちゃんと力を合わせて戦った遠征部隊の

 人たちがたった一人で戦った魔王軍相手に

 全滅したんだよ?

 結局一番大事なのはさ、

 『才能』なんだよ。

 どれだけ『無能』な弱者が集まったところで

 唯一無二の『才能』には天と地が

 ひっくり返っても勝てないんだよ」

ロウは俺らを嘲笑うように見渡しながら言った。

「ロウくん、あなたはまだ知らないだけなのです。

 どんなに凄い『才能』を持っていたとしても、

 いつか必ず限界がきます。

 しかし、力を合わせることに限界などありません。

 このことは私がこの1年で責任を持って

 皆さんに教えていきます」

ローズ先生は力強く芯のある声で言った。

「さすが先生、いい事言うねー、

 たしかにその場のノリでしか

 生きていけないバカには仲良しこよしが

 お似合いだからね」

ロウはそう言うと突然立ち上がって扉の前へ行き、

『じゃっ』

と言わんばかりに手だけ上げて扉を開けた。

「ロウくんまだ授業は終わっていませんよ、

 それに午後の実習についてもこのあと説明を…」

ローズ先生は呼び止めたがその努力も虚しく、

ロウはそのまま立ち去ってしまった。

「あー、行っちゃいましたか。

 皆さんすみません、

 ロウくんも悪気があって言ったわけじゃないと

 思いますので許してあげてください。

 ロウくんについては他の先生に午後には

 呼び戻してもらうように伝えておくので、

 私たちは引き続き、授業を行います、

 と言いたいところなのですが、

 少し時間も押してきてしまったので、

 ここからは午後の実習についての説明を行います」

ローズ先生は申し訳なさそうな表情で言った。

(あれで悪気がないならそれはそれでヤバいやつだろ)

俺はそんなことを思いながら話の続きを聞いた。

「これから行う実習では、入学当日にも伝えたとおり

 身体や精神を鍛えることで『能力』に頼らずとも

 強くなることを目標に頑張ってもらいます。

 今日は初めての実習なので、

 軽い準備運動を中心に行っていこうと思います。

 場所はこの学園で一番高い『本棟』の麓にある

 『中央広場』で行います。

 みなさん遅れないように来てくださいね。

 それではこの時間はこれで終わりになります。

 ありがとうございました」

ローズ先生はそう言うと軽くお辞儀をして

教室の片付けを始めた。

「なんか色々大変でしたね」

横からジンが話しかけてくる。

「ああ、本当に濃厚な時間だったな」

外の世界は俺の知らないことで溢れていた。

おそらくまだまだ知らないことだらけなのだろう。

「まぁそれはともかく、

 どこかで昼食でも取りに行きませんか?」

ジンが続けて話しかけてくる。

たしかに丁度お腹も空いてきた頃だった。

「そうだな、おすすめの店に連れてってくれ」

俺は立ち上がり大きく背伸びをした。

「あなたはどうしますか?」

ジンは俺の奥にいる眼鏡に話しかけた。

「嫌だね、どうして僕が君たちみたいなバカと……」

眼鏡はまた長々と話し始めたが、

そんな眼鏡を背に俺はすでに歩き始めていた。

「じゃあいきましょうか」

ジンもすぐに後についてきた。

俺たちは扉を開け、街へ向かって歩き始めた。


すみません、2週間ほど投稿を休みます。

次回の投稿は 8/13 (水)になります。

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